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2019年7月21日(土)19:00開演
京都コンサートホール大ホール 藏野雅彦指揮/京都市立京都堀川音楽高等学校オーケストラ
スメタナ/連作交響詩「わが祖国」より第2曲「ヴルタヴァ(モルダウ)」 座席:全席自由 |
昨年の創立70周年記念第45回オーケストラ定期演奏会に続いて、今年も京都市立京都堀川音楽高等学校オーケストラ定期演奏会に行きました。私の最近のお気に入りのブラームス(シェーンベルク編)/ピアノ四重奏曲第1番が演奏されました。
入場は無料でしたが、事前申込制で、申し込み方法は前回同様に、82円切手を貼った返信用封筒とともに、京都堀川音楽高校宛に封書を郵送するという方法でした。 数日でチケットが届きました。7月16日に予定枚数に達したため受付終了となりました。また、7月13日(金)には、卒業生の佐渡裕(京都市立京都堀川音楽高等学校芸術顧問)が来学し、オーケストラを指導した記事が京都新聞に掲載されました。「ヴルタヴァ(モルダウ)」を2時間指導したとのこと。
ロビーには佐渡裕から届いた花が飾られていました。また、京都堀川音楽高等学校2019年度学校案内(CD付き)と過去の定期演奏会のCD(非売品)が無料で配布されました。受付終了のはずですが、ポディウム席を中心に空席があり、9割程度の入りでした。プログラムの曲目解説は今回も譜例も掲載されて本格的です。
メンバーが入場。女性が圧倒的に多い。男性は10名程度でしょうか。プログラムのメンバー表によると、3年生21名、2年生16名、1年生16名、卒業生32名、賛助奏者11名の総勢96名です。 楽器別では、フルート9、オーボエ3、クラリネット4、ファゴット3、サクソフォン1、ホルン5、トランペット4、トロンボーン4、チューバ1、打楽器7、ハープ1、ピアノ2、ヴァイオリン28、ヴィオラ9、チェロ8、コントラバス7でした。対向配置でした。指揮の藏野雅彦は、京都堀川音楽高校改革推進コーディネーターで、音楽(指揮・トランペット)を担当しています。
プログラム1曲目は、スメタナ作曲/連作交響詩「わが祖国」より第2曲「ヴルタヴァ(モルダウ)」。冒頭のフルートが健闘。有名なヴァイオリンによるメロディーも淀みなく流れます。「月光の下、水の妖精たちが舞う情景」も繊細に演奏。 その後の強奏はトロンボーン4とテューバが強力で、297小節からは弦楽器が負けてしまったので音量が欲しい。暗転になって、舞台転換。イスなどの移動も生徒が行ないます。
プログラム2曲目は、ラター作曲/アンセム。ラターは1945年にイギリスで生まれ、現在も活躍中です。アンセム(Anthem)とは、「聖歌、賛美歌、祝歌、応援歌」などの意味があります。ラターはアンセムを多数作曲しているようで、この日演奏された3曲も、作曲時期がバラバラです。
オーケストラは中編成に減り、前方に固められ、後列に合唱団が3列で立ちました。左から、ソプラノ、バス、テノール、アルトの順ですが、オーケストラ同様に女声が圧倒的に多い。プログラムによると、ソプラノ37、アルト30、テノール10、バス8の総勢85名。楽譜を持たずに暗譜で歌いました。合唱は自然な響きで、大声で歌いません。大人数なので、大声を出さないというのが指導方針なのでしょう。
1曲目「O clap your hands(あなたの手をたたけ)」は、前奏からオーケストラが明るく、祝祭的な雰囲気。なお、歌いながらの手拍子などはありません。2曲目「A Gaelic Blessing(ゲールの祝涛歌)」は、短い。3曲目「Look at the world(世界を見渡して)」は、メロディーが親しみやすいポップス調の曲。
続いて、プログラム3曲目は、ラター作曲/グローリア。原曲の伴奏は、ブラスと打楽器とオルガンとのこと。今回はラター自らオーケストラに編曲した阪によります(オルガンは使われません)。3つの楽章からなります。第1楽章から、オーケストラがダイナミック。トランペット4本がかなり目立ちます。合唱は大きめに歌います。第2楽章はしばらくオーケストラのみの演奏ですが、合唱が入って盛り上がります。第3楽章も華やか。カーテンコールでは、合唱指導の津幡泰子(京都堀川音楽高校教諭 音楽(声楽・合唱)担当)も登場しました。
休憩後のプログラム4曲目は、ブラームス作曲(シェーンベルク編)/ピアノ四重奏曲第1番。第1楽章からうまい。テンポも速い。弦楽器がメロディーをたっぷり歌い込みました。第2楽章は木管楽器のソロがうまい。第3楽章は行進曲風となるAnimato(653小節)のフルートが美しい。第4楽章は893小節からフルートが連符をスラスラと演奏してすばらしい。肝心の聴きどころ1057小節の前にやや乱れたのが残念。
拍手に応えてアンコール。バーンスタイン作曲/シンフォニック・ダンスを演奏。プロローグ〜サムウェア〜スケルツォ〜マンボまでの演奏でした。立ち上がって「マンボ」コール。コントラバスが楽器をまわすなどパフォーマンスも楽しいですが、打楽器ががんばりすぎてドスドスとうるさいのが残念。
高校生の演奏としてはトップクラスと言えるでしょう。特に木管楽器はレベルが高いです。昨年の創立70周年記念第45回オーケストラ定期演奏会より完成度が高くなりましたが、その理由は今回は曲目が減ったことが挙げられるでしょう(前回は3時間超、今回は2時間超)。高校を卒業した後も、ぜひ大学でも演奏を続けてほしいです。なお、演奏の出来を左右するものではありませんが、男女のバランスは偏りがないほうがいい
でしょう。毎年聴きたいですね。
(2019.8.25記)