相愛ウィンドオーケストラ第40回定期演奏会


   
      
2018年11月16日(金)18:30開演
ザ・シンフォニーホール

新田ユリ、若林義人指揮/相愛ウィンドオーケストラ
山本英二(ピアノ)

【第1部】
大栗裕/吹奏楽のための「小狂詩曲」
大栗裕/吹奏楽のための大阪俗謡による幻想曲
バルトーク(上埜孝編)/舞踏組曲

【第2部】
ガーシュウィン(高橋徹編)/ラプソディ・イン・ブルー
ガーシュウィン(金山徹編)/パリのアメリカ人

座席:全席自由


相愛ウィンドオーケストラの演奏を初めて聞きました。大栗裕生誕100年を記念して、大栗裕、バルトーク、ガーシュウィンという興味深いプログラムでした。
相愛大学音楽学部演奏コースの管楽器専攻と打楽器専攻の学生により構成されています。プログラムのメンバー表には、1回生32名、2回生41名、3回生32名、4回生23名、要員5名、補助員4名の合計137名の名前が掲載されています(要員と補助員がどう違うのかは分かりません)。パート別では、サクソフォーンが24名で最も多い。清水信貴教授(フルート)、前田昌宏教授(サクソフォーン)、飯塚一郎教授(トランペット)、中谷満教授(打楽器)が指導しています。「定期演奏会」「ポップスコンサート」「発表演奏会」の3つの柱で活動しているとのこと。

当日券も前売券も同じ料金(1,000円)だったので、当日券を購入することにしました。17:30から開場で、当日券の発売も開始されました。余談ですが、福島6丁目交差点にあったライオン大阪ビルが解体されていました。跡地にはホテルが建設されるようです。

プログラムは2部構成で、指揮者が交代します。客席の入りは7割程度でした。メンバーが入場。男女比では、女性が圧倒的に多い。クラリネットのコンサートミストレスが立ち上がって、オーボエのGの音に合わせてチューニング。

第1部の指揮は、新田ユリ。日本シベリウス協会会長や愛知室内オーケストラ常任指揮者を務めています。京都市交響楽団 0歳からの夏休みコンサート〜オーケストラストーリーズ〜で指揮した石崎真弥奈と雰囲気が似ています。入退場は走って登場しました。

プログラム1曲目は、大栗裕作曲/吹奏楽のための「小狂詩曲」。第14回全日本吹奏楽コンクール課題曲です。ユニゾンが伸びやかに響きました。アーティキュレーションはよく揃っていますが、もう少し木管楽器が聴こえてほしいです。新田の指揮はリズミカルかつエネルギッシュで、打点がはっきりしています。

プログラム2曲目は、大栗裕作曲/吹奏楽のための大阪俗謡による幻想曲。1曲目からほとんどのメンバーが入れ替わりました。Andanteの序奏は、金管楽器(トランペット12、トロンボーン6、ホルン6)が強烈。金管楽器が増強されたことによる演奏効果が発揮されました。Allegroでのトロンボーンとホルンのグリッサンドの掛け合いもすごい。木管楽器は金管楽器に比べると人数が少ないでしょうか。期待以上の演奏で、さすが音大生と言ったところですが、もう少し表情にバラエティーがあるとよいでしょう。

プログラム3曲目は、バルトーク作曲(上埜孝編)/舞踏組曲。大栗裕は「東洋のバルトーク」と呼ばれていたので、本当のバルトークを続けて演奏することを狙ったプログラムでしょうか。6曲からなり、チェレスタ、ピアノ、ハープも使われます。第1舞曲は怪しげな変拍子。強奏での音圧もじゅうぶん。第2舞曲は、トロンボーンのグリッサンドが聴きどころ。第3舞曲は、和音がきれいに響きました。チェレスタ奏者もピアノを弾いてピアノ連弾。第5舞曲は大栗裕に似た響きが聴けました。

休憩後の第2部の指揮者は、若林義人。龍谷大学吹奏楽部の音楽監督・常任指揮者を務めていて、吹奏楽コンクールなどでも演奏を聴いたことがあります。また、私が高校生のときに一度だけ合奏指導を受けたことがあります。第2部のプログラムの曲目解説も若林が自ら執筆しています。

プログラム4曲目は、ガーシュウィン作曲(高橋徹編)/ラプソディ・イン・ブルー。ピアノ独奏は、山本英二。相愛大学音楽学科ピアノ専攻教授を務めています。ジャズピアニストのようにチョッキを着ていて、ジャケットなしの服装でした。ピアノ演奏はオーソドックスで目立った個性はありません。京都市交響楽団大阪特別公演での山下洋輔に比べると優等生でおとなしい演奏でした。バンドはよく鳴りました。テンポは遅めで、重いサウンド。打楽器(特に大太鼓)を大きめに鳴らしました。ラストもスローテンポでした。

プログラム5曲目は、ガーシュウィン作曲(金山徹編)/パリのアメリカ人。タクシーのクラクションを左右に配置し、打楽器奏者が押すと、大きな音が出ました。合いの手を強調して、豪快に鳴らしてスケールがでかい。元気はいいですが、音色はやや粗い。終盤は賑やかすぎてちょっとうるさいくらいでした。第3部では、トムトムをドスドスと鳴らします。トランペットソロでは、ミュートにアメリカの国旗の帽子?をかぶせて演奏しました。アメリカ人を表現したのでしょう。
カーテンコールでは、若林の指示で、タクシーのクラクションをド・レ・ミ・ファと鳴らしました。

客席からアンコールを求める手拍子が起こり、ドラムロールからアンコール。ガーシュウィン作曲(福田洋介編)/ストライク・アップ・ザ・バンドを演奏。パートごとに立奏して、ラストは全員で立奏しました。

指揮者が2名登場するプログラムでしたが、新田ユリと若林義人で好対照な演奏でした。新田は和音重視、若林は音量重視といったところです。若林義人は龍谷大学では「堅物オヤジ」のイメージでしたが、ときおり笑顔を見せました。
相愛大学は南港学舎にあるので、ちょっと遠くて行けませんが、また演奏を聴きたいです。

(2019.1.24記)


福島6丁目交差点からザ・シンフォニーホールを望む ザ・シンフォニーホールのイルミネーション 開場前の入場待ち行列



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