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2018年12月1日(土)14:00開演
京都市西文化会館ウエスティホール 京都市立芸術大学音楽学部・大学院弦楽専攻生
モーツァルト/弦楽四重奏曲第14番第1楽章 座席:全席自由 |
ウエスティ音暦(おとごよみ)「冬〜弦楽の愉しみ〜」に行きました。京都市立芸術大学音楽学部と京都市西文化会館ウエスティが主催する演奏会で、10年以上前から続いています。タイトルに「冬」がついていますが、春夏秋冬のシーズンごとに開催されているわけではないようです。2018年度は、6月に京都市立芸術大学音楽学部・大学院の管・打楽専攻生が出演して、音暦「Music Trip」が開催され、今回の「冬〜弦楽の愉しみ〜」は、今年度2回目となります。入場は無料で、当日先着440名でした。
京都市西文化会館ウエスティには初めて行きました。阪急嵐山線の上桂駅から徒歩15分です。けっこう歩きました。会場待ちの長い行列ができていました。ホールの席数は、京都市右京ふれあい文化会館のホールとほぼ同じです。曲の入りは8割程度で、年齢層が高い。
開演に先立って、4回生の女性が登場して挨拶。第1部は室内楽の演奏とのこと。以降の曲目紹介のアナウンスはなく、京都市立芸術大学 芸大祭2017の「学生コンサート」の進行と同じです。いすや譜面台のセッティングも学生が行ないました。プログラムに演奏者名と曲目解説が掲載されています。曲目解説は演奏する学生が執筆しています。時間の関係からか、全曲演奏される作品はわずかで、抜粋が多い。どの曲も指揮者はいません。
プログラム1曲目は、モーツァルト作曲/弦楽四重奏曲第14番第1楽章。バランスとしてヴィオラが少し弱い。
プログラム2曲目は、モーツァルト作曲/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1・3楽章。二人は立って演奏。いいハーモニーで、心が通ったアンサンブル。二重奏でも聴きごたえがありました。
プログラム3曲目は、ベートーヴェン作曲/弦楽四重奏曲第10番「ハープ」第1楽章。ヴァイオリンが引っ張るアンサンブル。「ハープ」の愛称がつけられたピツィカートが美しく演奏されました。
プログラム4曲目は、ショスタコーヴィチ作曲/弦楽八重奏のための2つの小品。ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ2の編成で、チェロ以外は立奏でした。演奏前に相当入念なチューニング。19歳のショスタコーヴィチが作曲し、実験的要素が盛り込まれた作品です。第1曲「前奏曲」は、重く響きました。第2曲「スケルツォ」は、不協和音が荒々しく、なかなか強烈なインパクトがありました。
休憩後は、別の4回生の女性が登場して挨拶。第2部は弦楽合奏の演奏で、4回生を中心とする学生主体で、後期から毎週取り組んできたとのこと。メンバーの重複はなく、グループ対抗戦のようです。
プログラム5曲目は、チャイコフスキー作曲/弦楽セレナーデ第1・2楽章。この作品を聴くのは、
上野の森バレエホリデイ2018 東京バレエ団「真夏の夜の夢」「セレナーデ」、大植英次プロデュース「大阪クラシック〜街にあふれる音楽〜」第22公演に続いて、今年3回目でした。
ヴァイオリン12、ヴィオラ3、チェロ3、コントラバス3の編成で、チェロ以外は立奏でした。よくそろっていて、大植英次プロデュース「大阪クラシック〜街にあふれる音楽〜」第22公演よりもいい演奏でした。バランスとして、ヴァイオリンが強く、ヴィオラが弱い。第1楽章はもう少しスマートな演奏も可能でしょう。第2楽章は速めのテンポで、流れるような自然なアンサンブルでした。全曲演奏ではなく抜粋だったのが残念。
プログラム6曲目は、ヴィレーン作曲/弦楽セレナーデ。ヴィレーンはスウェーデンの作曲家で、初めて聴きました。ヴァイオリン11、ヴィオラ4、チェロ3、コントラバス3の編成で、チェロ以外は立奏。ヴァイオリンが多いですが、バランスは気になりませんでした。
第1楽章は、跳躍のあるメロディー。第2楽章はピツィカートで始まり、息の長いメロディーが歌われます。第3楽章はさわやか。明るくウキウキしてきます。第4楽章は日本の童謡「ふしぎなポケット」(ポケットのなかにはビスケットがひとつ…)に似たメロディー。親しみやすい作品で、もっと聴かれていい作品です。
プログラム7曲目は、スーク作曲/弦楽セレナーデ第1・2・4楽章。ヴァイオリン11、ヴィオラ4、チェロ2、コントラバス2の編成で、チェロ以外は立奏。スークが18歳で作曲しました。伸びやかな旋律で、フレッシュで若々しい。演奏は低音から高音まで一体感があり、よくソルフェージュされていました。
終演後は演奏者がロビーでお見送りしてくれました。
弦楽アンサンブルにちょうどよいホールの大きさでした。全楽章が演奏された曲は少なかったですが、いいところどりの入門編として楽しめる演奏会でした。
(2019.1.26記)