ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer 2018


  
京都市交響楽団 0歳からの夏休みコンサート〜オーケストラストーリーズ〜

2018年8月14日(火)11:00開演
ロームシアター京都メインホール

石崎真弥奈指揮/京都市交響楽団
中島ボイル(司会・ナレーション)

チャイコフスキー/バレエ「眠りの森の美女」からワルツ
ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲からスイス軍の行進
ビゼー/歌劇「カルメン」からジプシーの踊り
久石譲/オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」

座席:全席指定 3階1列25番


ユリイカ百貨店の「STAR BOX PRESENT!」

2018年8月14日(火)13:00開演
ロームシアター京都サウスホール

構成・演出・脚本:ユリイカ百貨店

座席:自由


「ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer 2018」に行きました。2017年1月の「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」、2017年8月の「ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer」に続いて、今回が3回目です。ロームシアター京都の2018年度自主事業にもラインアップされて、すっかり夏の恒例イベントになりました。

今年も2日間の開催で、8月14日(火)と15日(水)にロームシアター京都全館を使用して開催されました。今年は子ども向きの企画がさらに増えました。前回から始まった「COOL☆こどもディスコ」に加えて、「オリジナルマスカラ作り」「パズルブロックLaQ体験」などが新企画で、順番待ちの長い行列ができていました。

なかでも、京都市交響楽団が初めて出演して、「0歳からの夏休みコンサート〜オーケストラストーリーズ〜」が14日(火)にメインホールで開催されました(要申し込み・無料)。また、「BACK STAGE TRAVELING!」(ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター)、「COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)」(ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer)と続いてきたユリイカ百貨店企画の館内ツアーは、今回はサウスホールでのステージとなりました(当日先着順・無料)。先述したように2日間の開催でしたが、1日目の14日(火)に行きました。

ロームシアター京都の周辺も年々賑わっていて、平安神宮に近いロームシアター京都の北側には、京都・時代祭館十二十二(トニトニ)や、ぎをん為治郎神宮店など、飲食店も充実してきました。


11:00〜12:00 京都市交響楽団 0歳からの夏休みコンサート〜オーケストラストーリーズ〜 メインホール

11:00〜と14:30〜の2回公演で、11:00〜の1回目の公演を聴きました。入場は無料でしたが、チケットが必要で、ロームシアター京都オンラインチケットから申し込み。チケットは無料ですが、チケットの郵送には手数料がかかるとのこと。しかもチケットの引き取りは1週間以内とのことで、京都コンサートホールのチケットカウンターまで赴いて受け取りました。

メインホールで演奏を聴くのはなんと今回が初めてでした。入場時にプログラム等の配布はなし。無料なので経費節減でしょう。3階席の1列目の中央の座席を購入しましたが、ステージを見下ろす感じになりました。ステージの天井がかなり高いですね。目の前の金属製の手すりがあるのがけっこう邪魔になりました。申し込み受付は終了していましたが、バルコニー席の後方や4階席など開放していない座席がありました。

文字通り年齢制限なしの演奏会でしたが、未就学児が予想以上に多くてびっくり。泣き声やわめき声がすごくやかましい。演奏が始まると、少しはましになりました。

指揮は石崎真弥奈。1986年生まれで、広上淳一に師事して東京音楽大学大学院を修了。小柄な女性です。プログラム1曲目は、チャイコフスキー作曲/バレエ「眠りの森の美女」からワルツ。演奏が終わると、司会の中島ボイルがステージ下手でMC。京都府出身の俳優で、スキンヘッドなので、バイきんぐの小峠英二に似ています。

プログラム2曲目は、ロッシーニ作曲/歌劇「ウィリアム・テル」序曲からスイス軍の行進。石崎はオーケストラ全体を見渡した指揮で好感が持てました。中島から石崎にインタビュー。指揮者になったきっかけは、「中高の吹奏楽部でホルンを担当していたが、高校生で学指揮(学生指揮)を経験したときに、指揮に興味を持った」とのこと。また、「ショパンの「小犬のワルツ」などピアノもよく弾いていた」と答えました。

プログラム3曲目は、 ビゼー作曲/歌劇「カルメン」からジプシーの踊り。冒頭のフルートは、周りがうるさくて聴こえづらい。後半は速いテンポで高揚感がありました。中島が「オーケストラの生演奏を初めて聴いた人?」と客席に挙手を求めると、あちこちから手が挙がりました。オーケストラ初心者が多数来場したようです。 

プログラム4曲目は、久石譲作曲/オーケストラストーリーズ「となりのトトロ。小品かと思いきや、意外にも約25分の大曲でした。オーケストラのチューニングから始まり、中島ボイルのナレーションで進行。指揮台の横の席に座りました。中島は明るい声で話しました。
解説されませんでしたが、8曲からなります(「さんぽ」、「五月の村」、「ススワタリ〜お母さん」、「トトロがいた!」、「風のとおり道」、「まいご」、「ネコバス」、「となりのトトロ」)。久石譲が自らオーケストレーションしたようで、シンフォニックで本格的な作品です。プロコフィエフの「ピーターと狼」に似ていて、ナレーションが物語を説明し、随時演奏が挿入されます。冒頭の「さんぽ」では全奏の後、小太鼓の伴奏に沿って、木管楽器、金管楽器、弦楽器、打楽器の順に演奏。打楽器には、ハープ、チェレスタ、ピアノも含まれ、この曲のためにわざわざ準備されました。ナレーションの原稿も書かれているようで、2003年に新日本フィルによって初演されました。映画「となりのトトロ」は、1988年に公開されており、子どもたちみんながトトロを知っているかは少し疑問です。
石崎は堂々とした指揮で、オーケストラをよくコントロール。演奏は軽快で、コントラバスがしっかり響きました。第3曲「ススワタリ〜お母さん」で、まっくろくろすけの描写でフレクサトーンという珍奇な音がする打楽器が使われました。

拍手に応えて、アンコール。J.シュトラウス?世作曲/ラデツキー行進曲。石崎は客席に向かって手拍子。Trioではオーケストラを指揮。演奏が終わると、団員が客席に手を振って終演しました。

石崎真弥奈は、客席が騒がしいという難しい環境で集中力を切らさずに指揮し、実力を見せました。将来が楽しみな若手指揮者です。また指揮して欲しいです。

メインホール入口


13:00〜13:45 ユリイカ百貨店の「STAR BOX PRESENT!」 サウスホール

2日間で4公演行なわれましたが、14日(火)13:00〜の1回目の公演を観ました。これまでの「BACK STAGE TRAVELING!」(ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター)と「COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)」(ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer)は事前申し込み制でしたが、今回は申し込み不要ですが、当日整理券制になりました。当日朝9時からサウスホール前で整理券が配布されました。9:30頃に着きましたが、13:00〜の回の整理券番号はすでに「94番」でした。定員に達したため、開演前に整理券の配布は終了しました。
「STAR BOX PRESENT!」整理券 「STAR BOX PRESENT!」整理券配布案内 サウスホール入口

1階席だけ開放され、自由席でした。年齢制限はありませんでしたが、「京都市交響楽団 0歳からの夏休みコンサート」に比べると、未就学児は大幅に減りました。山岡美穂のTwitterによると、8月6日から小屋入りして練習してきたとのこと。1週間も前から準備されてきました。
開演前に、おなじみのアテンダント姉妹(山岡美穂と松田ちはる)がステージに登場。衣装は「COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)」(ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer)と同じく、緑と白のストライプの衣装でした。今回も二人は姉妹という設定でした。写真撮影はOKだが、フラッシュの使用は禁止などの注意事項を説明。実際に写真を撮影している人は少数でした。「今日はパーティー、お披露目会」であることが説明され、その後はアドリヴで2人でトーク。また、「ミスターサウスホール」が男声で話しました。
「STAR BOX PRESENT!」開演前 「STAR BOX PRESENT!」開演前 アテンダント姉妹(山岡美穂と松田ちはる)

いよいよ開演。まず「プレゼントチルドレン」が客席の通路を通ってステージに登場。このプレゼントチルドレンは、7月22日(日)と8月7日(火)に開催された「こども向けプレゼントづくりワークショップ」の参加者で、大好きな人を喜ばせるプレゼントを作りました。続いて、サウスホールに住んでいる「星くん」が天井から降りてきました。「COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)」(ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer)と同じく、内蔵スピーカーから男の声で話します。「ひらけー」の声で、ステージの幕が上がりました。ステージ中央に土星のオブジェがあり、シンガースター(inori)が登場して歌いました。プレゼント箱を持った「ギラギラケモノ」が客席通路から登場。ギラギラケモノは「京都会館の頃から生きている光の化身」で、前回の「COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)」(ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer)でも登場しました。ギラギラケモノが持っているプレゼント箱の中は空っぽで、ワークショップに参加できなかったため、プレゼントがありません。ギラギラケモノがプレゼントを贈りたい相手は星くんで、星くんのためにお芝居を作ってプレゼントすることに。お芝居のタイトルは「スターボックスプレゼント」。光の神様から星の君に送る物語とのこと。

ピーターパンの子役を演じたことがあるオッディ(高阪勝之)とミスター・プレゼント(ボブ・マーサム)とレディ・プレゼント(中村こず恵)が登場。ミスター・プレゼントとレディ・プレゼントは亡くなった人で、正体はおばけでした。また、このお芝居に参加したい人が客席から募られ、スポットライトが当たった男性と金髪の女性(もちろん劇団員)がステージへ。ウミネコ楽団(五月エコ(アコーディオン)と新井洋平(コントラバス))の伴奏で全員で「プレゼントの歌」を歌いました。この「いつも」(作曲:新井洋平)という曲がいいメロディーで、心に沁み入りました。いったん幕が閉まって、いよいよお披露目会が開演。幕が開くと、先ほどの男性を主人公としたお芝居がスタート。星くんは客席で見ています。土星のオブジェが浮いて、天井からワークショップで作られたプレゼントが降りてきました。実際にプレゼントを作った子どもたちのメッセージの声が流れて、歌とダンス。アテンダント姉妹が「これが私たちのお披露目会」と締めくくりました。帰ろうとするミスター・プレゼントとレディ・プレゼントでしたが、「送り火は16日」ということで、今日は14日なのでまだしばらくいてもらうことになりました。アテンダント姉が「また会いましょう」と言いながら全員が退場しました。
ホール出口で袋を受け取りました。クレジットや演出ノートが書かれた紙が入っていました。 

お盆や大文字送り火など時宜にかなったテーマでしたが、一回でストーリーを理解するのはちょっと難しく感じました。お盆を機会に、亡くなった親族を偲び、思いを馳せ欲しいというのが製作者の思いでしょう。登場人物が多く、おばけという設定のミスター・プレゼントとレディ・プレゼントが見た目は普通で、よくしゃべるのでおばけらしく見えなかったので、演出上の工夫があってもよかったかもしれません。特にミスター・プレゼントを演じたボブ・マーサムは吉本新喜劇的なノリでした。

アテンダント姉妹を演じる山岡美穂と松田ちはるの演技力は安定していて、今回は冒頭でアドリヴで自然なトークも展開しました。これまでのホールや設備の紹介などはなく、がっつりお芝居で、ユリイカ百貨店の本業を披露しました。こどもたちは比較的静かに観ていましたが、きょとんとしていて、拍手も少なめでした。ストーリーが難しかったようです。そもそもお盆は何のための行事か知っていないといけませんが、今の子供たちにとっては残念ながらなじみが薄いかもしれません。
星くん STAR BOX PRESENT! STAR BOX PRESENT! STAR BOX PRESENT! STAR BOX PRESENT!


なお、15日(水)には「劇場オープンデー」(申込不要・無料・年齢制限なし・出入り自由)や「徹底解説! ロームシアター京都建築ツアー」(要申込・1000円・未就学児不可)が行なわれました。「劇場オープンデー」は楽屋に自由に見学できましたが、2日目のみのイベントだったため、参加できませんでした。また、8月20日には、「アンケートご協力のお願い」のメールが届きました。また来年の企画も楽しみにしています。

「プレイ!シアター in Summer」案内

(2018.8.27記)

びわ湖ホールまるっとステージツアー 京都市少年合唱団第69回定期演奏会