ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer


   
      
2017年8月13日(日)
ロームシアター京都

座席:自由


2017年1月に開催された「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」に続いて、「ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer」が開催されました。約半年後という短いスパンで第2弾が開催されるとは意外でした。今回の「ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer」は、8月12日(土)と8月13日(日)のお盆休みの真っただ中に、2日間開催されました。今回はロームシアター京都全館を使用して実施されました。

企画は、「COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)」、「劇場支配人と行く! ロームシアター京都バックステージ」、「劇場裏大公開!劇場オープンデー」、「COOL☆こどもディスコ」、「ワークショップ体験」などが行なわれ、こども向けの企画が増えました。また、「プレ企画」として、「徹底解説!ロームシアター京都建築ツアー」(8月7日(月)、8日(火))、「ロームシアター京都の使い方教えます!(利用者向け説明・見学会)」(8月10日(木))も開催されました。申し込みが必要な企画と申し込み不要の企画がありました。「徹底解説!ロームシアター京都建築ツアー」は初めて有料(1000円)の企画で、それ以外は無料でした。

2日目(8月13日(日))の「COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)」と「劇場支配人と行く! ロームシアター京都バックステージ」に申し込みました。参加無料でしたが、先着順で事前申し込みが必要でした。7月1日(土)正午から、ロームシアター京都ウェブサイトの応募フォームから申し込み。7月12日に早くも定員に達したため受付終了となりましたが、今回は当日参加受付枠も若干用意されるとのことでした。当日参加受付枠を設けたのは、「気軽に遊べる劇場」としてロームシアター京都に気軽に足を運んでもらえるようにしたい意図がありそうです。
8月9日(水)にメールで注意事項が届き、開始時間の5分前までに集合すること、階段の上り下り等があること、公式のカメラ撮影があること、参加者はレクリエーション保険に加入すること(COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!)のみで、費用負担はなし)の連絡がありました。なお、公式のカメラ撮影は1日目(8月12日(土))に行われたようで、京都新聞とテレビ(J:COMチャンネル「デイリーニュース京都」)で取り上げられました。私が参加した回には同行していないようでした。 


10:30〜11:30 COSMIC TRAVELING!(コズミック トラベリング!) サウスホールほか

ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」の劇場ツアー「BACK STAGE TRAVELING!」の第2弾です。企画趣旨は「1月に開催し大好評を博した「BACK STAGE TRAVELING!」に続き、かわいい姉妹の案内人“シアター・アテンダント”がロームシアター京都をご案内します。今回は“宇宙”をテーマに劇場のなかを星となって旅する、この日だけの特別なツアー!」とのこと。前回の「BACK STAGE TRAVELING!」は1日で3回でしたが、今回は2日間で4回開催されました。構成・演出・出演は、今回もユリイカ百貨店。 

当日は10:00から1階総合案内横で受付開始。撮影についての同意書にサインした後、参加証として「プレイ!シアター in Summer」と描かれた紙製のウチワを首からかけました。また、「トラベルのまえによんでね!」という注意事項が書かれた紙が渡され、写真や携帯ムービーでの撮影はOKとのこと。山岡美穂のTwitterによると、定員は50名だったようですが、毎回30名以上のキャンセル待ちの行列が出たとのこと。年齢制限なしということで、こどもの参加が多い。

10:30に1階の総合案内に集合。しばらくすると、総合案内のカウンターの下から女性2名が登場。「集合場所はこちらです」とアナウンスして、「ぱひゅーん」と言いながら、カウンターの下に消えました。「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」の「BACK STAGE TRAVELING!」と同じく、松田ちはると山岡美穂で、今回もハイテンションなノリでした。後述のクレジットによると、役名は「アテンダント」で、今回は二人は姉妹という設定でした。衣装は「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」ではピンク色でしたが、今回は緑色でした。
コズミックトラベリング! 総合案内

衝撃音が聴こえて、何かが落ちてきたとのこと。確認するために、メインホール2階へ向かう階段へみんなで移動。そうすると、☆の形をして電光で装飾された「星くん」のぬいぐるみが2階から降りてきました。スピーカーが内蔵されているようで、アテンダントの応答に対して、男の子の声で答えました。なかなかよくできています。アテンダントから今回のタイトル「コズミック トラベリング!」は「星の旅」の意味であることが説明され、星くんのおうちを探す旅となりました。
星くん

階段を上って、メインホールの2階へ。メインホールの入口には、チケットをもぎる男性(チケットボーイ)がいましたが、松田と山岡が「夏休みビーム!」を放つと、チケットボーイ(山口慶人)が倒れて、チケットなしで無料で入場できました。めでたしめでたし(笑)。メインホールの中へ入りましたが、ここには星くんのおうちはありませんでした。星くんを持って移動するこどもは参加者から挙手で募集して、適宜交代しました。
メインホール入口

ホールから出ると、銀色のテープでできたキャラクターがいました。「ギラギラケモノ」という名前で、京都会館の頃からいたとのこと。ギラギラケモノはもっさりと歩きましたが、中に入っていた杉本昂太はダンサーのようです。入口に戻ると、音楽が流れて、チケットボーイも加わってラップを歌いました。歌詞にはロームシアター京都周辺の案内が盛り込まれていました。
ギラギラケモノ チケットボーイ

星くんのおうちを見つけるヒントとなるカギを探すことに。2階の共通ロビーを通ったところで、「管理事務室に行ってくれる人」が募集されました。おそらく管理事務室にたくさんの人が入れないので、参加者の人数を減らしたのでしょう。管理事務室は3階にあり、松田ちはるの先導で階段を上がっていきました。上述のテレビ放送を見たところ、副館長が出てきてカギを渡したようです。その間、山岡がホールの舞台幕(洛中洛外図)の説明をしていただけました。カギが見つかった星くんは3階から2階に吊られたロープで移動しました。
管理事務室への階段 舞台幕(洛中洛外図) 星くんが帰還

階段を下りて、サウスホールへ。サウスホールの中は暗く、風船などで装飾されていました。サウスホールを宇宙に見立てたようです。アテンダントに促されて、こどもたちが願い事を言うたびに風船に明かりがついて、場内が明るくなっていきました。こどもの夢で星を輝かせるという趣旨でしょう。「EXILEになれますように」などと自分の夢を大声で話す子どもは無邪気で、夢があることはいいことです。
星くんのおうちが下手のバルコニー席にあることが分かり、星くんはロープで上部に上がって、おうちに帰ることができました。めでたしめでたし。ステージの幕が上がって、奥から客席に向かって空気砲が発射。実際のステージではなかなか見られない演出ですね。
星くんのおうち

その後、出張から父母が帰ってきて、家族4名が集合。この四人(友井田亮、中村こず恵、りいこ、ほのか)は、「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」でも家族を演じました。こども役の女の子の一人がステージで「星に願いを」を歌いました。伴奏はウミネコ楽団(五月エコ(アコーディオン)と新井洋平(コントラバス))。1番が終わると、紗幕と照明を使った効果で、子供が大きくなり、2番は歌手(inori)が歌いました。inoriは奈落からステージのセリで上がってきたようです。続いて、inoriが「見上げてごらん夜の星を」を歌うと、客席の天井から四角に切った銀テープが降ってきました。2日間で4公演あったので、毎回の掃除が大変だったことでしょう。
こども 紗幕 歌手(inori) 天井から銀紙 終演 サウスホール

終演。退場時にホールの出口で袋を受け取りました。中にはクレジット、演出ノート、プロフィールが書かれた紙が入っていました。構成・演出・脚本を担当したユリイカ百貨店代表のたみお(中杉美知子)が記した演出ノートには、「いつか素敵な大人になる子供達に、劇場を愛する大人たちはどんな心を渡せたでしょうか。その心が、夢や星のようにキラキラとしていたらいいな、と思います。」というメッセージが寄せられました。また、森永乳業のPiknik(ピクニック)がもらえました。森永乳業がこのイベントに協力しているからでしょうか。真夏なのでうれしい。

前回の「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」の「BACK STAGE TRAVELING!」に比べると、ホール設備の紹介よりも空から落ちてきた星くんのおうちを探すストーリーとなり、エンターテイメント性が強まったと言えるでしょう。夏休み期間中で子どもを対象にした企画になっていました。ふだんホールに来ることがない子どもがホールに関心を持ってもらう企画としては成功でしょう。クイズや集合写真撮影などのアトラクションやプレゼントはなく、今回はお芝居中心で、アドリブは少なめでした。前回よりも登場人物が少なく、「雨に唄えば(Singin' in the Rain)」のような大勢でのパフォーマンスがなかったので少し物足りなく感じました。もっとも、アテンダントの二人(松田ちはる、山岡美穂)の進行は前回以上に安定していました。


13:00〜14:00 劇場支配人と行く! ロームシアター京都バックステージ メインホールほか

「普段お客さまは入ることのできない劇場の裏側を、劇場支配人・蔭山陽太がエスコートします。」という企画趣旨で、1日1回公演でした。こちらは小学4年生以上が対象で、参加者はほぼ大人でした。参加証は「プレイ!シアター in Summer」と描かれた紙製のウチワを首からかけました。

1階総合受付に集合したところ、写真は撮影してよいとの説明があり、まずメインホールに移動。客席に座ると、ロームシアター京都支配人の蔭山陽太がマイクで話しました。蔭山のプロフィールは詳しく紹介されませんでしたが、劇場運営に携わった経験があり、まつもと市民芸術館プロデューサー兼支配人やKAAT神奈川芸術劇場支配人を経て、2013年8月にロームシアター京都支配人に就任しました。「このバックステージツアーでは4キロ歩く」と説明されましたが、おそらく400メートルの誤りでしょうか。普段は行けない場所をご案内するとのこと。

ステージのスクリーンに映像を映して、スライドを使ってロームシアター京都の概要を蔭山が説明。京都会館は1960年に前川國男の設計で完成しました。なお、前川は1961年に東京文化会館を手がけて、モダニズム建築として評価されたとのこと。なお、1954年には神奈川県立音楽堂を手がけました。その後、京都会館は舞台機構が古くなってきて、照明などの劇場としての機能が追いつかなくなってきたので改修することになり、耐震のための改修ではないことが説明されました。ロームシアター京都はホールの客席が変わり、現在モダンテラスがあるところはかつて会議場だったが、外観はほとんど京都会館のままとのこと。メインホールは作り直していて、京都会館第一ホールの座席は、座席が占める面積が六角形の形をしていて、ステージも小さかった。ロームシアター京都メインホールではステージは客席から見えている範囲の倍以上の高さがあり、奥行きも倍以上になっている。客席が占める面積は狭くなったが、4階席まで作ったことで、京都会館第一ホールの座席数(2005席)と同じ座席数を確保できたとのこと。

ここからステージに移動。天井の高さを実感して、「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」の「BACK STAGE TRAVELING!」ではキリン5頭分と説明されたことを思い出しました。ステージから客席が近いため、山下達郎は「ライブハウスのよう」と言ったとのこと。後ろの音響板は巻いて格納しているとのこと。
ロームシアター京都 メインホールステージ メインホールステージから客席を望む

続いて楽屋の見学。蔭山曰く、上手側から最も近い「楽屋6」が「一番いい楽屋」とのことで、トイレとピアノがありました。小澤征爾や山下達郎が使ったとのこと。隣の「楽屋5」にもトイレがありました(楽屋の写真は後述の「劇場裏大公開!劇場オープンデー」で掲載します)。楽屋前の廊下は広いですが、本番では差し入れの食料などが並ぶとのこと。
メインホール1階楽屋前廊下

続いて、エレベーターで3階席に。屋外のテラスから平安神宮の大鳥居が見えます。続いて、4階席の客席に。4階席でも意外にステージとの距離は近いですね。続いて、エレベーターで地下2階のノースホールへ。客席は常設されていませんが、約200名が収容できるようです。この日は「COOL☆こどもディスコ」の「こどもDJ体験」が開催されていたので中には入れませんでした。土足厳禁のようです。
メインホール3階席のテラスから平安神宮大鳥居を望む メインホール4階席からステージを望む ノースホール

ここから先が立入禁止エリアで、出演者も入れない場所になります。ノースホールのロビーの奥にある扉を開けて中に入ります。中は長い廊下で、楽屋図面では「共用廊下」と書かれています。照明機材が所狭しと置かれていました。譜面台や椅子などもすごい数です。
地下2階図面 地下2階共用廊下 地下2階共用廊下

奥にある搬入用エレベーター(EV9)に乗って1階に上がります。降りると、そこは搬入口につながっていました。京都会館では舞台の大道具などを搬出入するときに段差があったため、スムーズに作業できずに舞台関係者から不評だったとのこと。今回の改修で関係者から「あそこは大丈夫なんですね」と真っ先に確認されたと蔭山が明かしました。
搬入用エレベーター 搬入用エレベーター 搬入口 搬入口

続いて、楽屋入口へ。共用廊下をはさんで、メインホールとサウスホールの楽屋入口が左右に配置されています。蔭山曰く、出演者に渡すカード式のキーは必要な場所のみ開錠される設定になっているので、セキュリティは確保されているとのこと。
楽屋口 1階共用廊下

最後にプロムナードを通ってサウスホールへ。中は「COSMIC TRAVELING!」の準備中で入れませんでしたが、外壁のレンガは京都会館のものをそのまま使用していて、京都会館当時のチケット売り場も残しているとのこと。ガラス張りのプロムナードがロームシアター京都で新たに増設された部分とのこと。少し時間をオーバーして終わりました。解散時にはまた森永乳業のPiknik(ピクニック)がもらえました。
サウスホールのレンガ 前田國男の煉瓦タイル壁

ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」の「BACK STAGE TRAVELING!」でも見たところがありましたが、蔭山陽太の非常に詳しい解説が聞けて、ロームシアター京都の理解が進みました。なお、ロームシアター京都のホームページからは楽屋図面を含めて舞台図面がダウンロードできます。ここまで公開しているホールは珍しいでしょう。


劇場裏大公開!劇場オープンデー メインホール

メインホールのステージや楽屋などが公開され、事前申し込み不要で自由に出入りできました(年齢制限なし)。スタッフの案内はなく、「兵庫県立芸術文化センター オープンデイ」の「マエストロ[指揮者]はどんな音を聴いているの!?」と同様の企画です。

先ほどの「劇場支配人と行く! ロームシアター京都バックステージ」で見た場所もありますが、団体行動ではないので、ゆっくり落ち着いて見ることができました。先ほど見た「楽屋4〜6」に加えて、「楽屋1〜3」を見ました。いずれの楽屋のドアにも楽屋内のレイアウトと設備一覧表が貼られていました。なお、地下1階にもメインホールの楽屋(楽屋7〜9、楽屋レッスン室1〜3)がありますが、今回は公開されませんでした。
劇場オープンデー メインホール1階図面 メインホール1階楽屋前廊下 楽屋6 楽屋6 楽屋6 楽屋5 楽屋5 楽屋4 楽屋4 楽屋3 楽屋3 楽屋2 楽屋2 楽屋1 楽屋1


1月の「ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター」よりも企画が増えて、今回は全館に拡大して行われました。お盆休みの書き入れ時に2日間開催されたので、ホールの収入を考えると、別の時期のほうがいいのではないかと思われますが、子供たちが夏休みで親子が揃って参加できる時期を考えられたのではないでしょうか。ロームシアター京都をオープンな施設として市民等に利用してもらいたい姿勢がよく表れていて、すばらしい。
企画も参加対象や内容もよく検討されていました。プレ企画もあり充実したラインナップでした。特に「劇場支配人と行く! ロームシアター京都バックステージ」は、前回の「BACK STAGE TRAVELING!」では行けなかったノースホールや立入禁止エリアなども見学できて満足でした。

本日の催し物

(2018.1.3記)

ロームシアター京都1周年記念 プレイ!シアター びわ湖ホール避難訓練コンサート〜オペラからアニソンまで〜