京都コンサートホール大ホール
広上淳一指揮／京都市立芸術大学音楽学部・大学院管弦楽団
ドヴォルザーク／交響曲第９番「新世界より」
ストラヴィンスキー／バレエ組曲「火の鳥」（1919年版）
東儀秀樹／京都の韻
座席：全席自由
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２０１４年６月２９日（日）14:00開演 京都コンサートホール大ホール 広上淳一指揮／京都市立芸術大学音楽学部・大学院管弦楽団 ドヴォルザーク／交響曲第９番「新世界より」 座席：全席自由 |
広上淳一が2013年から客員教授を務める京都市立芸術大学のオーケストラを指揮する演奏会が開かれました。広上が指揮するのは京都市立芸術大学音楽学部第136回定期演奏会「更なる復活」以来３年半ぶりです。前回のマーラー「復活」と同じく、今回のプログラムも広上淳一が京都市交響楽団とは演奏していない曲目が並びました。しかも、「新世界」を１曲目に持ってくるのがすごい。京都市立芸術大学のホームページに練習風景が掲載されましたが、これは「広上淳一客員教授による特別授業」とのことです。ちなみに、「チャリティーコンサート」となっているように、「チケット収入の全額を社会福祉事業の義捐金として寄付いたします」とのこと。
京都市立芸術大学のオーケストラは、先月のクロックタワーコンサート〜京都大学と京都市立芸術大学による交流の午後〜 レクチャー＆コンサート「続・オーケストラってなんだ？！〜オーケストラの魅力１０倍教えます〜」で演奏した「京都市立芸術大学アカデミーオーケストラ（大学院管弦楽団）」は30名でしたが、今回は「京都市立芸術大学音楽学部・大学院管弦楽団」名義で、プログラムには客演奏者を含めて131名の名前が掲載されました。ヴァイオリンが33名と多い。
チケットは全席自由で1000円。開場は開演１時間前の13：00でしたが、入場待ちの行列がスロープの１階まで続いていました。客の入りは８割程度。開演に先立って、京都ライオンズクラブ会長の金剛永謹が挨拶。金剛も京都市立芸術大学客員教授として能楽を教えているとのこと。
プログラム１曲目は、ドヴォルザーク作曲／交響曲第９番「新世界より」。期待以上の演奏でしたが、音程が少し悪い。金管楽器（特にトロンボーン）は音色が汚くて残念。音量よりも音質を求めたいです。第１楽章177小節の1番カッコと反復記号をスコア通り演奏しました。非常に珍しい。第２楽章は弱奏に神経を使って演奏しました。第３楽章は木管楽器が美しい。第４楽章10小節からのホルンとトランペットは柔らかい音色でテヌート気味に演奏しました。最後の小節はあまりデクレシェンドせずに終わりました。広上淳一は指揮棒を使って指揮。
休憩後のプログラム２曲目は、ストラヴィンスキー作曲／バレエ組曲「火の鳥」（1919年版）。「新世界」よりも演奏レベルがぐっとアップ。音色の透明度が高くなって、クリアになりました。ほとんどプロ級の演奏で、色彩感や躍動感もすばらしい。「カスチェイ王の魔の踊り」はトゥッティの八分音符のsfffの切れ味がすごい。「子守歌」は弦楽器の弱奏が精緻ですばらしい。７曲の組曲版でしたが、もっと聴きたかったです。今度はぜひ全曲を聴きたいです。
プログラム３曲目は、東儀秀樹作曲／京都の韻（ひびき）。 プログラムによると2004年に京都ライオンズクラブが創立50周年を記念して東儀秀樹に作曲を委嘱し、京都ライオンズクラブから京都市民に寄贈された作品とのこと。もともと篳篥や笙といった雅楽器が独奏で演奏される作品ですが、今回は東儀秀樹の承認のもと編曲したとのことです。４つの楽章からなります。雅楽器のパートはピッコロとオーボエがソロで演奏。雅楽器に似せて、長い音符では音程を変えて演奏しました。起立して演奏しましたが、楽器にマイクがつけられているようでした。どの楽章も曲想が似ていて、ソロ楽器の独奏から始まり、弦楽器にメロディーが受け渡されました。大河ドラマのオープニングのように雄大ですが、京都らしいかどうかは分かりません。広上淳一はこの作品は指揮棒なしで指揮しました。
カーテンコールでは広上淳一が「若い才能ある学生の演奏はいかがでしたでしょうか。日本の音楽界の将来は明るい。今後も花開くように支援したい」と挨拶しました。アンコールはアンダーソン作曲／セレナータ。広上淳一が好きそうな曲です。クラベスやマラカスが加わってノリがいい。弦楽器がよくまとまっていて、京都市交響楽団と遜色ありません。続けてアンコール２曲目はアンダーソン作曲／舞踏会の美女。京都市交響楽団 at 円山公園音楽堂！でも演奏されました。演奏後は広上淳一がドラムに指示。ドラムロールが始まって、まさかのアンコール３曲目はＪ．シュトラウス�祇ず邏福織薀妊張�ー行進曲。お客さんも手拍子。客席の照明もついてホール全体で盛り上がりました。広上はいったん退場して、しばらく指揮者なしで演奏しました。最後は再登場して大盛況のうちに幕を閉じました。16:30に終演しました。
広上淳一は技術だけでなく音楽を演奏する楽しみや喜びを学生たちに教授したと感じました。また指揮してほしいです。京都市立芸術大学は崇仁地域（京都駅東側）への移転を今後10年をめどに行なう予定です。今後もいろいろな演奏会企画に期待したいです。
(2014.7.7記) 
