京都市交響楽団練習風景公開


   
      
2011年2月12日(土)10:30開演
京都市交響楽団練習場

井上道義指揮/京都市交響楽団

モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」

座席:全席自由


毎月恒例の京響練習風景公開に行きました。いつものように往復ハガキで申し込んだところ、めでたく当選。今回は「京都市交響楽団第543回定期演奏会」の本番前日練習です。指揮は井上道義。プログラムは、モーツァルト3曲(歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲、セレナード第10番「グラン・パルティータ」から第1,3,6,7楽章、交響曲第41番「ジュピター」)という井上道義にしては意外にスタンダードな選曲でした。練習曲目は、京都市交響楽団メールマガジン第59号(2010年12月24日配信)で、「モーツァルト:交響曲第41番(予定)」と案内されました。

10:30に事務局から事務連絡。午後からは、20日(日)が本番のマスカーニ作曲/歌劇「イリス」の練習が行なわれるようです。ゲスト出演の奏者3名が紹介されて、団員から拍手。井上道義が指揮台へ。グレーの長袖のカッターシャツに、下は黒のスーツでした。「おはようございます」と挨拶した後、チューニング。チューニング中に4本指を団員に示して、第4楽章から練習を始めることを伝えました。後ろを振り返って、ギャラリーの見学者に挨拶。「おはようございます。本当はそっちのほうが音がいいんで、そっちで振りたいくらい」と話しました。
オーケストラは、ヴァイオリンを左右に分ける対向配置。左から、第1ヴァイオリン10、ヴィオラ8、チェロ6、第2ヴァイオリン10、コントラバス4の編成でした。トランペットはコルネットを使用しました。

第4楽章から練習がスタート。指揮棒なしで指揮。イスは使わずに、立って指揮しました。井上道義の練習は、2008年10月2010年6月に見学していますが、今回は最初に一度通すことはなく、頻繁に演奏を止めながら練習しました。第1ヴァイオリンだけを取り出して、8小節の八分音符は「もう少し発音して」。第2ヴァイオリンには、冒頭の八分音符は「もう少し弱くていい。最初だけでいなくなって」。「Dの音程が高くなる」と音符単位で細かな指示。続く9小節からの強奏は各楽器の音量を調整。ティンパニには「明日あっち(京都コンサートホール)で調整するけど、もう少し硬いマレットで」。36小節から、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順に現われるカノンをパートごとに練習。「ヴィヴラートに耳を集中したくない」。スタッカートなどのアーティキュレーションだけでなく、ボウイングのアップ・ダウンも細かく指示しました。「これを徹底したい。ハーモニーの中に溶け込むように」と話し、弦楽器全員で演奏。合わせるとものすごく美しい。似たような部分ということで、158小節以降を練習。「pをppに変えてます。ppでお願いします」と話しました。「もう少しなだらかに」と要求。冒頭から反復練習。「アクセントにコントラスト欲しい。まだ朝だから音が寝てるけど、赤塚富士夫時代の「朝!」って感じが欲しい」と腕を突き上げながら説明。管楽器には「足すぞ」「階段上るように」と元気よく説明。「グーです。ジュピターはコントラスト必要な曲なので、これからも意識してください」と話しました。
94小節からは、第1ヴァイオリンに「二分音符を短く」。指揮しながら左手で頭を叩いたので何のことかと思いましたが、157小節の反復記号で頭に戻れという意味でした。57小節からの第1ヴァイオリンとチェロに「トリル早すぎない」と指示。チェロの上村昇から「トリルは1つでいいですか? 2つ入れると…」と井上に質問。井上は「1つか2つか聴いてる人いないだろ」と笑って答えて「1つでいい」と話しました。151小節からのオーボエは「たぶん練習場のせいだと思うけど、音符をはっきり」。242小節からのヴィオラに「下の音(十六音符の後の二分音符)をはっきり」。360小節からは「あまりヴィヴラートにしたくない。すっくりした首筋にしたい」と話して、もう一度練習するとうまくいったので「出た!首筋!」と叫びました。また、「ここは弾んでます」と言いながら、指揮台の前で踊りました。388小節からのコントラバスは「下の音をものすごく強くいただきたい」。

11:20からは、「気持ち悪いだろうけど、メヌエットお願いします」と話して、第3楽章の練習。冒頭の第2ヴァイオリンに「(八分音符の)ミソミソは下の音だけ聴かせて」。9小節から「テンポ変えます」と話し、心持ち速くしました。26小節の管楽器に「スラーが書いてあるかもしれませんが、スタッカートで。二分音符は跳ねてください」。トリオは、コンサートマスターとオーボエがアイコンタクトを取れるように、奏者のイスを動かしました。第1ヴァイオリンで離れた位置に座っている奏者がいたので、井上は「尖閣諸島みたい」と話しました。「次は第2楽章」と話して、11:30に休憩に入りました。

井上道義はスピード感のある指揮で、京都市交響楽団も白熱した演奏で応えました。「少し飛び込んだ」とか「転がる」とか、音符単位で細かい指示を与えました。団員に指示するときに、指揮台を降りて団員の近くで話すことがありました。音楽監督を務めるオーケストラ・アンサンブル金沢では少人数編成で合奏しているからでしょうか。また、作品のすばらしさにも開眼しました。井上道義の指揮が分かりやすく魅力を伝えてくれたからでしょう。第4楽章は密度が濃い、すごい曲ですね。今までモーツァルトの交響曲は第40番を集中的に聴きましたが、今度「ジュピター」でもCD聴きくらべをやりたいです。

(2011.2.13記)


ミュージカル「モーツァルト!」 フランス・ブリュッヘン・プロデュース「ベートーヴェン・プロジェクト」ベートーヴェン交響曲全曲演奏会第4回