ミュージカル「モーツァルト!」


   
      
2011年1月16日(日)13:00開演
梅田芸術劇場メインホール

脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽:シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞:小池修一郎

井上芳雄(ヴォルフガング・モーツァルト)、高橋由美子(ナンネール)、島袋寛子(コンスタンツェ)、涼風真世(ヴァルトシュテッテン男爵夫人)、阿知波悟美(セリシア・ウェーバー)、武岡淳一(アルコ伯爵)、エマヌエル・シカネーダー(吉野圭吾)、山口祐一郎(コロレド大司教)、市村正親(レオポルト)

西野淳指揮/(株)ダット・ミュージック、東宝ミュージック(株)

座席:S席 2階4列38番


作曲家モーツァルトの生涯を題材にしたミュージカル「モーツァルト!」に行きました。ミュージカルの観劇は今回が初めてです。
ミュージカル「モーツァルト!」は、1999年にウィーンで初演された海外の作品です。日本では2002年に初演されました。2005年、2007年に続いて今回で4度目の日本上演です。東京公演に続いて、大阪公演は1月8日が初日、千秋楽が25日という日程でした。
会場の梅田芸術劇場メインホールは、阪急梅田駅茶屋町口から歩いて3分です。入口でパンフレットを1500円で購入しました。観客は圧倒的に女性が多い。

座席は2階席の中央でしたが、ステージからはちょっと距離がありました。ステージの下にオーケストラ・ピットが設けられていて、オーケストラが音出しをしていました。音楽は録音を使うと思っていたので、オーケストラが演奏するとは意外でした。パンフレットを見ると、オーケストラの編成は、フルート1、オーボエ1、リード(Reed)2、ファゴット1、ホルン2、トランペット2、トロンボーン2、ドラム1、パーカッション1、ギター1、ベース1、キーボード2、ヴァイオリン5、ヴィオラ2、チェロ2、マニピュレーター1、DAT2。

オーケストラのチューニングの後、指揮者の西野淳が登場して一礼。緞帳が上がって第1幕が開演。メスナーとモーツァルトの妻コンスタンツェ(島袋寛子)が舞台袖に登場。最初のシーンは、モーツァルトの没後に2人で聖マルクス墓地でモーツァルトの遺骨を懐中電灯を持って探すシーン。出演者はマイクをつけてセリフを話したり歌ったりします。地声だと思っていたので意外でした。赤字で「MOZART!」と書かれた黒幕が勢いよく上がった後、ステージではピアノを弾いている幼少期のモーツァルト(=アマデ(黒木璃七))の周りを人々が取り囲んで「奇跡の子」を歌います。その後、ヴォルフガング・モーツァルト(井上芳雄)が登場。長髪でジーパンを履いています。アマデとモーツァルトが一緒にいるシーンが続くので混乱しました。アマデは「奇跡の子と呼ばれたころのままの分身」としてモーツァルトの隣に寄り添っているとのこと。羽根ペンを走らせて、曲を書いています。アマデ役の黒木璃七(くろぎりあな)は小学4年生の女の子。セリフはなく、白髪のかつらをかぶっていたのでステージからは女の子とだとは分かりませんでした。井上芳雄は元気いっぱいの演技。「赤いコート」をリズミカルに歌います。「僕こそ音楽(ミュージック)」は、「僕こそミュージック」「このままの僕を 愛して欲しい」と自信にみなぎったナンバー。コロレド大司教(山口祐一郎)が威厳のある声。モーツァルトはパリに移りますが、年を増すとあまり祝福されなくなります。母も死去します。「チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに」はエマヌエル・シカネーダー(吉野圭吾)がバトンをまわして拍手喝采。「星から降る金」はヴァルトシュテッテン男爵夫人(涼風真世)のアリア。涼風真世は声がきれい。モーツァルトはヴァルトシュテッテン男爵夫人とともにウィーンへ。「私ほどお前を愛するものはいない(リプライズ)」は、ヴォルフガング、ナンネール(高橋由美子)、レオポルト(市村正親)の三重唱。高橋由美子は高い声で歌詞をはっきり聴かせます。服装は地味。市村正親は落ち着いた声です。「神が私に委ねたもの」は、馬車に乗って歌うナンバー。前後に体を揺らすのがうまい。「並の男じゃない」は、井上が体の柔らかさを生かして動きます。ダンスを覚えるのが大変そうです。「くそくらえ」というセリフも出てきます。第1幕最後のナンバーは「影を逃れて」。「MOZART!」の黒幕が上から下りてきて、第1幕が終了。25分間の休憩。

第2幕は、ふたたび聖マルクス墓地で墓を掘るシーンの続きから始まります。「愛していれば分かる」は、ヴォルフガングとコンスタンツェの二重唱。島袋寛子はかわいらしい声。二人は結婚します。「ダンスはやめられない」は熱唱。島袋寛子の高い声がよく合います。「神よなぜ許される」は、コロレド大司教がレオポルトを呼びつけて、ヴォルフガングをザルツブルクに呼び戻そうとします。山口祐一郎の存在感は市村正親に負けていません。「ウィーンのレオポルト」では、レオポルトがモーツァルトに対して「曲が複雑だ」と責める歌詞があります。「何故愛せないの?」は、井上芳雄が泣き叫ぶように歌います。「父への悔悟」は怒鳴ったような口調で歌います。「モーツァルトの混乱」では、「レクイエム」の「ディエス・イレ」のメロディーに乗せて歌われます。亡くなった父レオポルトの亡霊から「レクイエム」の作曲を依頼されます。モーツァルトも「僕自身に捧げる」と話します。「フランス革命」では、シカネーダーから魔笛の台本を渡されます。「モーツァルト!モーツァルト!」は名曲。大合唱で歌われます。なお、脇役は一人で何役もこなしています。舞台裏では着替えとか大変だったでしょう。不協和音が3発響いて、モーツァルトが羽根ペンを自分の胸に3回突き刺します。アマデも倒れます。モーツァルトが自殺で亡くなった設定になっています。病死が通説なので、この展開は意外でした。最後は第1幕と同じ「影を逃れて」で幕を閉じました。

舞台セットは階段状で自由自在に動きます。伸縮自在で出したり収納できたり機能的でスムーズ。ホリゾントなど舞台装置も活用して、場面をイメージさせました。歌い終わると余韻を持たせずにすぐに照明が消えて、すばやく舞台転換。登場人物の出入りが早いので、暗転なしに進行しました。ピアノなどの楽器も登場。宙に吊るシーンもありました。

音楽は、シルヴェスター・リーヴァイの作曲。ポップス調の楽曲で、ドラムやタンバリンなどの打楽器でリズム感をはっきり出してノリやすい。歌詞はミヒャエル・クンツェの作で、小池修一郎が日本語に訳詞していますが、違和感なく聴けました。途中でモーツァルトの作品が断片的に引用されます。録音テープで流すほかに、オーケストラも演奏しました。パンフレットに記載された「Scenes&MusicalNumbers」を見ると、「ピアノ・ソナタ ヘ長調(kv280)」「セレナード第6番(kv239)」「ピアノ・ソナタ ハ短調(kv457)」「オルガン・ソナタ(kv336)」「ピアノ・コンチェルト第24番ハ短調(kv491)」「歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲(kv621)」「ピアノ・コンチェルト第9番変ホ長調(kv271)」「歌劇「魔笛」(kv620)より」の作品が挙げられています。

拍手に応えて、カーテンコールが2回。出演者が1人ずつ登場して拍手を受けました。さらに、緞帳前に井上芳雄がアマデをおんぶして出てきて挨拶しました。最後はオーケストラがテーマ曲を演奏。16:15に終演しました。

客席はリズムに合わせて手拍子したり、ナンバーが終わると拍手を送ったり、楽しみながら見れました。やはりクラシック音楽の演奏会とは雰囲気が違います。井上芳雄が感情豊かな演技に引き込まれました。2002年から4公演連続で主演を務めていて余裕と貫禄がありました。モーツァルト役をすっかりものにしていて安心して見れました。他の出演者も豪華キャストで楽しめました。

(2011.2.9記)


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