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2010年6月12日(土)13:00開演 京都市交響楽団練習場
井上道義指揮/京都市交響楽団、京都府吹奏楽連盟高校生メンバー リード/アルメニアン・ダンス パート1 座席:全席自由 |
毎月恒例の京響練習風景公開です。いつものように往復ハガキで申し込んだところ、めでたく当選しました。今回は、「オーケストラ・ディスカバリー2010「オーケストラ大解剖!」第1回「吹奏楽VSオーケストラ」」の本番前日練習です。京都市交響楽団に加えて、京都府吹奏楽連盟高校生メンバーと京都市ジュニアオーケストラが共演し、3つの団体が出演します。練習を見てよかったら、本番を聴きに行こうと思っていましたが、すでにチケットは完売してしまいました。残念。京都市交響楽団特別演奏会「第九コンサート」も完売だったので、井上道義は人気がありますね。
いつもは10:30から練習が始まりますが、今回は13:00スタート。土曜日の午前中に授業がある生徒がいるからでしょう。1階のロビーにはいつもより多く奏者が待機していました。2階のギャラリーで聴きます。合奏場は吹奏楽のセッティングで、制服を着た高校生が音出し中でした。
13:00前に場内放送で合奏場に集合するようにアナウンスがありました。事務局から事務連絡。今日の練習順は、アルメニアン、15分休憩、祝典序曲ブラス版、30分休憩、祝典序曲オケ版、ローマの松、(京響のみ)ナハトムジーク。休憩時間が長いのはメンバーの入れ替えがあるからでしょう。明日のゲネプロは10:30から。続いて京都コンサートホールの楽屋の場所の説明。3つの団体でそれぞれ男女の楽屋が用意されるようです。衣装の指示、明日は取材(バンドジャーナル、産経新聞)が入る。また、今日ジュニアオーケストラの結団式が行なわれるとのこと。
吹奏楽のメンバーから練習。残りのメンバーは他の練習室で音出し。共演する京都府吹奏楽連盟高校生メンバーは、京都府高等学校吹奏楽連盟のホームページによると、4月にオーディションが行なわれたようです。制服が違ったので、いろいろな高校から出場しているようです。どのパートにも京都市交響楽団の団員が1人は入っているようです。楽器配置が変わっていて、前列左からクラリネット、フルート、オーボエ。2列目はフルートの後ろにバスーン。その右にサックス。クラリネットの後ろにホルン。ひな壇は前列左からトランペット、トロンボーン。2列目はユーフォニアム(井上道義は「バリトン」と呼んだ)、テューバ。最後列は打楽器でした。
オーボエに合わせて、B♭とGでチューニング。井上道義が指揮台に登場。髪は剃っていて、赤紫の半袖Tシャツに、濃い緑のズボンでした。リード作曲/アルメニアン・ダンス パート1から練習スタート。私は演奏したことはありませんが、吹奏楽曲の定番です。5つの民謡(「Tzirani Tzar」「Gakavi Yerk」「Hoy, Nazan Eem」「Alagyaz」「Gna, Gna」)で構成されています。
「69小節から」と言って、5/8拍子の「Hoy, Nazan Eem」から練習開始。京都市交響楽団練習風景見学では、井上道義は練習のはじめには全曲を通しましたが、この日は途中から練習しました。団員との会話を聴いた感じでは、この日が初めての練習ではなかったようです。イスに座って指揮しました。指揮棒は曲想によって使ったり使わなかったりでした。
演奏はかなりイレベル。井上道義は頻繁に止めながら、繰り返して練習します。打楽器だけ取り出して、5/8拍子のリズム音型の確認。「入りを強く」と話して、この後すべての楽器を同じアーティキュレーションで統一しました。「アクセントはっきり」「飛び込んだように強く」「人をかき分けて「聞いてくれ!」という感じで」「もっとスタッカートをはっきり」と話しました。一方で、117小節?からは「レガートで」「機械的に聴こえる」「抑揚つけて」「色気がほしい」などと性格付けを対比させていました。「もっとルーズソックスで」などと笑わせるような指示も話しました。また、指揮台から降りて足を踏み鳴らしながら踊りましたが、メンバーのリアクションはいまひとつでした。緊張しているからでしょうか。井上が少しかわいそう。繰り返し練習するたびにどんどんうまくなりました。ホルンには「あまりマルカートでなくてもいい。ちょっとチャイコフスキーみたいに」。「ダンスが見えてきた」「強く入って」「もっとスタッカートをはっきり」「頂点が欲しい」、最後の木管楽器のスケールは「バスーンが聴こえないので風が起きない」と話しました。
3/4拍子になる「Alagyaz」(186小節)からは、「スラーは切れているけど、4小節フレーズ」とフレージングを徹底。「終盤のクレシェンドは本当にいらない。キャンセル」と話して、スコアの指定と逆の指示をしました。
「今日やったところだけもう一度返したいです」と話して、ここまでの「Hoy, Nazan Eem」と「Alagyaz」を復習。指示はどんどん細かくなり、「クラリネット全員、点(=スタッカート)をつけて」「ホルンは大きいな。裏声でほしい」など。「Alagyaz」後半のクレシェンドはアルトクラリネットがないことを残念がっていました。
2/4拍子の「Gna, Gna」(224小節)に突入。最初のクラリネットの16分音符をゆっくりしたテンポで演奏。その後1人ずつ演奏させました。途中で団員から質問が出ましたが井上に聴こえなかったようで、「最近耳が聴こえにくい」と話しました。「「熱い」とか「痛い」とかが欲しい」、シンバルに「チャンチャンのあと止めてくれ」、ホルンに「あたまもう少し乱暴に入れる?」と話しました。
最後まで演奏した後、「前のほう全然やってないんでやります」と話し、冒頭「Tzirani Tzar」から演奏。「トランペットはスラーにしちゃって」、「5小節からの木管楽器はチェンバロに近い」。
30小節からの「Gakavi Yerk」はゆっくり落ち着いたテンポで進めました。「Gakavi Yerk」を最後まで演奏すると、「今日はこのへんで」と話し、14:15に練習終了。この日は一度も全曲を通しませんでした。井上道義はギャラリーに向かって手を振りました。配布されたペーパーには「ショスタコーヴィチ/祝典序曲」の吹奏楽編曲版とオーケストラ版の練習見学が予定されていましたが、「アルメニアン・ダンス パート1」の練習が長引いたようです。
ひさびさに吹奏楽を聴きましたがいいですね。高校生がうまくてびっくり。予想していたよりも演奏レベルが高かったです。本番も聴きに行けばよかったです。
(2010.6.20記)