メンデルスゾーン生誕200年記念 ロマンティック・メンデルスゾーン


   
      
2009年7月12日(日)14:00開演
ザ・シンフォニーホール

飯森範親指揮/大阪センチュリー交響楽団
米元響子(ヴァイオリン)

メンデルスゾーン/序曲「真夏の夜の夢」
メンデルスゾーン/付随音楽「真夏の夜の夢」より結婚行進曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」

座席:A席 2階 AA列27番


前日の名古屋フィルハーモニー交響楽団第360回定期演奏会「真夏の夜の夢」に続いて、2日連続でメンデルスゾーンです。飯森範親が大阪センチュリー交響楽団を指揮しました。客席の入りは6割ほど。日曜日午後の公演にしてはさびしい入りです。飯森は映画「おくりびと」にも出演するなど関西でも知名度はあると思うので、この不入りは意外でした。
オーケストラは対向配置で、左から、第1ヴァイオリン(10)、チェロ(6)、ヴィオラ(6)、第2ヴァイオリン(8)の順。コントラバス(4)は最後列に並びました。また、移動式のテレビカメラが多数配置されていました。ステージ上に4台、2階バルコニー席にも1台ありました。この演奏会の主催が朝日放送なので番組で放送されるのだろうと思いましたが、掲示によると来年1月3日の「新春クラシック」で放送される予定とのこと。ずいぶん先ですね。

プログラム1曲目は、序曲「真夏の夜の夢」。飯森はドイツ仕込みということで、縦線をきっちり合わせます。透明感のある音色を追求していましたが、冒頭のフルートとホルンの和音が合わなかったのが残念。ティンパニはペダルティンパニではなかったため、硬い響きでした。

プログラム2曲目は、付随音楽「真夏の夜の夢」より結婚行進曲。金管楽器が追加されました。弦楽器が肩の力を抜いてすっきり演奏しました。

舞台転換の時間を利用して、飯森がマイクを持って舞台脇で挨拶。メンデルスゾーンの作品について「ロマンティック」「幻想的」「すがすがしい気持ちにさせる」と話しました。次のヴァイオリン協奏曲で共演する米元響子とは、今年2度目の共演で、メンデルスゾーンも共演したことがあるとのこと。メインの交響曲第4番「イタリア」について、メンデルスゾーンの4番目の交響曲ではなく、本当は3番目の交響曲であることを紹介した後、今日は改定後の版で演奏すると話しました。「メンデルスゾーンは自分に厳しい人で初演後に反省した」「第2楽章から第4楽章まで大幅に改訂された」「(初演稿と)けっこう違っていますが、間違っているわけではない」と話して笑わせました。

プログラム3曲目は、ヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリン独奏は、米元響子。黄緑色のドレスで登場。ソリスト用のカメラが1階席最前列に設置されていました。力をいれずに弓をスイスイと動かします。線が細いですが、高級感ある音色です。米元の演奏は京都市交響楽団第467回定期演奏会でも聴きましたが、今回は少しミスがあったので、本調子ではなかったのかもしれません。オーケストラは大きな音量を出しませんが、やわらかい響きを聴かせました。

休憩後のプログラム4曲目は、交響曲第4番「イタリア」。上述した飯森の挨拶にあったように、改訂稿での演奏です。ビラやプログラムには記載されていなかったので、急遽決まったのでしょうか。改訂稿は京都市交響楽団第513回定期演奏会で聴きましたが、好きになれませんでした。第3楽章などムダに長い。初演稿より改訂稿は複雑なので、指揮者の役割が高まるため好んで取り上げられるのでしょうか。改訂稿のほうが好きな聴衆はそんなにいないでしょう。
オーケストラは飯森の指揮によくついてきていました。第1楽章はものすごく軽くて勢いがありましたが、ちょっとごちゃごちゃしていました。改訂稿で演奏した第2楽章以降はもっと自発的なアンサンブルが欲しいです。
演奏終了後は、飯森の短い挨拶の後、アンコール。付随音楽「真夏の夜の夢」よりスケルツォを演奏しました。
それにしても、2日連続でメンデルスゾーンばかり聴くと、少し飽きてしまいました。ベートーヴェン「第九」は飽きませんでしたが、作品規模が違うからでしょうか。

大阪センチュリー交響楽団は、橋下大阪府知事の改革によって、2009年度から大阪府からの補助金が大幅に削減されました。他のオーケストラにないアピールポイントや特徴を売りとして前面に出していかないと、多くの聴衆を獲得することは難しいでしょう。2管編成のオーケストラなのでもう少し洗練された響きを聴かせてほしいですし、聴衆に訴えてくるものが少ないように感じました。補助金削減問題で自信をなくしてしまったのか、奏者がやや引っ込んで演奏しているようで、元気がないように見えたのも心配です。もっと力をつけないと本当になくなってしまうのではないでしょうか。

(2009.7.20記)


ザ・シンフォニーホール



名古屋フィルハーモニー交響楽団第360回定期演奏会「真夏の夜の夢」 ロームミュージックファンデーション音楽セミナー2009(指揮者クラス)レッスン見学会