立命館大学交響楽団第101回定期演奏会


   
      
2009年6月19日(金)19:00開演
京都コンサートホール大ホール

金聖響指揮/立命館大学交響楽団

シューマン/劇音楽「マンフレッド」序曲
ヒンデミット/ウェーバーの主題による交響的変容
ブラームス/交響曲第4番

座席:自由


第100回定期演奏会に続いて、立命館大学交響楽団の定期演奏会に行きました。客演指揮は金聖響。2009年4月から神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めています。アマチュアオーケストラを指揮してくれるなんて感謝です。ちなみに、金が立命館大学交響楽団を指揮するのは、第80回定期演奏会(1998.11.26)以来、今回で2回目とのこと。今回は新年度間もないこともあり、出演する団員は2回生から4回生までです。1回生はホールスタッフを担当していました。
座席は全席自由席です。ホールに早く着いたので、3階席Cブロックに陣取って鑑賞です。客の入りは7割程度でした。いつものように団員の名前が書かれた楽器配置図が封入されていました。

プログラム1曲目は、シューマン作曲/劇音楽「マンフレッド」序曲。オーケストラは、対向配置でした(左から、第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン)。金聖響が登場。背が高いです。演奏は音程の悪さが耳につきました。特に弦楽器は相当ヤバい。対向配置でヴァイオリンが左右に分かれていることも影響しているかもしれません。アクセントも鈍く、音型がそろっていません。楽器が鳴りきっていないので、響きがモサモサしています。もっと音圧を強くしてほしいです。金聖響も演奏の出来にあまり納得していないのか、カーテンコールで再登場しませんでした。

プログラム2曲目は、ヒンデミット作曲/ウェーバーの主題による交響的変容。オーケストラのメンバーが総入れ替え。管楽器は4管編成です。1曲目にくらべて、演奏の完成度が格段に上がりました。学生オーケストラとしてはなかなかのレベルで、期待以上の演奏でした。音程もよくそろっています。楽器バランスもいいですが、さらに交通整理ができれば言うことないでしょう。また、強奏はもっと若々しいエネルギーを爆発させてもよかったでしょう。楽器別には、木管楽器のソロがうまい。金管楽器はもっと思い切りよく鳴ってもいいです。打楽器は6人で演奏。いろいろな打楽器が活躍して楽しいです。最後の連符もかっこよく決まりました。初めて聴きましたが、おもしろい作品でした。

休憩後のプログラム3曲目は、ブラームス作曲/交響曲第4番。ヒンデミットよりも人数が減ってコンパクトな編成です。また、楽器配置が変わりました。1列目は、左から、第1ヴァイオリン(10)、チェロ(6)、ヴィオラ(8)、第2ヴァイオリン(10)。チェロとヴィオラの位置が交替しました。また、コントラバス(4)は、最後列の雛壇に並びました。
この作品は金聖響が得意とするピリオド奏法で演奏されました。ビラにも「よみがえる音楽‐ピリオド奏法‐」と書かれていて意気込みが感じられます。弦楽器はノンヴィヴラート奏法で演奏されましたが、そんなに徹底されていません。キンキンした音色ではないので、きつい感じはしませんでした。読売日響みなとみらいホリデー名曲コンサートでのスクロヴァチェフスキよりも刺激的で楽しめましたが、もっと音程を合わせないとピリオド奏法が効果的に聴こえないでしょう。細かなミスはありますが、完成度はなかなか高いです。木管楽器はきれいな音色で、弦楽器が演奏しやすい環境を作っていました。特にフルートはすばらしい。ヴァイオリンは音の跳躍が苦手なようで、音程が乱れます。また、弱奏では技術力が馬脚を露わしてしまうので、もっと安定感がほしいです。また、全曲を聴き通すには、表情のつけ方が少し一本調子でした。
第1楽章はやや速めのテンポ。第2楽章と第3楽章の間でチューニング。第3楽章は6小節からの細かな音符の縦線が揃っていないのが残念。ティンパニは硬いマレットで強打しました。

対向配置やピリオド奏法など、新しい試みへの挑戦は大学オーケストラとしては珍しいでしょう。また、次回の12月の第102回定期演奏会も金聖響が指揮します。次回も楽しみです。

(2009.6.23記)




京都市交響楽団第525回定期演奏会 名古屋フィルハーモニー交響楽団コバケン・スペシャルVol.16「マイ・フェイヴァリット・マスターピーシーズ4」