京都コンサートホール大ホール
マリス・ヤンソンス指揮／ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ドヴォルザーク／交響曲第８番
メンデルスゾーン／交響曲第４番「イタリア」
ラヴェル／ラ・ヴァルス
座席：Ｓ席 ３階 Ｃ−３列１６番
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２００８年１１月１５日（土）16:00開演 京都コンサートホール大ホール マリス・ヤンソンス指揮／ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ドヴォルザーク／交響曲第８番 座席：Ｓ席 ３階 Ｃ−３列１６番 |
今年もロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が京都コンサートホールに来てくれました。帯同する指揮者は、もちろん首席指揮者のマリス・ヤンソンスです。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、最近は２年に１回のペースで来日しています。2004年、2006年に続いて、私が聴くのは今回が３回目です。
チケットは過去２回は当日券なしの全席完売でしたが、今回は当日券が発売されました。この間の不景気の影響でしょうか。とは言っても、客席は大入りでほぼ満員でした。京都コンサートホールでここまで客の入った演奏会を聴くのは久しぶりです。プログラムを1,000円で購入しました。
団員が客席から拍手で迎えられて入場。チューニングでは、オーボエ奏者が席を立ってＡの音を吹きました。過去２回ではお目にかかれなかったので、ちょっとびっくり。立って吹かないと音が聴こえないということはないので、パフォーマンスでしょうか。マリス・ヤンソンスがゆっくりと登場。
プログラム１曲目は、ドヴォルザーク作曲／交響曲第８番。奏者のテクニックがすばらしい。縦線や音質までよく揃っていて、ドヴォルザークを格調高く聴かせました。弱奏も安定していました。弦楽器はまろやかな響き。木管楽器は存在を主張するように演奏しました。過去２回の演奏でも感じたことですが、強奏でもそんなに鳴らしません。特に弦楽器は管楽器に埋もれがちになるほどでした。もう少し鳴ってもいいと思いますが、本拠地コンセルトヘボウと京都コンサートホールのホール特性の違いでしょう。ヤンソンスはやや緩急をつけた指揮で、演奏に伸縮性を与えました。第１楽章の最後は速めに指揮、第２楽章は、弦楽器の16分音符（木管楽器のメロディーの伴奏）を、均等ではなくアッチェレランド気味に後ろに詰めて演奏させました。第３楽章は遅めに指揮。弱奏が美しかったです。譜面台にはスコアが置かれていて、ほとんど見ていないようでしたがたまにめくっていました。
休憩後のプログラム２曲目は、メンデルスゾーン作曲／交響曲第４番「イタリア」。まさに一糸乱れぬアンサンブルでした。ライヴでこの完成度はすごい。木管楽器の明るい音色がすばらしい。ここまで木管楽器が聴こえる演奏も珍しいでしょう。奏者も体を動かしながら演奏していて、視覚的にもよく目立ちました。第１楽章冒頭のフルートとクラリネットの連符の音色が明るい。一気に作品の雰囲気が作られました。第２楽章12小節からのフルートの対旋律を聴かせました。弦楽器も響きがあまり重くなりません。ヤンソンスも木管楽器とホルンを意識して聴かせたいようで、指揮棒を上に上げて指揮しました。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団にぴったりの作品と言えるでしょう。
最後のプログラム３曲目は、ラヴェル作曲／ラ・ヴァルス。３曲のなかで演奏時間は一番短い作品ですが、この日一番人数が多く大編成での演奏です。各声部をはっきり聴かせます。普段はあまり聴こえない音符が聴こえて、いくつか新発見がありました。楽器間での音符の受け渡しもうまく、音色の移り変わりが楽しめました。強奏では和音が美しく響いてすばらしい。特に練習番号63からのトゥッティの音色の鮮やかさは最高でした。また、練習番号85のパウゼも残響が美しく響きました。打楽器もにぎやかに鳴って楽しい。ヤンソンスはテンポに緩急をつけて、冒頭は遅めのテンポでスタート、小太鼓のトレモロが入る練習番号17で一気にアッチェレランド。金管楽器ファンファーレの練習番号26は速く演奏。ラストも熱狂的に速く演奏しました。もう一回聴きたいですね。
熱狂的な拍手に応えてアンコール。Ｊ．シュトラウス�鏡ず邏福織櫂襯�「ハンガリー万歳」を演奏。拍子が軽快でテンポがいい。とても軽く響きました。ヤンソンスは、2006年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートを指揮しているので、得意とするところでしょうか。最後は団員が掛け声を発しました。カーテンコールではヤンソンスはやや興奮気味に拍手に応えていましたが、アンコールは１曲のみで解散しました。2004年と2006年では、アンコールは２曲演奏してくれたので、１曲だけというのは少し意外でした。
アンコールは１曲だけでしたが、その分演奏の完成度が上がりました。まさに非の打ちどころがない演奏で、2004年、2006年と比べても演奏の完成度は一番でした。ドイツのオーケストラのように縦線はきっちり揃えますが、必要以上に堅苦しくなりません。また、フランスのオーケストラのような色彩感を兼ね備えています。ドイツとフランスのオーケストラの「いいところどり」したような演奏が聴けました。木管楽器の音色がとても魅力的でした。選曲もとてもよかったと思います。
ヤンソンスもテンポに緩急をつけて聴かせました。表現にも自由度があって柔軟です。ラヴェルを初めて聴きましたが、ヤンソンスと相性がいいようです。また聴きたいですね。ぜひ京都に来て欲しいです。
(2008.11.16記)
