京都市交響楽団練習風景公開


   
      
2008年9月6日(土)10:30開演
京都市交響楽団練習場

金聖響指揮/京都市交響楽団

シベリウス/交響曲第2番

座席:全席自由


京都市交響楽団第516回定期演奏会の翌々日に、今度は京都市交響楽団練習風景公開に行きました。2007年9月の高関健指揮以来、1年ぶりです。この間、応募ハガキを2回(6月14日(土)と7月6日(日) ともに大友直人指揮)出しましたが、応募者多数のため抽選の結果、残念ながら選外(ハズレ)。今回3回目の正直で当選しました。人気がある金聖響の指揮だったので、よく当選できたものです。ラッキー。
曲目は、翌日14:00開演の「かんでんクラシック イン 京都 金聖響&京都市交響楽団」(京都コンサートホール大ホール)で演奏される「シベリウス作曲/交響曲第2番」でした。ポケットスコアを持参して聴きに行きました。金聖響の指揮を見るのは聖響/ 維納 ウィーン 幻想派<世紀末ウィーン>以来で、かなりひさしぶりでした。

10:15集合、10:30開始でしたが、10:00には京都市交響楽団練習場に着きました。当選ハガキを受付に提出して、2階のギャラリーへ。イスが3列並んでいますが、前回の2007年9月は2列目に座ったところ指揮者が見えにくかったので、今回は1列目の中央に座りました。1階の合奏室では私服姿の団員が談笑しながら音出しをされていました。木管楽器奏者は集合が早く、10:00にはほぼ全員がおそろいでした。その後も、団員が楽器を片手に続々とご出勤。団員の楽譜はすでに譜面台に置かれていました。譜面を準備するのはライブラリアンの仕事なのでしょう。オーケストラの1列目の弦楽器の配置は、向かって左から、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの順でした。

10:30になって、オーケストラの音が鳴りやみ、事務局から団員に向けて事務連絡。今日のスケジュールの確認。アンコールが当初の曲から変更になったようです。明日は10:30からゲネプロ。ゲネプロの曲順は調整中で、追って連絡するとのこと。明日の本番の衣装も連絡。続いて、客演コンサートマスターのモリシタさんの紹介。大阪シンフォニカー交響楽団で首席ソロコンサートマスターを務める森下幸路(もりしたこうじ)さんではないかと思いますが、よく分かりません。メガネをかけておられました。オーケストラのチューニングが始まり、金聖響がスコアを持って指揮台に上りました。黒のTシャツ、紺のジーパン姿でした。髪の毛を一時期染めていたこともありましたが、今は黒髪でした。事務局から指揮者の紹介がありました。

金聖響が指揮台に置かれたイスに座って、さっそく第1楽章からスタート。練習前に作品の成立背景の説明などはまったくなし。有名すぎる作品なので必要ないでしょうか。金聖響は強奏ではたまにイスから立ち上がることがありましたが、ほとんど座っていました。また、暗譜できるほどの曲ですが、意外とスコアを見ながら指揮していました。金聖響の練習の特徴は、楽章ごとにまずは一度も止めないで通して演奏すること。通した後に「ありがとうございます」と言ってから、気になった部分を取り出して練習する方法で進みました。ちなみに、金のスコアには小節番号が振っていないらしく、練習番号(A、B、C、…)を使って指示しました。オーケストラへの指示は「〜しましょうか」という言い方が多かったです。また、第1トランペットがハラルド・ナエスで日本語が通じにくいと感じたのか、トランペットへの指示は英語で話しました。とても流暢な英語でした。
金は全体的に速めのテンポで指揮。腕を左右に動かして、スポーティーな指揮でした。今年で38歳ですが、指揮をしている姿が若い。速いテンポで音楽の流れを作り出したいようでした。スピード感を出すことを求めていたように感じました。オーケストラも金の指揮によくついていました。
第1楽章では、まず「木管楽器のみなさんに質問です」と言って、105小節にスタッカートがついているか木管奏者に確認。スコアには何もついていませんが、金には音符が短く感じたようで、「スタッカートもテヌートもないですが、長めに」と指示。また、冒頭の弦楽器のクレシェンドは「3(小節)にむかって少し向かっていきましょうか」。9小節の弦楽器には「木管が入ったら少し落ちましょうか」。26小節の木管楽器は「少し動きましょうか」と指示。そのほかにも「もっとクレシェンドかけていきましょうか」「そんなに弾かなくていいと思います」「もう少し静かに」などと話しました。270小節から、弦楽が17部に細分化されますが、どういう割合で分けるか、自ら考えて楽器ごとに指示しました。

11:00に第1楽章が終わり、第2楽章へ。この楽章もまず1回通して演奏しました。87小節1拍目のfffzの四分音符は押しつけるように短く切りました。こんな解釈は初めて聴いたのでびっくり。また、167小節(Piu moderato e largamente.)からは、金管楽器とティンパニが鳴りまくり。熱演でした。すばらしい。通した後に「おおむね良好」と話して、戻って練習。第1楽章では冒頭から戻って演奏しましたが、第2楽章は部分的にチョイスして演奏しました。まず、最後の2小節が指揮にあわせてうまく終われるか練習。98小節(Andante sostenuto.)の弦楽器(ppp)に「大きすぎてびっくりしたのでもっと落としてください」。105小節の弦楽器に「(mpになるので)ちょっと落としたいんですね」。130小節からのアクセントは「もうちょっとメリハリはっきりしましょうか」。167小節からのティンパニに「全部ついてもらっていいですか」。他にもいくつか指示がありましたが、演奏に聴き惚れてしまって忘れてしまいました。

11:25に第2楽章が終了。「休憩して、3(楽章)いきます」と話して休憩に。練習は続きますが、公開練習はここまでで終了です。金聖響はわざわざギャラリーに向かって一礼してくれました。予想以上にいい演奏で、翌日の本番にも行きたくなりました。本番もきっといい演奏だったでしょう。窓口で配られたアンケートを提出して帰りました。ちなみに、翌日の演奏会では、シベリウス作曲/交響曲第2番の前に、ブラームス作曲/ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:希生・ザイラー)がプログラムに組まれていました。

金聖響は聖響/ 維納 ウィーン 幻想派<世紀末ウィーン>ではあまりいい印象がなかったのですが、今回は予想以上の快演を聴かせました。女優ミムラと結婚して表現力が増したのかもしれません。公開練習では、指揮者が何にこだわっているのかよく分かっておもしろいです。金聖響は音量の強弱の指示は多かったですが、音色にはあまりこだわっていなかったように思います。金は現在シエナ・ウインド・オーケストラ客演指揮者以外のポストを持っておらず、客演生活が続いています。手兵のオーケストラを持てば、さらに深い音楽造りができると思うのですが、ちょっと残念ですね。

京都市交響楽団練習場のギャラリーは、合奏室の真上にあります。京都コンサートホールの3階席Cブロックよりもずっとずっとオーケストラに近く、普段は絶対に聴けないアングルで演奏が楽しめるのが魅力です。木管楽器の充実した音色がよく聴こえました。

(2008.9.11記)


京都市交響楽団練習場



京都市交響楽団第516回定期演奏会 第12回京都の秋音楽祭開会記念コンサート