聖響/ 維納 ウィーン 幻想派<世紀末ウィーン>


   
      
2004年10月17日(日)15:00開演
ザ・シンフォニーホール

金聖響指揮/大阪センチュリー交響楽団
大岩千穂(ソプラノ)

シェーンベルク/浄夜
マーラー/交響曲第4番

座席:A席 1階 R列21番


金聖響が専任指揮者を務める大阪センチュリー交響楽団と4回シリーズで演奏を行なう「聖響/維納幻想派」の第3回目の公演です。シリーズ共通のプログラムを500円で購入し、ホールへ。客席は9割ほどの入りでした。開演前に「演出の都合上、誘導灯を消灯します」というアナウンスが流れました(どういう意図があったのかよく分かりませんでしたが)。

プログラム1曲目は、シェーンベルク作曲/浄夜。ステージ配置を見てびっくり。左から、第1ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの順でした。おそらくスコアには楽器配置は指定されていなかったと思うので、珍しい配置です。特に、コントラバス奏者を正面から見ることは少ないので、変な感じがしました。金聖響がゆっくりと登場。やはり若いですね。
演奏は、音色のやわらかさや美しさを追求していて強奏でも音量をあまり出しませんでしたが、もっと激しく大胆にガツンと鳴らして欲しいです。音のエッジももっとくっきりきつく出して欲しいです。技術面で大きな不満はありませんが、線が細く繊細すぎ、また音色が明るいため、悲劇的な要素が感じられませんでした。コントラバスは4本でしたが、音量的に低音が不足しているのも残念。冒頭で音程がパート内でもかなり怪しかったのが残念。この曲は前半が好きなので惜しまれます。全体的に弦楽合奏版で演奏したメリットがあまり感じられませんでした。弦楽四重奏版での演奏が頭にインプットされているのでなおさら物足りなく感じました。この作品はもっと切羽詰った緊張感がある演奏で聴きたいですね。
金聖響も直線的な指揮ではなく、むしろ曲線を描く感じでした。途中で指揮棒を置いて両手で指揮していました。

休憩後のプログラム2曲目は、マーラー作曲/交響曲第4番。1曲目の弦楽器配置の後ろに、左から、ホルン、木管楽器、トランペットが並び、木管楽器の後ろにコントラバスが配置されました。
演奏は、浄夜よりもまとまりが出て密度が濃くなりました。管楽器の対旋律を聴かせて活力ある演奏でしたが、いろんな素材が鳴りすぎてごちゃごちゃしてしまった印象があります。第1楽章や第4楽章などテンポが速い楽章はスピード感がありましたが、第2楽章や第3楽章などゆっくりした部分ではやや退屈に感じられました。もう少し旋律の歌わせ方を工夫して欲しいです。また、打楽器の音量が少し大きめなのも気になりました。ソプラノ独唱の大岩千穂は、金聖響の右横で歌いました。発音があいまいで、ドイツ語らしさが感じられませんでした。

金聖響は今回初めて聴きましたが、楽器配置には驚かされましたが、演奏内容は奇をてらったものではありませんでした。指揮も地味でした。選曲の問題もあるのでしょうが、あまり派手な指揮者ではないという印象を持ちました。もっとも大阪センチュリー交響楽団は2管編成のオーケストラなので、大編成のオーケストラをどのように指揮するのか興味があります。今回の楽器配置はどういう意図があったのか知りたいです。

今回、ザ・シンフォニーホールの1階席後方で聴きましたが、ホールの間接音が少し薄いように感じました。1階席の中央は金管楽器がうるさく聴こえがちなので、やはり2階席前方が視覚的にも音響的にも一番いい位置なのかもしれません。

(2004.10.21記)




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