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2006年10月7日(土)18:00開演 京都コンサートホール大ホール 大友直人指揮/京都市交響楽団 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 座席:S席 3階 C−2列12番 |
ひさしぶりに京都市交響楽団の定期演奏会に行きました。ホールに着くと、チケットカウンターに長い行列ができていました。当日券を買い求める人ですが、当日券でこれだけ長い行列ができる演奏会も珍しいでしょう。
開演に先立って、17:30から「京響創立50周年 ロビーコンサート」がありました。今回はヴィオラの二重奏で、北村英樹氏と五十嵐美果氏が登場。北村氏がマイクで「五十嵐さんが好きな曲です」ということで、宮沢和史作曲/島唄を演奏。THE BOOMの原曲で三線(さんしん)が弾いている旋律を、五十嵐がピツィカートで演奏。北村がメロディーを演奏しました。数分で演奏が終わり、次回の演奏曲目を予告して終了。ちょっと短すぎでした。せっかくスポットライトも準備したのに、もうちょっと長く演奏して欲しいです。試みとしては評価したいです。
いよいよ開演。ホールは9割ほどの入り。プログラム1曲目は、メンデルスゾーン作曲/ヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリン独奏はオーギュスタン・デュメイ。デュメイが登場。背がすごく高くてびっくり。大友直人よりも頭ひとつ高かったです。持っているヴァイオリンがとても小さく見えました。
デュメイの演奏を聴いたのは、演奏会でもCDでも今回が初めてでしたが、とても好感が持てました。潤いのあるソフトな音色が耳に優しい。運弓が軽やかで、優雅で余裕のある弾き方です。第1楽章冒頭から慎重な入り方で、有名な第1主題も少し緩急をつけて演奏しました。とても落ち着いて演奏していて、これ見よがしに速く弾いたり大きな音量を出すことはありません。カデンツァも丁寧に正確に演奏していました。気持ちが乗ると、指揮台のほうに歩み出ながら演奏していました。ライヴ感には乏しいものの心に残る演奏でした。もっと聴きたいですね。
大友直人は全曲指揮棒なしで指揮しました。京響の伴奏は、デュメイのアゴーギクにあわせて演奏していました。全体的に音量を落として演奏していました。室内楽的な鳴らし方で、人数の割には鳴っていません。
今年6月の杉並公会堂開館記念コンサートでも聴きましたが、この曲はけっこう楽しめる作品だと気づきました。
休憩後のプログラム2曲目は、マーラー作曲/交響曲第1番「巨人」(作曲の経緯からすれば「巨人」という標題を付けるべきではないと考えていますが、プログラム記載通りとします)。
京響が確実にレベルアップしていると感じました。どのパートも健闘していて、縦線もほとんど乱れません。強奏でもすっきり響いて、混濁感がありません。完成度が高い演奏でしたが、肝心なところで音を外したり、音が出なかったりしたりするのが本当に残念でした。弦楽器(特にヴァイオリン)は、磨かれた美しい音色を聴かせました。ただ、強奏は金管楽器と打楽器に頼りすぎて、弦楽器の音量が不足するのが残念。逆にテューバが少し音量が大きすぎました。
楽器の配置ですが、トロンボーン4本のうち、3本をステージ向かって右に配置し、残り1本をステージ左のホルン8本の中に配置していました。おそらくスコアに楽器配置の指定はないと思うので、大友のアイデアでしょうか。
第1楽章は、木管楽器による鳥の鳴き声を強調。ホルンを強奏させましたが、音の粒が不明瞭なのが残念。
第2楽章は、「8分音符×6+2分音符」の音型の受け渡しをはっきりと聴こえさせました。
第4楽章の途中で、客席で携帯電話の着信音が鳴りました。せっかくの演奏がぶち壊し。演奏会本番中に携帯電話が鳴ったのは、NHK交響楽団京都公演以来で、どちらも京都コンサートホールです。京都市民として恥ずかしいです。
京都市交響楽団と大友直人(常任指揮者とアーティスティック・アドヴァイザー)のコンビは、1995年から共演を重ねているだけあって信頼関係が築けているようで、大友の要求通りの音を出せているように思いました。京都市交響楽団の定期演奏会は、平日に行なわれることが多いので、なかなか行けないのが残念ですが、もう一段階完成度の高い演奏を期待したいです。
(2006.10.10記)