佐渡裕 21世紀の第九


   
      
2004年12月30日(木)16:00開演
ザ・シンフォニーホール

佐渡裕指揮/大阪センチュリー交響楽団
大岩千穂(ソプラノ)、坂本朱(メゾ・ソプラノ)、佐野成宏(テノール)、キュウ・ウォン・ハン(バリトン)
京都バッハ・アカデミー合唱団

ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」

座席:A席 2階 CC列22番


佐渡裕指揮の第九演奏会はここ数年シンフォニーホールで定着しています。今年も3夜連続で開催されました。この演奏会はその最終日です。毎年聴きに来る方もおられるようで、この日の演奏会もほぼ満席でした。

オーケストラ団員が先に入場。大阪センチュリー交響楽団はもともと中編成なので、ほぼ全員が出演しているようです。つづいて合唱団が入場。女声が前3列、男声が後2列に座りました。最後に、佐渡裕が登場。上下黒で統一していました。譜面台はありませんでした。

演奏は京都市交響楽団第457回定期演奏会でも感じたことですが、主旋律以外の旋律を強調していました。特にトランペットはかなり強めに吹かせていましたが、音色が汚くうるさく感じられました。男性的で勢いが感じられる力強い演奏でしたが、トランペットの音量が大きすぎて弦楽器がかき消されてしまうので、バランスの悪さが気になりました。またティンパニも随所で強めに叩かせていました。この作品はやはり弦楽器を主体にした演奏をすべきでしょう。強奏になるとトランペットとティンパニが前面に出てきて外面的に処理しがちなのが残念。
佐渡裕は両腕を高く振り上げて、情熱的な指揮を披露しました。音量を落とす部分ではしゃがんで指揮をするなど見た目にも分かりやすい指揮で、聴かせどころが視覚的に分かりました。
第3楽章の前に、独唱者4人が入場。合唱団前列中央のイスに座りました。オーケストラも簡単なチューニング。第3楽章は一転してゆったりとしたテンポで、一音一音かみしめるように丁寧に進みました。ただし、木管楽器が無表情だったのが惜しい。131小節からのファンファーレは、トランペットとホルンが爆発しました。
続けて第4楽章に突入。92小節からのチェロとコントラバスの有名な旋律の前に大きな間を置いたのが印象的。合唱団は適度なボリュームで心地よく響きました。佐渡裕が合唱団をどのように扱うのか興味がありましたが、意外にスムーズに聴かせていました。オーケストラは音量を落として演奏していましたが、弦楽器はよくまとまっていました。
演奏終了後は、カーテンコールが数度ありました。

佐渡裕の指揮は、分かりやすく派手なアクションを見せるので、初心者はひきつけられるのでしょうが、ベートーヴェンが意図した音楽とは方向性が少し違うのではないかと感じました。
「第九」の演奏会は、昨年の東京フィルハーモニー交響楽団「第九」特別演奏会のインパクトが強すぎて、どうしてもそのときの演奏と比較してしまいます。残念なことに、まだチョン・ミョンフンを超える演奏には出会えていません。

ザ・シンフォニーホールで「第九」を聴いたのは今回が初めてでしたが、特に合唱がいい響き方をするホールだと実感しました。

(2004.12.31記)




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