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2004年6月4日(金)19:00開演 京都コンサートホール大ホール 岩城宏之指揮/京都市交響楽団 石井眞木/響層〜打楽器群とオーケストラのための〜 座席:S席 3階 C−3列13番 |
京都市交響楽団首席客演指揮者の岩城宏之による演奏会です。京響を聴くのは第457回定期演奏会以来、岩城宏之を聴くのはオーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期公演以来になります。
京響定期のプログラムは昨年は有料販売(300円)でしたが、今回は無料で配布してました。客入りは6〜7割程度。かなり空席がありました。こんなに客入りの悪い演奏会を聴くのも久しぶりです。
プログラムは岩城ならではの個性的なプログラム。1曲目は、石井眞木作曲/響層〜打楽器群とオーケストラのための〜。昨年亡くなった石井の1969年の作品。ステージ後方に配置された打楽器のステレオ効果が楽しめました。チェレスタなど打楽器の使い方がおもしろい作品でしたが、演奏が今ひとつでした。打楽器の弱奏で静かに始まり、その後大きな盛り上がりを見せましたが、強奏では打楽器と金管楽器しか聴こえませんでした。弦楽器が致命的に弱いと思います。また、迫ってくるような音圧が欲しいです。音圧が弱いので自信なさげに聴こえました。強奏弱奏に関わらず各声部をもう少し明瞭に聴かせて欲しいです。
プログラム2曲目は、バルトーク作曲/ピアノ協奏曲第2番。ピアノ独奏は上野真。オーケストラのアンサンブルの能力が低くまとまりがありません。何をしたいのか分かりませんし、散漫とした表現しようがない演奏で、非常にいただけません。こんな作品だったのか、本当にスコアどおり演奏しているのか疑問に感じました。オーケストラがピアノよりも遅れて聴こえるなど一体感も感じられませんでした。
上野真のピアノは、強いタッチでノッた演奏を聴かせて好演。ただ、ホールのせいなのか響きすぎで、音の粒がぼやけて、ひとつひとつの音がしっかり聴こえてきませんでした。何の音を弾いているのか分からない部分がありました。
演奏後は、上野が拍手に応えてアンコールを2曲演奏。1曲目はプーランク作曲/ノヴェレッテ第1番。2曲目はラヴェル作曲/ソナチネ第2楽章。芯のある響きで美しい音色でしたが、フランス音楽とは思えないような固い音型でした。
休憩後のプログラム3曲目は、コダーイ作曲/組曲「ハーリ・ヤーノシュ」。ツィンバロン演奏は、メルボルン交響楽団打楽器奏者ロバート・コッソム。ツィンバロンは、指揮者の前に置かれていました。ツィンバロンを生で聴くのは初めてでしたが、音色は琴に近いようでいて、東洋的な鐘のようにも聴こえました。ただ、意外に音量が出ない楽器でオーケストラに埋もれてしまうことが多かったのが残念。オーケストラは、音場が広がってまるで別のオーケストラのような演奏で、ようやく標準的な演奏水準と言える演奏が聴けました。第4曲「戦争とナポレオンの敗北」は、伸びのある金管楽器が聴けました。第5曲「間奏曲」は弦楽器がよく鳴りました。ただ、中盤でキーンと言う異常音がステージから聴こえました、何だったのでしょうか。第6曲「皇帝と廷臣たちの入場」は大きな盛り上がりを見せましたが、もう一押し欲しいと思います。
プログラムの前半と後半で演奏の出来があまりにも違うというのは、演奏会としてはやはり問題があると感じました。練習不足だったのか、メインまでは前座扱いと捉えているのか、いずれにしても京都市交響楽団には、もっと技術力のレベルアップを図って欲しいですし、聴衆を増やせるような演奏を聞かせて欲しいです。
(2004.6.6記)