立命館大学交響楽団第91回定期演奏会


   
      
2004年6月5日(土)19:00開演
京都コンサートホール大ホール

柴田烈(学生)・籾山和明指揮/立命館大学交響楽団
千住真理子(ヴァイオリン)

シベリウス/交響詩「フィンランディア」
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
シューマン/交響曲第1番「春」

座席:3階 C−2列14番(全席自由)


立命館大学交響楽団は学生時代から何度か聴きに行っているので、おそらく一番演奏会に足を運んでいるオーケストラでしょう。今回の演奏会は千住真理子がソロを演奏するということで、前売券が完売するほどの人気ぶり。開演前にはホール前に長い行列ができていました。
学生オーケストラなので、プロのオーケストラと同じ土俵で評価するのは酷ですし、ミスをダラダラと指摘しても面白くありません。そのことを念頭に置いていただいた上で感想を述べます。

プログラム1曲目は、シベリウス作曲/交響詩「フィンランディア」。この作品のみ学生指揮が指揮。弦楽器がしっかりしたボウイングを見せました。

プログラム2曲目は、チャイコフスキー作曲/ヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリン独奏は千住真理子。エメラルドグリーンのドレスで登場。よく通る音色で伸びやかに演奏。立ち位置はあまり変えずに、弓を上から下まで幅広く使って演奏していました。速いパッセージでも軽々と演奏しているので、この作品は難しくないんじゃないかと思ってしまったほどです。細部まで丁寧に弾いており、とても好感が持てる演奏でした。欲を言えば、音色に深みとコクがあればなおよいでしょう。オーケストラはかなり控えめな音量で演奏。細かい音符では乱れが生じましたが、大学オケとしては合格点を与えられる演奏でした。
盛大な拍手に応えてアンコール。千住自らかわいらしい声で紹介があり、千住真理子の兄である千住明作曲/君を信じてを演奏。NHK連続テレビ小説「ほんまもん」のテーマ曲でした。こうして演奏会で聴くとなかなかいい曲ですね。
千住真理子は人気先行のヴァイオリニストでこういう本格的なクラシック作品はどうかなと思っていましたが、実力を遺憾なく発揮した演奏を聴くことができ、今まで過小評価していたことは改めなければならないと感じました。幅広い人気がある理由もよく分かりました。

休憩後のプログラム3曲目は、シューマン作曲/交響曲第1番「春」。私があまり得意としないタイプの作品なのですが、聴きどころがよく分かりませんでした。全体的にダイナミクスの幅が小さいのが残念。強奏ではもう少し音量を上げて欲しいです。籾山の音楽性なのでしょうか。フルートとクラリネットは美しい音色を聴かせていました。

行ってよかったと思える演奏会でしたが、音程やアインザッツの乱れなど、やはり気になることが多かったです。演奏前に時間をかけてチューニングするのも学生らしいと思いました。今回の千住真理子との共演は、立響にとって歴史の1ページに刻まれることと思います。京都大学交響楽団のような熱気や興奮あふれる演奏を聴かせられるまでに成長して欲しいと願っています。

(2004.6.6記)




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