京の音楽会Vol.6「「華」の音楽会」
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2026年6月6日(土)16:00開演 京都芸術センター講堂
髙山郁子(オーボエ)、藤本茉奈美(オーボエ)、佐藤禎(チェロ)
J.S.バッハ/ゴルトベルク変奏曲よりアリア コレッリ/12のトリオソナタより1番 ドリーブ/歌劇「ラクメ」より第1幕「花の二重唱」 モーツァルト/ソナチネ・アマービレ メンケン/「塔の上のラプンツェル」より「輝く未来」 ヘンデル/トリオソナタ
座席:自由
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京都市交響楽団70周年記念アウトリーチ事業の「京の音楽会」の第6回公演に行きました。今回は、「華」の音楽会と題して、京都芸術センター講堂で行なわれました。当日は、京都いけばなプレゼンテーション2026(通称:いけプレ、主催:京都市、公益財団法人京都市芸術文化協会)が開催されました。6月6日の「いけばなの日」にちなんで、2013年から開催されています。今年のテーマは「花で奏でるハーモニー」で、今回は70周年を迎える京都市交響楽団とのコラボレーションで、6月5日(金)から7日(日)までの3日間に渡って、公開いけこみ、体験イベント「いけばなのドレミ」(事前申込制、参加費2000~3000円)が開催されました。
入場無料で事前申込も不要でした。京都芸術センターは、元京都市立明倫小学校の校舎です。展覧会は、1階のフリースペース、2階の講堂と大広間の3ヶ所で開催され、28流派の華道家44名の43作品が展示されました。華道はこんなに流派が多いとはびっくりです。「音楽のイメージを花で表現する新しい挑戦」ということで、クラシック音楽のBGMが各会場に流れていました。どの会場も大賑わいでした。流れている曲は、これからの京都市交響楽団定期演奏会で演奏される曲で、フリースペースはドヴォルザーク「交響曲第7番」(6月、第712回定期演奏会)、講堂はシューベルト「交響曲第7番「未完成」」(8月、第714回定期演奏会)、大広間はドビュッシー「交響詩「海」」(7月、第713回定期演奏会)でした。京都市交響楽団の選曲ですが、京都市交響楽団の演奏ではありません。各会場に定期演奏会のポスターも貼ってあって、うまいコラボレーションです。京都いけばなプレゼンテーションのホームページに「出品者からのメッセージ」が掲載されていて、それを読むと、音楽を作品に取り込んだ具合は人それぞれで、具体的に第○楽章をイメージした人もいれば、まったく触れていない人もいて、結果的に統一のテーマがあるとは思えないほど作品は多彩でした。講堂に展示されていた山中樹(やまなかみき、洛陽未生流)の作品は、ヴァイオリンといけばなとのコラボレーションがおもしろく目を引きました。
本公演の会場は
第6回藝文京コンサート「ピアノの時間」と同じ2階の講堂でした。本公演の出演者は、京都市交響楽団のホームページで発表されて、髙山郁子(首席オーボエ奏者)、藤本茉奈美(副首席オーボエ奏者)、佐藤禎(ただし)(チェロ奏者)の三重奏でした。オーボエ×2とチェロのアンサンブルは、珍しい編成です。藤本は2025年2月から副首席奏者として採用されましたが、定期演奏会などで首席奏者の髙山と副首席奏者の藤本が一緒に並んで演奏する機会は少ないため、2人の共演は貴重です。
講堂のステージ上で演奏しました。ステージ前にはイスが並べられましたが、あっという間に座席が埋まって、立ち見も多数出ました。予想以上の人数の多さでしたが、500人くらいでしょうか。これまでの「京の音楽会」の中では、お客さんが最も多い。「いけばな作品に囲まれた空間でアンサンブルを披露する小さな音楽会」と紹介されていたので、この人数は想定外だったようで、プログラムを急遽コピーして配布していましたが、全員には足りてないようでした。やはり日本の文化とオーケストラとは親和性があると言えるでしょう。
花柄のシャツで登場。左に髙山、中央に佐藤、右に藤本の順で、オーボエは立って演奏、チェロは座って演奏。プログラム1曲目は、J.S.バッハ作曲/ゴルトベルク変奏曲よりアリア。三重奏ですが、よく響きます。藤本は楽器が少し大きいオーボエ・ダモーレを演奏しました。場内はザワザワしていましたが、演奏が始まると静かに聴いていて意外でした。
髙山がマイクでMC。「お客さんが多くて驚いている」とコメント。京都市交響楽団を「京都市民のためのオーケストラ」と断言しましたが、存続に揺れる神戸市室内管弦楽団のことがあるからでしょうか。ゴルトベルク変奏曲は「私が演奏したくて編曲した」とのこと。「華をテーマにした選曲を用意した」とのこと。髙山がオーボエを紹介。「バロック時代からあって、弦楽器のあとに管楽器では初めてオーボエが加わった。諸説あるが、オーケストラがオーボエでチューニングするのもそれが理由と言われている」と紹介。意外にオーボエは歴史が長いんですね。
プログラム2曲目は、コレッリ作曲/12のトリオソナタより1番。髙山が「ヴァイオリンのための曲で4楽章ある」と紹介。音色がよく揃っていて、第3楽章は癒されました。
チェロの佐藤がチェロの紹介。「チェロは植物でできている」といけばなに寄せて説明。「チェロの本体は松ぼっくりができるトウヒで、裏と横は楓」と紹介。これは初めて知りました。「指板は黒檀、弦は金属」とのことで、弦が金属だったとは意外です。「ニカワでくっつけていて、接着剤は使っていないので、梅雨時は大変」とのこと。
プログラム3曲目は、ドリーブ作曲/歌劇「ラクメ」より第1幕「花の二重唱」。とても伸びやかで、オーボエ2人のハーモニーがすばらしい。藤本が「花畑の中で女性2人が歌う曲」と紹介しました。藤本が「オーボエはグラナディラでできている。リードは葦の板を重ねて縛っている」と紹介。グラナディラはクラリネットと同じですね。
プログラム4曲目は、モーツァルト作曲/ソナチネ・アマービレ。髙山がイングリッシュホルンを演奏しましたが、藤本は「イングリッシュホルンはオーボエよりも5つ下の音が出るが、イングリッシュホルンとオーボエは別のリード」と紹介。リードの準備が大変ですね。「髙山は首席奏者で普段はイングリッシュホルンは吹かないので、お得感がある」と説明。藤本は話し慣れています。髙山はイングリッシュホルンを首からストラップで固定します。藤本のオーボエと2人で演奏。3楽章で、もともとホルン二重奏のための作品です。髙山のイングリッシュホルンが芯のある音色でしっかりした伴奏。首席奏者と副首席奏者によるすばらしいアンサンブルで、贅沢な演奏会です。難曲だったようで、演奏し終わると藤本は安堵の表情。
プログラム5曲目は、メンケン作曲/「塔の上のラプンツェル」より「輝く未来」。ディズニー映画からの選曲です。藤本が1曲目の「ゴルトベルク変奏曲」と同じくオーボエ・ダモーレを演奏。藤本は「オーボエ・ダモーレは、オーボエよりも短3度低い。ダモーレは愛らしいという意味で、ラヴェルの「ボレロ」でソロが出てくる。4月の定期で演奏した「家庭交響曲」の他にはほとんど使われていない」と紹介。髙山がオーボエとイングリッシュホルンを持ち替えで演奏。佐藤のチェロと藤本のオーボエ・ダモーレの三重奏です。オーボエ・ダモーレがいい音色です。
佐藤がチェロの紹介の続き。「チェロの弓はブラジルボクで、この木の名前はブラジルの名前になっている。ブラジル周辺で取れる。毛は、馬のしっぽの毛で、馬以外にこんなに長い毛の動物はいないので、馬一択」と紹介。「輸入が多く、最近の円高で大変」とのこと。佐藤はフランクな話し方で楽しいトークです。
プログラム6曲目は、ヘンデル作曲/トリオソナタ。4楽章あって、オーボエ×2とチェロの三重奏。第3楽章の掛け合いが楽しい。髙山と藤本の音色がとてもよく似ていて、最高のハーモニーでした。
拍手に応えて、アンコールは、チャイコフスキー作曲/花のワルツ。髙山が「どうしても演奏したくてごり押しで編曲した」とのこと。今日のこの場に最もふさわしい選曲かもしれません。冒頭のハープのソロは、チェロが演奏、その後はオーボエの掛け合いで演奏。オーボエがメロディーとハーモニーを担当。全曲ではなくカットがあって短め。16:55に終演。
オーボエだけでなく、オーボエ・ダモーレやイングリッシュホルンも聴けて、楽器紹介も楽しめました。花にちなんだ選曲も工夫されていました。お客さんも多く、大盛り上がりでした。オーボエ奏者は普段ならこんなにぶっ続けで次々と演奏することはないので、お疲れ様でした。