Osaka Shion Wind Orchestra第163回定期演奏会
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2025年11月22日(土)14:00開演 ザ・シンフォニーホール 飯森範親指揮/Osaka Shion Wind Orchestra 「Because it’s there〜山にまつわる作品集」 座席:S席 2階CC列22番 |
第161回定期演奏会以来半年ぶりに、Osaka Shion Wind Orchestraの定期演奏会に行きました。本公演を指揮する予定だった秋山和慶(当時は芸術顧問、現在は名誉芸術顧問)は、今年1月1日に自宅で転倒し、1月23日に指揮活動からの引退を表明したため、第158回定期演奏会(2025.1.25)は指揮者を飯森範親に変更して開催されました。秋山は引退表明からわずか3日後の1月26日に84歳で亡くなりました。秋山は大阪市音楽団時代の2003年から芸術顧問を務めていましたが、あまりに急なことで本当に驚きました。
そして、本公演の代役の指揮者も飯森範親に決まったことが2月16日に発表されました。最高の代役でよかったです、飯森は、パシフィック フィルハーモニア東京音楽監督、群馬交響楽団常任指揮者、山形交響楽団桂冠指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者、東京佼成ウインドオーケストラ首席客演指揮者、中部フィルハーモニー交響楽団首席客演指揮者を務めています。日本センチュリー交響楽団首席指揮者は今年3月で退任しましたが、本公演のプログラムの飯森範親のプロフィールにはまだ残ったままでした。
本公演は「Because it’s there〜山にまつわる作品集」と題して、作品名に山が入った4曲が演奏されました。「Because it’s there」は「そこに山があるから」の意味で、イギリスの登山家ジョージ・マロリーの言葉です。メインは「アルプス交響曲」で、飯森は日本センチュリー交響楽団第274回定期演奏会(2023.6.10)でアルプス交響曲を指揮しました。私はこのチケットを予約したのですが、入金を失念して無効になってしまい、聴きに行けませんでした。今思い出しても残念です。
本公演のチケットは 「がんばれ!Shion応援団」レギュラー応援団限定先行発売で、Shionオンラインチケットで5%割引で購入しました。チケットはセブンイレブンで発券しました(発券手数料は127円)。また、CURTAIN CALLによってライブ配信されました(視聴料金は3,000円)。ShionのX(@OsakaShion)によると、リハーサルは11月19日からスタートしました。
残念ながらかなり空席が多く、お客さんの入りは4割くらい。ポディウム席には客入れなしでした。なお、毎日新聞大阪開発が、本公演(席種は不明)とランチコース(福島駅近くのフレンチレストラン「ヴェルヴェット・ヴァーゴ」)をセットで、9,000円で販売していました。トランペットの客演奏者で池田悠人(関西フィルハーモニー管弦楽団首席トランペット奏者)、サクソフォンの客演奏者で福田彩乃が出演していました。オーボエのAでチューニング。
プログラム1曲目は、酒井格作曲/行進曲「山辺の道」。2002年に作曲された奈良ウインドコンサートファミリーの創立20周年記念委嘱作品です。「山辺」とは、奈良市と桜井市を結ぶ日本最古の道とのこと。メロディーが分かりやすい曲で、整ったサウンドでした。プログラムによると、間宮芳生の「カタロニアの栄光」の影響を受けているとのことですが、確かに雰囲気は似ています。打楽器が8人もいます。ウッドブロックが2種類あって、音色の違いが楽しい。スコアによると、ウッドブロックではなく、低い音がGyoban、高い音がMokushoとのこと。チャイムやトロンボーン×3のグリッサンドなど見せ場もあります。演奏終了後は飯森が客席に拍手。作曲者の酒井が来ていたようです(3階席からは見えず)。
プログラム2曲目は、リード作曲/サスカッチアンの山。サスカッチアンはカナダにあって、1967年にカナダ建国100周年を記念して作曲されました。静かに始まります。木管楽器の内声を聴かせたハーモニーで、見通しがよくバランスが取れています。Shionと指揮者との相性のよさが感じられました。
次の曲で打楽器が大移動するので、メンバー全員がいったん退場。飯森がマイクでMC。飯森は本公演は秋山が指揮する予定だったが、代役を務めていることを紹介しました。
プログラム3曲目は、シュワントナー作曲/…そしてどこにも山の姿はない。1977年の作品。飯森は上述のMCで「不思議な音がする凝った作風。秒数が書いてある」と紹介しました。プログラムによると、秒単位で時間が設定されていたり(タイムライン記譜法)、「senza misura(拍子無しで)」と書かれている部分があるようですが、そういう難しさは感じさせない演奏でした。配置が前曲までとは異なり、1列目は左から、フルート、オーボエ(オーボエの4人がグラスハーモニカを担当)。2列目はクラリネットとファゴットで、サックスがいません。打楽器は8人とピアノ。いきなり打楽器の強打から始まります。下手側で水槽が置いてあって、客席に背を向けて後ろ向きに何かをしています。よく分かりませんでしたが、ウォーターゴング(Water Gong)のようです。オーボエの4人が2つか1つのグラスハーモニカ(水が入ったワイングラス)をお盆に載せていて、ワイングラスの縁をなでて演奏します。よく聴こえました。トランペット奏者が口笛を吹きます。鍵盤楽器の色彩感がいい。バスドラム×2が強打で連打に続いてティンパニが連打。ようやくホルンにメロディーらしい旋律が現れて、打楽器の連打の中で、管楽器がわめき声を上げます。飯森はこの作品は指揮棒なしで指揮しましたが、シャープで緊張感がある響きが楽しめました。グラスハーモニカなど、視覚的に楽しめる作品でした。CDで聴くよりもコンサート向けの作品ですね。
休憩後のプログラム4曲目は、リヒャルト・シュトラウス作曲(石毛里佳編)/アルプス交響曲。飯森は上述のMCで、「アルプスとは、スイスのアルプスではなく、ドイツで一番高い山のツークシュピッツェのこと。今はケーブルカーがあるが、上まで4回登ったことがある」「シュトラウスが晩年に作曲した作品でオペラ的な要素がある。頂上では穏やかなオーボエのソロが演奏されて、音楽では頂上でも大騒ぎしないが、行けば分かる」と解説しました。また、「吹奏楽版は初めてだが、5回指揮しているので、今回が6回目の山登り」と話しました。石毛里佳による編曲は、ヤマハ吹奏楽団第45回記念定期演奏会(2011.4.16 アクトシティ浜松大ホール、今村能指揮)で演奏されて、CD化もされていますが、プログラムの解説によると楽譜は未出版とのこと。打楽器8人のうちティンパニが2人です。ハープ×2、チェレスタ、オルガンなど本格的な編成です。
演奏は柔らかい響きで、作品にふさわしくヨーロッパ風と言えます。約50分間休みなく演奏されるので、かなりスタミナがいる作品です。また、吹奏楽ではどうしても音色が似ているので、変化に乏しい。やはりオーケストラよりも表現力は劣りました。強奏では打楽器とオルガンが強くて、あまり管楽器が聴こえません。もう少し木管楽器の人数を増やす必要があるでしょう。また。ソロはちょっと危なっかしいところがありました。
冒頭の「夜」は、ピッコロ×2が和音のディヴィジョンに使われています。「山登り」は、バンダがパイプオルガンの右横の扉から登場してポディウム席の後ろで立奏。左から、ホルン×9、トランペット×3、トロンボーン×3で、客演奏者5名と相愛大学音楽学部音楽学科管楽器専攻の賛助出演10名で構成されました(ちなみに、オーケストラの原曲では、ホルン×12、トランペット×2、トロンボーン×2)。Osaka Shion Wind Orchestraと相愛大学音楽学部が業務提携を締結したので、その一環での出演でしょう。オーケストラの原曲では「舞台裏」「遠くから」の指示があり、上述したヤマハ吹奏楽団のCDも遠くから演奏しているように聴こえますが、本公演では客席から丸見えの位置で演奏。音量もステージで演奏しているメンバーよりもデカい。おそらく飯森の解釈でしょう。演奏が終わるとバンダは退場しました。「小川沿いを歩く」は、左のクラリネットと右のサクソフォンがちょっとメロディーの縦線がずれるのが残念。「牧場にて」のカウベルは打楽器奏者5人が両手に持って揺らすので賑やか。ピッコロとフルートのトリルが彩りを添えます。「氷河にて」でホルン×5のメロディーがよく鳴ります。「幻視」の練習番号96のクライマックスは、金管楽器の音量をもうワンランク上げてほしい。「嵐の前の静けさ」はクラリネットの伸ばしの音程が合わせられるとよいですね。ウインドマシーンが回って、「雷と嵐、下山」でようやく2台目のティンパニの出番。練習番号124でサンダーシートが炸裂。1人が上部をハンマーでたたいて、1人が下部を揺らして、2人がかりで演奏するのは初めて見ました。最後のティンパニ×2と大太鼓も轟音を聴かせました、「日没」と「終末」は管楽器のみでも魅力があり美しく聴けましたが、ちょっと音程が悪いのは残念。「夜」の練習番号145のトランペットとトロンボーンは、もっと夜にふさわしい小さく暗い音でお願いしたいです。
カーテンコールでは、下手からバンダのメンバーが登場。飯森は一人ずつ握手しました。飯森がマイクでMC。「秋山先生が選ばれたプログラムで、最後にアンコールとして選ばれたのはフニクリ・フニクラ」と明かしました。アンコールまで決めていたとはびっくり。飯森は「なぜこの曲かと思ったが、イタリアの民謡で、リヒャルト・シュトラウスの「イタリアから」の4楽章に使われている。アンコールとして意味のある作品」と力強く語りました。デンツァ作曲(リード編)/フニクリ・フニクラを演奏。「鬼のパンツはいいパンツ」と歌ってしまいそうになりましたが、すごくいい曲に聴こえました。Shionはこういう曲のほうがあっています。
