京都黒笛音楽隊第14回クラリネットコンサート


2023年2月25日(土)14:00開演
京都コンサートホールアンサンブルホールムラタ

京都黒笛音楽隊
指揮:品川健、田村忠喜

Ⅰ部 クラリネットアンサンブルステージ
 J.シュトラウス(中島雅彦・山中美里編)/喜歌劇「こうもり」序曲
 下田和輝/小動物は駆け回る
 新井千悦子/Sweet Briar
 ドンディーヌ/田園小組曲
Ⅱ部 クラリネットオーケストラステージ
 モーツァルト(品川健編)/歌劇「羊飼いの王様」序曲
 マスカーニ(品川健編)/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
 酒井格/優しい風と君と
 ピアソラ(行方一喜編)/オブリヴィオン
 R.シュトラウス(中村克己編)/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」

座席:自由


 
京都黒笛音楽隊の演奏会に初めて行きました。黒笛は「くろぶえ」と読み、クラリネットのことです。クラリネットは高校と大学で吹奏楽部で演奏していたので、馴染みのある楽器です。
 
京都黒笛音楽隊のメンバーはクラリネットのみで、2005年に結成され、京都府職域・一般吹奏楽連盟にも加盟しています。過去には京都府アンサンブルコンテストで京都府代表になったことがあるとのことです。プログラムに掲載されたメンバーは25人です。京都黒笛音楽隊のTwitter(@Kyoto_kurobue)によると、昨年10月から16回の練習を行なったようで、鈴木啓哉(奈良フィルハーモニー管弦楽団ホルン奏者)のレッスンを受けたようです。京都コンサートホールでの公演は4年ぶりとのこと。
 
入場は無料ですが、整理券が必要でした。整理券は当日会場に用意しているとのことでしたが、京都黒笛音楽隊のホームページで取り置きをお願いしました。受付でチケットに名前や電話番号を記入しましたが、入口でチケットはすぐに回収されました。
 
開演前には、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」のピアノソロ編曲が流れていました。客の入りは6割ほどで、老若男女が幅広い。こどもが演奏中に声を出すこともありました。
 
前半のⅠ部は、クラリネットアンサンブルステージで、4曲演奏されました。メンバーの衣装は黒でした。
プログラム1曲目は、J.シュトラウス作曲(中島雅彦・山中美里編)/喜歌劇「こうもり」序曲。E♭、B♭、アルト、バスの四重奏。4つ並ぶと、E♭クラリネットは、小さく見えます。原曲通りの調性で、サクソフォン八重奏は第4回京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation」で聴きましたが、メロディーを担当するE♭クラは、細かな音符が多く息継ぎも大変で負荷が大きい。アルトとバスはリズムを担当。木管楽器の柔かな音色を楽しめました。MCの白木ちづるが曲間に出てきて曲目などを紹介しました。
プログラム2曲目は、下田和輝作曲/小動物は駆け回る。B♭クラ四重奏。MCの曲目解説で「すばしっこい。小動物とはウサギやリス」と説明されましたが。息の長いメロディーもありました。 陽気な作品。
プログラム3曲目は、新井千悦子作曲/Sweet Briar。B♭×4とバスクラの五重奏。Sweet Brierとは、北海道紋別市の市の花である「ハマナス」のこと。ゆったりしたバラードですが、中間部は速いアーティキュレーション。
プログラム4曲目は、ドンディーヌ作曲/田園小組曲。B♭×4とバスクラの五重奏。4つの楽章から成り、ゆったりしたテンポでのんびりした作品。
 
休憩後のⅡ部は、クラリネットオーケストラステージ。最後列の雛壇にバスクラ4とコントラバス2(エキストラ)、その前にB♭×8と、台の上にアルト×3。最前列はE♭×1とB♭×8。指揮者は譜面台を置いて指揮しました(指揮台はなし)。
プログラム5曲目は、モーツァルト作曲(品川健編)/歌劇「羊飼いの王様」序曲。MCによると、モーツァルト19歳のときの作品とのこと。指揮は品川健(たけし)。品川は京都黒笛音楽隊の代表を務めています。よくまとまっていて、音量も十分。品川の指揮は左右によく揺れて魅せます。
プログラム6曲目は、マスカーニ作曲(品川健編)/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲。引き続き品川が指揮。原曲通りの調性ですが、主旋律がもう少し美しく聴かせられるとよいでしょう。
プログラム7曲目は、酒井格作曲/優しい風と君と。指揮が田村忠喜に交代して、品川はコントラバス×2の右で、コントラアルトバスクラリネットを演奏。風を表現するため連符が多く、いかにもクラリネットらしい作品。田村の指揮は振りが大きい。
プログラム8曲目は、ピアソラ作曲(行方一喜編)/オブリヴィオン。MCによると、もともとは歌曲とのこと。編曲した行方一喜(ゆきかたかずき)が指揮者の左で立って演奏しました。
プログラム9曲目は、R.シュトラウス作曲(中村克己編)/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」。ふたたび品川が指揮。こんな曲をクラリネットにアレンジするとは驚きですが、シンフォニックで迫力もあり、リヒャルト・シュトラウスらしさも出ています。原曲のホルンソロはアルトクラのソロが演奏。12小節からの八分音符の2発がよく揃っています。ティンパニがないのが少しさみしいですが、ワルツ風でクラリネットらしさがあって、意外にも吹奏楽向きの作品かもしれません。B♭クラリネットは4声に分かれているようです。
 
アンコールは、スコット・ジョプリン作曲/イージー・ウィナーズ。ソニー損保のテレビCMなどで使われていますが、クラリネットで演奏するのに向いています。15:45に終演。
 
演奏全体ではリードミスがやや多いのが気になりました。逆に言うと、リードミスをまったくしないプロ奏者はすごいですね。
 

(2023.4.4記)

 
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