【中止】第42回全日本医科学生オーケストラフェスティバル


   
   
2022年8月10日(水)18:00開演
京都コンサートホール大ホール

広上淳一指揮/全日本医科学生オーケストラ

バーンスタイン/「キャンディード」序曲
ハチャトゥリアン/組曲「仮面舞踏会」
ドヴォルザーク/交響曲第7番

座席:全席自由


第42回全日本医科学生オーケストラフェスティバルが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になりました。これで3年連続の中止で、今回は京都で開催される予定でしたが、残念です。

全日本医科学生オーケストラ連盟は、全国の国公私立医系大学の学生が集い、オーケストラ活動を通じて音楽の奨励発展に寄与すると共に、音楽同好学生相互の親睦交流及び音楽に関する情報交換を目的として、1981年に設立されました。全日本医科大学オーケストラフェスティバル(通称=夏オケ)は、全国最大級の医療系オーケストラフェスティバルで、毎年8月上旬に開催されています。全国の国公私立大学の医学系、看護系、薬学系の約50大学から約200人が参加します。過去には、大野和士(第1回、第2回)、藤岡幸夫(第10回、第21回、第26回)、松尾葉子(第17回、第19回)、ダグラス・ボストック(第22回、第28回)、曽我大介(第29回)、現田茂夫(第31回)、寺岡清高(第32回)、山下一史(第37回)などが客演指揮しています。

夏オケ42の公式Twitter(@natsuoke42nd)の4月22日の投稿で開催を知りました。今回指揮を務める広上淳一は、第24回(2004.8.10 大阪市立総合文化センター グランシアタ)、第25回(2005.8.9 ミューザ川崎シンフォニーホール)、第30回(2010.8.8 サントリーホール)、第35回(2015.8.9 サントリーホール)、第36回(2016.8.12 ミューザ川崎シンフォニーホール)、第38回(2018.8.11 サントリーホール)と、なんと6回も指揮しています。2年前に中止となった第40回(2020.8.9 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)でも指揮する予定でした(詳細は後述)。京都市交響楽団第665回定期演奏会で、京都市交響楽団第13代常任指揮者兼芸術顧問を退任してから、自らが館長を務める京都コンサートホールで指揮する初めての演奏会となる予定でした。

夏オケ42の公式ホームページ(https://natsuoke42.wixsite.com/42-site-1)によると、エントリー(演奏者募集)は5月下旬から行われました。メンバーの対象は、医療系学生に限らず、すべての大学生、短大生、専門学校生が参加可能でしたが、エントリー費が68,000円と高額です。また、オプションとして、主管ホテルは、ホテルグランヴィア京都(1泊7,200円)で、ビジネスホテルとかじゃないのがすごい。貸し譜面台1本600円、昼食弁当550円、夕食弁当650円などの設定がありました。運営は、これまでは持ち回りで主管大学が担当していたようですが、今回は様々な大学から集まった「有志による合同主管」で運営されました。

練習日程は、8月4日(木)〜9日(火)の本番直前の6日間。これまでは合宿形式で練習していたようですが、今回は京都と滋賀のホールで通い形式となりました。具体的には、呉竹文化センター、西文化会館ウェスティ、北文化会館、大津市民会館(=合奏会場)、大津勤労福祉センター、びわ湖ホール、ピアザ淡海に分散して練習となる予定でした。スケジュールは、初日の4日(木)に初合奏、その後3日間はパート練習&セクション練習、その後2日で合奏、演奏会当日はリハーサルと本番でした。短期集中の日程なので、事前に個人練習は必須ですね。日替わりで練習場所が変わったりするので、楽器の運搬も大変そうです。
トレーナーが楽器ごとにいて、指導体制は充実しています。川島秀夫(ヴァイオリン、元関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター)、藤村俊介(NHK交響楽団次席チェロ奏者)、黒木岩寿(東京フィルハーモニー交響楽団首席コントラバス奏者)、富久田治彦(名古屋フィルハーモニー交響楽団首席フルート奏者)、和久井仁(NHK交響楽団オーボエ奏者)、糸井裕美子(東京都交響楽団クラリネット奏者)、菅原恵子(NHK交響楽団ファゴット奏者)、三澤徹(神奈川フィルハーモニー管弦楽団契約首席トランペット奏者)、田中徹(札幌交響楽団トロンボーン奏者)、長谷川正規(チューバ、上越教育大学大学院学校教育研究科准教授)、久保昌一(パーカッション、(NHK交響楽団首席ティンパニ奏者)、坂本雄希(パーカッション、東京佼成ウインドオーケストラティンパニ奏者)など、顔触れも豪華です。なお、京都コンサートホールのホームページによると、ハープの客演で水野なほみが出演するとのことでした。

チケットは7月下旬から発売が開始されました。全席自由で前売り券は1000円で、Ticketta!(チケッタ!)から販売。クレジットカード決済ができましたが、購入手数料で80円かかりました。メールに表示されたQRコードをスキャンして入場する予定でした。

7月29日に「開催中止のお知らせ」がホームページに掲載されて、残念ながら3年連続で中止が発表されました。「通い形式への変更、練習日程の短縮や編成の縮小など感染防止対策を講じましたが、過去最高の新規感染者数を記録していることや、先生方、学生、夏オケに参加してくださる皆様の健康を守りきれないと判断しました」とのこと。演奏会当日(8月10日)の京都府での新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は6,478人で、過去2番目の多さで、全国での感染者数は初めて25万人を超えました。また、「出演者のほとんどが医療系学生であること」や「全国から参加者が集まり感染を広めるリスクがあること」も理由に挙げられており、第7波の急速な感染拡大に敏感にならざるを得ない点もあったようです。メンバー募集やチケット販売まで進んでいたのに、無念でしょう。「エントリー費の返金も既に発生してしまった諸経費を考慮しつつ可能な限り対応する」とのことで、直前の中止でチケット発売も開始していたので、金銭的な影響が大きいでしょうか。
チケットの払い戻しは、8月3日にTicketta!から届いたメールで「また後ほどご連絡をさせていただきますので今しばらくお待ちください」と連絡があり、8月24日に届いた「払い戻し申請フォーム」に入力すると、数日で1,000円がクレジットカードに返金されました(購入手数料の80円は返金なし)。返金せずに寄付してもよかったですが、そのような選択肢はなさそうでした。なお、オプションのTシャツ(2,500円)やスウェット(3,500円)がもし余っているようでしたら、買ってもいいです。

一方で、7月29日には広上淳一が新型コロナウィルス感染症の陽性になったと発表がありました 。8月3日(水)に新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮する予定だったフェスタサマーミューザKAWASAKI2022「山本直純生誕90年と新日本フィル創立50年を祝う!」は、梅田俊明が代役で指揮しましたが、8月22日(月)の東京ジュニアオーケストラソサエティ第22回定期演奏会で無事に復帰しました。

なお、夏オケが最後に開催できたのは第39回で、2019年8月9日(金)に東京芸術劇場大ホールで、指揮は中田延亮が務めました。主管校は順天堂大学。第40回は2020年8月9日(日)に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで、広上淳一が指揮する予定で、演奏曲は今回とは異なり、ウォルトン「王冠」、チャイコフスキー「1812年」、マーラー「巨人」のプログラムでしたが、5月に中止が発表されました(主管校は千葉大学)。第41回は、2021年8月9日(祝-月)に高崎芸術劇場大劇場で、中田延亮が指揮する予定でしたが、4月に中止が発表されました(主管校は関東圏合同開催)。

ちなみに、夏オケの他には、北オケ(北日本医科学生オーケストラフェスティバル)と西オケ(西日本医科学生オーケストラフェスティバル)があり、どちらも毎年3月に開催されます。北オケは第30回(2022.3.2 よこすか芸術劇場)が3年ぶりに開催されましたが、西オケは第33回(2022.3.12 サーラ音楽ホール)は残念ながら3年連続で中止となりました。

大学生が合同演奏できる機会が薄れていくのは残念です。40年を超える歴史があるだけに、来年こそは開催できることを祈っています。

(2022.8.16記)
(2022.9.1更新)

 

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