ウエスティ音暦おとごよみ 〜弦楽の調和〜


2021年11月27日(土)14:00開演
京都市西文化会館ウエスティホール

京都市立芸術大学音楽学部・大学院弦楽専攻生

ホルスト/セントポール組曲
スーク/弦楽セレナーデより第1、2、4楽章
チャイコフスキー/弦楽セレナーデより第1、3、4楽章

座席:全席指定 8列15番



昨年の「ウエスティ音暦おとごよみ 〜弦楽のしらべ〜」につづいて、今年も「ウエスティ音暦(おとごよみ)」に行きました。京都市立芸術大学音楽学部・大学院弦楽専攻生による演奏会で、毎年この時期に京都市西文化会館ウエスティホールで開催されています。

入場は無料ですが、今年も事前申込が必要で、先着順で182席。メールで申し込むと、座席番号付きの「入場整理券」が添付ファイルで返信され、当日印刷して持参するします。座席は指定で、自分では選べませんでした。11月15日から申し込みが始まりましたが、1週間で整理券の受付が終了となりました。

建物入口で検温と消毒。「入場整理券」を受付で見せて、机に置かれたプログラムを自分で取りました。座席の番号は後列から付番されているので、「8列」は前から11列目のちょうど中央でした。 前後左右の席は1席ずつ空けられていて、空席には京都市西京区マスコットキャラクター「たけにょん」が描かれた紙が貼られているのは昨年と同じです。なお、昨年はホール内は一方通行で、扉も入口専用と出口専用に分けていましたが、今年は出入りは自由でした。来ない人もいたので、客は4割の入り。

3曲演奏されましたが、メンバーの重複はありません。衣装は上下とも黒で、全員マスクなしで、チェロ以外は立って演奏するのは全曲共通です。

プログラム1曲目は、ホルスト作曲/セントポール組曲。司会はコンサートマスターを務める4回生が順番で担当しました。メロディーを歌って曲目紹介。左から、第1ヴァイオリン6、第2ヴァイオリン5、チェロ4、ヴィオラ4、右後方にコントラバス3の編成。

この作品は吹奏楽の編曲で聴いたことがありましたが、もともとは弦楽合奏のための作品です。4つの楽章からなります。第1楽章「ジーグ」は、強弱やアクセントなど何に注意して演奏しているかが分かる演奏でした(逆に言うと少し恣意的でしょうか)。強奏は十分すぎる音量でしたが、ヴァイオリンが少し頑張りすぎなので、音量を落とすところは落として、もう少し他の楽器を目立たせるようにしたほうがいいでしょう。ヴァイオリンはあまり音色が揃っておらず、もう少し一本の線のように聴かせて欲しい ところです。第4楽章「フィナーレ」で「グリーンスリーブス」のメロディーが使われるのは、曲目紹介がなければ気づきにくいでしょう。

プログラム2曲目は、スーク作曲/弦楽セレナーデより第1、2、4楽章。曲目紹介で、「スークは暗い曲ばかり書いてきた」というストレートな表現がおもしろい。左から、第1ヴァイオリン6、第2ヴァイオリン5、ヴィオラ5、チェロ4で、右後方にコントラバス3の編成。

ヴァイオリンが滑らか。前曲よりも聴きやすくて伸びやかさもあります。お互いのパートをよく聴いているからか、息づかいも一体感があります。弱奏も安定して、いい演奏でしたが、メロディーが地味なのが残念。

休憩後のプログラム3曲目は、チャイコフスキー作曲/弦楽セレナーデより第1、3、4楽章。左から、第1ヴァイオリン6、チェロ3、ヴィオラ4、第2ヴァイオリン2の対向配置で、中央後ろにコントラバスを配置。弦楽アンサンブルではあまり見られない珍しい配置ですが、第3楽章で、第2ヴァイオリンとヴィオラ、チェロとコントラバスが一緒に演奏して、第1ヴァイオリンのみがメロディーを演奏する部分が多いので、パートごとに分かれたなかなか効果的な配置です。響きが緊密で一体感がありました。第4楽章のAllegro con spiritoは、やや遅めのテンポ。整然としたアンサンブルでした。

15:35に終演。終演予定は16:00と案内されていたので、せっかくなので抜粋ではなく全楽章聴きたかったです。コロナ禍でも完成度が高い演奏で安心しました。

なお、ホールの出口で、京都市立芸術大学の移転にあたっての募金活動をされていました。2023年に京都駅東部に移転予定ですが、ウエスティの場所からは遠くに移転するので、この「音暦」が継続されるかどうか気になるところです。京都芸術大学(学校法人瓜生山学園)との裁判がようやく7月に和解して、「京都芸大」と「京芸」の略称が使えるようになったのはひとまずよかったように思います。

京都市西文化会館ウエスティ

 

(2021.12.6記)


第5回 大植英次 中学・高校吹奏楽部公開レッスンコンサート 大阪音楽大学第64回定期演奏会