【中止】神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第358回


  2020年4月11日(土)14:00開演
横浜みなとみらいホール大ホール

川瀬賢太郎指揮/神奈川フィルハーモニー管弦楽団

別宮貞雄/管弦楽のための2つの祈り
伊藤康英/管弦楽のための交響詩「ぐるりよざ」
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

座席:S席 2階C2列21番



神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏を初めて聴きに行く予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で、公演が中止になりました。大変残念です。昨年12月に神奈川フィルチケットサービス「ブルーダル®TICKET」でチケットを購入しましたが、こういう事態になるとはまったく想像もつきませんでした。

指揮は、川瀬賢太郎。2014年度から神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者を務めています。2018年9月に川瀬賢太郎が松尾由美子(テレビ朝日アナウンサー)と結婚した際に、神奈川フィルがサプライスで「結婚行進曲」を演奏した動画を見たときから、なんと温かいオーケストラだと思っていました。川瀬は、名古屋フィルハーモニー交響楽団正指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢パーマネント・ゲストコンダクター(常任客演指揮者)、八王子ユースオーケストラ音楽監督、東京音楽大学作曲指揮専攻(指揮)特任講師も務めています。1984年生まれで、まだ30代ですが、注目の若手指揮者です。川瀬の指揮では、これまでに京都市交響楽団を指揮したオーケストラ・ディスカバリー2013 〜こどものためのオーケストラ入門〜 「オーケストラ・ア・ラ・カルト」 第3回「和&洋」を聴きました。

本定期演奏会は、「祈り」をテーマに選曲されました。なかでも伊藤康英作曲の「ぐるりよざ」は、まず吹奏楽版(吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」)が1990年に作曲されました。今年2月16日で初演から30年を迎え、音楽之友社から吹奏楽版のポケットスコアが出版されて、重版されるなど、ちょっとしたブームとなりました。今回演奏予定だった管弦楽版(管弦楽のための交響詩「ぐるりよざ」)は、京都市民管弦楽団の依頼で1999年に初演されました(指揮は小田野宏之)。なお、川瀬賢太郎は管弦楽版の「ぐるりよざ」をすでに2回も指揮していて、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第24回ティアラこうとう定期演奏会(2011年2月)、名古屋フィルハーモニー交響楽団第383回定期演奏会(2011年9月)以来、今回は9年ぶりでした。

4月1日に、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う自粛要請や社会情勢全般をふまえて、本定期演奏会の中止が発表されました。払い戻しは、クレジットカード決済・セブンイレブン発券で、まだチケットを受け取っていなかったので、手続き不要でクレジットカードにチケット代と発券手数料が戻入されました。
また、4月7日に神奈川県に発令された緊急事態宣言を受けて、横浜みなとみらいホールも4月8日(水)から5月7日(木)まで臨時休館となりました。なお、改修工事でもともと2021年1月から2022年10月まで全館休館する予定です。

ちなみに、吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」の作曲を委嘱した「海上自衛隊佐世保音楽隊第48回定期演奏会」(2020年3月14日 アルカスSASEBO大ホール)において、伊藤康英自身の指揮で「ぐるりよざ」が演奏される予定でしたが、新型コロナウイルス拡散防止のため残念ながら無観客での開催となりました。幸いにもYouTube「防衛省海上自衛隊公式チャンネル」で、自作自演の貴重な演奏が視聴できます。

なお、神奈川フィルは前回の「定期演奏会みなとみらいシリーズ第357回」(2020年3月6日)も、新型コロナウイルス感染症拡大防止に係る政府および関係省庁の方針を受けて開催中止となりましたが、「中止でもお客様に音楽を伝えることができるのではないか」という楽団員の熱意によって、演奏動画が無料で配信されました。ただし、生中継ではなく、かながわアートホール(神奈川フィルの練習場)で事前に収録した映像です。ソロ・コンサートマスターの﨑谷(さきや)直人の発案だったようで、当初リハーサルが行なわれる予定だった3月5日に撮影されたようです。
演奏曲目は変更され、「神奈川フィル デリバリー・コンサート」として、YouTube「神奈川フィルハーモニー管弦楽団チャンネル」で視聴できます。3曲で約32分の動画です。オーケストラは弦楽器奏者のみの出演です。メンバーは私服で演奏していて、団員同士の和気あいあいとした雑談も収録されています。

﨑谷の進行で、1曲目は、モーツァルト作曲/弦楽四重奏曲第2番より第1楽章。精緻で繊細なアンサンブルが聴けます。第2ヴァイオリン首席奏者の直江智沙子の笑顔がかわいい。2曲目は、J.S.バッハ作曲/2つのヴァイオリンのための協奏曲より第2楽章。中止となった「定期演奏会みなとみらいシリーズ第357回」でマクミラン「ヴァイオリン協奏曲」のソリストだった郷古廉(ごうこすなお)と?谷がヴァイオリン独奏を務めています。3曲目は、ブラームス作曲/ピアノ四重奏曲第1番より第4楽章。当初の定期演奏会では、ブラームス(シェーンベルク編)/ピアノ四重奏曲第1番(管弦楽版)が演奏される予定だったので、原曲を演奏するという粋な選曲です。ピアノ(諸田由里子)の存在感が少し弱い。
また、演奏後のアフタートーク(約20分)もアップされています。川瀬と﨑谷が動画配信に至った経緯について説明しています。?谷が川瀬に直接電話したとのこと。後半には神奈川フィルの事務局スタッフも登場してコメントしています。﨑谷はまだ33歳のようですが、ものすごくしっかりしています。
今回(第358回)の公演中止にあたっても、このような動画がアップされたらよかったのでしょうが、オーケストラのメンバーが集まること自体が難しくなってしまったということでしょう。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団は1970年に発足し、2020年10月に楽団創立50周年を迎えます。11月には、創立50周年記念祝賀演奏会「千人の交響曲」が開催予定です。ぜひまたの機会に聴きに行きたいです。

(2020.4.20記)


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