東京大学音楽部管弦楽団百周年記念シリーズ第105回定期演奏会 関西公演


  2020年1月26日(日)14:00開演
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

三石精一指揮/東京大学音楽部管弦楽団

ワーグナー/「さまよえるオランダ人」序曲
シューベルト/交響曲第7番「未完成」
マーラー/交響曲第1番「巨人」

座席:S席 1階U列27番



東京大学音楽部管弦楽団の演奏会に初めて行きました。1920年に東京帝国大学音楽部として発足しました。東大生のみで構成される唯一の大学公認オーケストラで、入学式などでも演奏するとのこと。過去には近衛秀麿、柴田南雄、別宮貞雄も在籍していました。2020年に創立100周年を迎えました。
名誉指揮者に早川正昭(広島大学名誉教授、新ヴィヴァルディ合奏団常任指揮者)。終身正指揮者に三石精一(みついし せいいち)(東京音楽大学名誉教授)。常任指揮者に田代俊文(東京音楽大学指揮科教授)と河原哲也(ヤマハ吹奏楽団浜松名誉指揮者)を擁しています。

毎年1月に定期演奏会を開催していますが、今回は「百周年記念シリーズ」として、関西公演(2020.1.26 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)と東京公演(2020.2.1 横浜みなとみらいホール大ホール)が開催されました。
指揮は終身正指揮者の三石精一。東京音楽大学指揮科教授や東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督・常任指揮者を務めました。今年で東京大学音楽部管弦楽団を指導してなんと50周年を迎え、次回の第106回定期演奏会(2020.7.26)より桂冠指揮者に就任することが発表されました。

チケットは全席指定。芸術文化センターチケットオフィスのホームページからクレジット決済で、当日窓口で受け取りできるのが便利。申し込んだ時期が遅かったので、1階席のU列にしましたが、雨宿り席の境目でした。客はかなりの入りでした。団員が執筆したと思われるプログラムの楽曲解説が本格的。

団員が入場。男女は半々でした。顔立ちが幼く、高校生のようにも見えますが、見た目は賢そうです。プログラムには129名(うち賛助は3名)の名前が掲載されています。学部と出身都道府県は記載されていますが、回生は分かりません。コンサートマスターの磯光は工学部の女性。

プログラム1曲目は、ワーグナー作曲/「さまよえるオランダ人」序曲。1曲目から大人数。三石がゆっくりと登場。今年で87歳ですが、そんなに高齢には見えず、いたって元気です。全曲譜面台なし、指揮棒なしで指揮しました。演奏は、弦楽器が学生オーケストラではハイレベル。小さいときから習っていた学生が多いのかもしれません。管楽器はちょっとミスが目立って残念。

プログラム2曲目は、シューベルト作曲/交響曲第7番「未完成」。三石の指揮の動きは大きいですが、音量は控えめ。優等生的な演奏ですが、繊細さには欠けました。ホルンが不安定で残念。

休憩後のプログラム3曲目は、マーラー作曲/交響曲第1番「巨人」。この作品は、東京大学音楽部管弦楽団が日本の学生オーケストラで初演しました(1972.1.18 第57回定期演奏会川崎公演)。つい最近、大阪音楽大学第62回定期演奏会で聴きましたが、弦楽器は大阪音大並みのレベルでしたが、管楽器の精度は落ちました。もっともこのオーケストラは正課ではなく課外活動なので、賞賛すべきレベルです。第3楽章45小節からの「Mit Parodie」、57小節からの「Nicht schleppen」、132小節からの行進曲風の曲調は速めのテンポ。逆に139小節からの「Plötzlich viel shneller」はあまりテンポを上げませんでした。 休みなく第4楽章へ。ヴァイオリンが大熱演。強い音圧で、ここまでヴァイオリンがはっきり聴こえる演奏は珍しい。
三石の指揮は、回転する動きが多く、ちょっと打点が分かりにくいかもしれません。解釈はオーソドックスで、オリジナリティに乏しいですが、学生の自主性にゆだねているとも言えます。

東京大学音楽部管弦楽団は東京のオーケストラでありながら、関西でも公演を開催してくれてうれしいです。毎年8月に開催する「サマーコンサート」でも全国を巡回しているので、また機会があれば聴きたいです。

兵庫県立芸術文化センター

(2020.2.9記)


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