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2019年5月6日(祝・月)20:00開演
カフェ・モンタージュ ニコラ・ドートリクール(ヴァイオリン)、上野真(ピアノ)
フランク(アルダー編)/交響曲 座席:自由 |
京都市中京区にあるカフェ・モンタージュに初めて行きました。2012年5月にオープンし、平日の夜8時から不定期で室内楽のコンサートが開催されています。京都市交響楽団の団員などが出演し、興味深いプログラムが演奏されています。キャッチコピーは「カフェ・モンタージュでの1時間」。
20時開演で入場料2,000円は、全公演に共通しているようです。定員は40名で自由席。オーナーは高田伸也で、ここで開催される演奏会のすべてを自分でプロデュースしているとのこと。高田は立命館高校を卒業し、ヨーロッパ各国で音楽を勉強したそうです。
今回はフランクのヴァイオリンとピアノの作品が演奏されました。有名な「交響曲」の室内楽アレンジが聴けるのが珍しい。ホームページの予約フォームから申し込むと、確認メールが送られました。入場料は当日に受付で精算します。天皇退位に伴い10連休となったゴールデン・ウィークの最終日の夜でした。ドートリクールはフランス出身、上野真は京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻教授。上野を聴くのは京都市交響楽団第465回定期演奏会以来でした。
カフェ・モンタージュは柳馬場夷川にあって、京都地方裁判所や京都市立御所南小学校の南です。すぐ西隣にはセブンイレブン夷川柳馬場店があります。細い路地なので場所が分かりづらいですが、京都ハリストス正教会の八角塔が目印になるでしょうか。
19:00頃に行ったところ、リハーサル中でした。外からでも奥に置かれたピアノが見えます。なお、公演が開催される日はカフェは営業されません。
19:30に開場。自転車で来ている人もいて、ご近所さんが多いようです。受付で名前を言って、入場料を支払います。名前を言わなくてもスタッフが分かる人、つまり常連さんも多くいるようです。プログラムの配布はなく、曲目が書かれた小さな紙(A5サイズ)を受け取りました。階段を下りると、地階にカフェがあります。もともとは家具のショールームだったようです。奥にピアノがあり、客が座るための椅子が5列置かれています。カフェですが、テーブルは置かれていませんでした。周囲の壁にはクラシックのCDやレコードが置かれていました。照明は暗めです。ピアノ付近の机に、ドートリクールのCD(販売用)が置かれていました。
開演前に、オーナーの高田伸也がヴァイオリンの譜面台を運んできて、あいさつ。当初の案内から演奏順を変更し、交響曲→二重奏曲の順に演奏するとのこと。交響曲については「フランクが生きていた時代に編曲された。第2楽章のみヴァイオリンの音域の問題で原曲よりも1音上げている。原曲の威圧的なティンパニはないので、違った風に聴こえる。ピアノとヴァイオリンが対等に活躍する」と解説しました。話が終わると客席の照明を落とし、空調が止められました。演奏者の控室は後方にあるようで、ドートリクールと上野真がそろって登場。ドートリクールは背が高い。
プログラム1曲目は、フランク作曲(アルダー編)/交響曲。ドートリクールは、立って演奏しました。ドートリクールの譜面台に置かれたのは紙の楽譜ではなくタブレットでした。演奏前に「僕の子供たち」と言って、客席にタブレットで家族の写真を見せました。足元のペダルを踏むと、タブレットのページがめくられるようで、ハイテクです。初めて見ました。ピアノは譜めくりの女性が座りました。
演奏者と座席が近いので、息づかいが聴こえます。ヴァイオリンもピアノも見せ場が多い編曲です。ドートリクールのヴァイオリンは強奏の音圧が強い。高音がよく伸びて、大ホールで弾くときと同じくらいの大きな音量に圧倒されました。立ち位置もよく変えました。テンポは全体的に速めでしたが、もう少しテンポを落として、緩急をつけてもよいでしょう。第2楽章の転調は言われなければ気がつかないほどでした。なお、ピアノは1905年製らしいですが、音程が微妙に合っていません。調律してほしいです。
プログラム2曲目は、フランク作曲/協奏的二重奏曲。1曲目はヴァイオリンがゆったりしたメロディーを演奏します。ピアノは音符は多いですが、タイトルからイメージされるような激しさはありません。2曲目はヴァイオリンが超高音でメロディーを演奏しました。
拍手に応えてアンコール。ドートリクールと上野が二人で相談して選曲。上野がフランク作曲/メランコリーを紹介しました。フランク後期の作品とのこと。物憂い雰囲気で、今日で長かった連休が終わってしまう夜に聴くのにぴったり。ヴァイオリンのメロディーに歌詞をつけたくなります。
さらに、アンコール2曲目も二人で相談して、上野がフランク作曲/アンダンティーノ・キエトーソ(静かなアンダンティーノ)を紹介。「協奏的二重奏曲」と同じくらいの時期に作曲されたとのこと。作品は全然静かではなく、ヴァイオリンもピアノも盛り上がりました。
ドートリクールと上野が退場した後に、高田が「フランクの晩年は謎が多い。また別の機会に取り上げたい」とコメント。高田によると、二人は録音する予定とのことで、上野真のオフィシャルウェブサイトによると、5月8日から10日まで三重県総合文化センター大ホールで、まさに今日演奏した4曲が録音されるようです。
21:20に終演しましたが、飲み物が出てきてカフェのような雰囲気に。高田が自らグラスについでいました。白ワインとリンゴジュースの2種類で、無料でした。上述したドートリクールのCDを購入した人にサイン会もやるとのこと。京都市交響楽団定期演奏会後のレセプションのような歓談の場を目指しているようです。帰る時間が遅くなるので、私はここで失礼しました。
20時開演は社会人にやさしい時間設定です。室内楽が中心ですが、おもしろそうなプログラムがあればぜひ聴きに行きたいです。