2019年7月17日(水)19:00開演 京都市北文化会館ホール ロン-ディルク・エントロイトナー指揮/ライプツィヒ ユース シンフォニー オーケストラ
ブラームス/交響曲第1番 座席:自由 |
ドイツのユースオーケストラ、「ライプツィヒ ユース シンフォニー オーケストラ」が京都にやってきました。夏休みに演奏旅行を毎年実施しているとのことですが、アジアへの遠征は今回が初めてとのこと。
日本で海外のユースオーケストラを生で聴く機会はないので貴重です。主催はムジークシューレ・ライプツィヒ(ライプツィヒ市立音楽教室)。
ライプツィヒ ユース シンフォニー オーケストラは1985年に創設され、14歳から20歳まで約80名で構成されているとのこと。後援会の名誉会長は、ヘルベルト・ブロムシュテット(ライプツィヒゲヴァントハウス名誉カペルマイスター)です。 ホームページなどを検索したところ、今回の日本の演奏旅行は、まず7月13日(土)に「日本ドイツ親善交流演奏会」(文京シビックホール大ホール)に出演し、ブラームス作曲/交響曲第1番と、東邦音楽大学管弦楽団・文京シビック合唱団との合同で ベートーヴェン作曲/交響曲第9番第4楽章を演奏しました。続いて、7月15日(祝・月)には「第5回オーケストラフェスティバルin鹿沼」(栃木県・鹿沼市民文化センター大ホール)に出演しました。 演奏曲は不明ですが、鹿沼市内にあるオーケストラ団体と合同で「展覧会の絵」と「威風堂々」を演奏したようです。なお、この演奏会の翌日の7月18日(木)には、京都市ジュニアオーケストラとの合同演奏が開催されます。6日間で4つの演奏会に出演するなかなかのハードスケジュールですが、音楽を通じた国際交流を図るすばらしい取り組みです。
会場は、京都市北文化会館ホール(405席)。入場は無料でしたが、事前に整理券が必要でした。整理券はホールの窓口で配布されましたが、すでに終了しており、当日の受付はありませんでした。開場前から長い行列ができていました。入口ではプログラムと、ライプツィヒの観光パンフレットも配布されました。客席はほぼ満席でした。
団員が入場。黒の衣装ですが、黄緑がオーケストラのシンボルカラーのようで、黄緑の布をネクタイ、スカーフ、バンダナ、ベルトなどにして、身に付けていました。オーケストラの配置は、左から、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの順に並んだ対向配置でした。総勢約55名で、男女比では男性が少し多い。コンサートミストレスがチューニング。
演奏前に、団員2名が前に出てきてマイクであいさつ。「みなさん、こんばんは」から始まり、カンペを見ながらですが、流暢な日本語で話しました。ライプツィヒで多くの作曲家が活躍したことなどについて紹介しました。
プログラム1曲目は、ブラームス作曲/交響曲第1番。指揮はライプツィヒ ユース シンフォニー オーケストラ指揮者兼芸術監督を務めるロン-ディルク・エントロイトナー。弦楽器のボウイングの筆圧が強い。細かな音符もきっちり弾きます。子音が聴こえる演奏と形容していいでしょう。ひとつの楽章が終わると、エントロイトナーはゆっくりタクトを下ろしました。余韻を味わってほしいということでしょう。
第2楽章は速めのテンポ。もう少し弱奏が安定するとよいでしょう。ヴァイオリンソロは一流でした。管楽器は音色が素朴。第4楽章の第1主題はそんなに濃厚ではなく、意外にあっさり。メンバーが周りの音をよく聴いていて、演奏の土台となるハーモニーが合っています。指揮棒にもよくあわせています。391小節からのPiù allegroは速い。
カーテンコールではソロを演奏した奏者が起立すると、他の団員から「ヒュー」という大きな歓声があがりました。日本にはない文化です。
休憩後は先ほどとは違う団員が2名出てきて、日本語で曲目紹介。プログラム2曲目は、マルケス作曲/ダンソン第2番。マルケスはメキシコの作曲家で、1994年に作曲されました。ドイツのユースオーケストラがメキシコの曲を演奏するとはレパートリーが広い。グスターボ・ドゥダメルがシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラとよく演奏した曲のようで、それを意識した選曲かもしれません。アロンドラ・デ・ラ・パーラなど、南米出身の指揮者がこの曲を取り上げているようです。日本ではあまり演奏されない曲で、私も初めて聴きました。ピアノ、ウッドブロック、ギロなどが活躍し、南米のノリ。秘曲と言えるでしょう。1曲目のブラームスではおとなしかった金管がよく鳴って本領発揮。ラストは起立しました。日本でも演奏機会が増えるといいですね。
プログラム3曲目は、エルガー作曲/威風堂々第1番。テンポが速く、行進曲のように威勢がいい。響きもスマートで、国民性が垣間見れます。トリオは勇壮で、打楽器も派手に鳴ります。よくまとまっています。
プログラム4曲目は、映画音楽集より ジェームズ・ボンド007。20世紀FOXファンファーレからスタート。メンバーの人数以上の迫力があるのは、ハーモニーがそろっているからでしょう。ドイツだからと言って縱線重視の演奏でもありませんでした。
演奏終了後に団員が「さよなら」「またね」とあいさつしましたが、拍手に促されてアンコール。バデルト作曲(リケッツ編曲)/パイレーツ・オブ・カリビアンを演奏しました。
終演後は、メンバーが隣のメンバーとハグ。日本では見られない光景で、ほほえましく思えました。20:50に終演しました。
ライプツィヒ ユース シンフォニー オーケストラは、メンバー個人の技術は日本よりも劣りますが、オーケストラとしてのまとまりはよかったです。