ウラディーミル・アシュケナージ&ヴォフカ・アシュケナージ ピアノ・デュオ


   
      
2014年3月15日(土)17:00開演
ザ・シンフォニーホール

ウラディーミル・アシュケナージ、ヴォフカ・アシュケナージ(ピアノ)

シューベルト/ハンガリー風ディヴェルティメント
ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
ムソルグスキー(ヴォフカ・アシュケナージ編曲)/はげ山の一夜
ストラヴィンスキー/春の祭典

座席:A席 2階BB列28番


ウラディーミル・アシュケナージが息子のヴォフカ・アシュケナージとともにピアノ・デュオコンサートを開催しました。指揮者としてのウラディーミル・アシュケナージは、NHK交響楽団ウラディーミル・アシュケナージ音楽監督就任記念演奏会で聴きましたが、ピアノを演奏会で聴くのは今回が初めてでした。ヴォフカ・アシュケナージはウラディーミル・アシュケナージの長男で、1961年生まれ。今年で53歳になります。ウラディーミル・アシュケナージの来日は、デュオコンサートとしては2011年以来3年ぶりで、全国7ヶ所で開催されました。

チケットはABCぴあの優先予約で購入しました。座席選択もできて便利。ホールに行ってびっくり。名の知れた一流アーティストの演奏会にしては珍しいほど空席が目立ちました。C席とD席は完売でしたが、全体では3割ほどの入りでしょうか。予ベルでパイプオルガンによるメロディーが流れました。ザ・シンフォニーホールは今年1月から運営が滋慶学園グループに移管されたのでそれを受けての変更でしょうか。

プログラム1曲目は、シューベルト作曲/ハンガリー風ディヴェルティメント。ヴォフカが颯爽と登場。続いてウラディーミルが登場。ヴォフカはステージ向かって右側のピアノ、ウラディーミルはステージ向かって左側のピアノに向かいあうようにして座りました。それぞれに譜めくりの女性(日本人)がステージの奥側に座りました。全プログラムを通して、ヴォフカが高音を担当、ウラディーミルが低音を担当しました。
3つの楽章からなります。初めてこの作品を聞きましたが、二人で弾いているとは思えないほど、息の合ったアンサンブルを聴かせました。ウラディーミルがたまに頭を動かしてヴォフカに合図しました。音質も同じ。つややかで透明感がある音色が魅力です。ヴォフカはアシュケナージのDNAを受け継いでいますね。最強のピアノデュオといえるでしょう。前述したように、ヴォフカが高音、ウラディーミルが低音を演奏しますが、再現部では役割を交代してウラディーミルが高音、ヴォフカが低音を演奏しました。演奏が終わると、譜めくりの女性と握手。礼儀正しいです。

プログラム2曲目は、ブラームス作曲/ハイドンの主題による変奏曲。ピアノ連弾版は有名なオーケストラ版よりも先に作曲されました。オーケストラ版よりも速いテンポで演奏。第2変奏(Piu vivace)で少し乱れました。ここは難しいようです。また少しごちゃごちゃして混濁する部分がありました。それ以外はすばらしい完成度で、あっという間の演奏でした。この作品はぜひ録音してほしいですね。

休憩後のプログラム3曲目は、ムソルグスキー作曲(ヴォフカ・アシュケナージ編曲)/はげ山の一夜。有名なリムスキー=コルサコフによるオーケストラ版をヴォフカ・アシュケナージがピアノ2台用に編曲しました。速いテンポで、鮮やかに演奏しました。意思疎通できていないとここまでスムーズに演奏できませんが、さすが親子です。最後の音符は短く切るように演奏。譜めくりが立ったり座ったり忙しそうでした。ウラディーミルは紙の譜面でしたが、ヴォフカは休憩後は譜面立てに黒くて横長のタブレットのような機器を置いていました。譜めくりの女性は親指や人差し指で、機器の画面を下から上になぞるような動作をしていました。譜めくりの世界にもIT化が進んでいて驚きました。また、ヴォフカは休憩後からはメガネをかけて演奏しました。

舞台袖に下がることなく、続けてプログラム4曲目ストラヴィンスキー作曲/春の祭典を演奏。ピアノ2台版はオーケストラ版にある音色やメロディーが抜けているので、迫力に欠けます。ウラディーミルの低音が荒々しい。速いテンポでパワーはすごく、一気に聴かせました。「神聖な踊りと選ばれた処女」以降は機械のように一定のテンポを維持して演奏しました。ウラディーミルは頭を振って譜めくりの女性にめくるタイミングを指示しました。

拍手に応えてアンコール。エルガー作曲(ウラディーミル・アシュケナージ編曲)/2つの小品より「朝の歌」を演奏。オーケストラ曲をウラディーミルがピアノ2台用に編曲しました。ウラディーミルの編曲作品は珍しい。

ウラディーミル・アシュケナージは、指揮者としての活動が多くなって、桂冠指揮者を務めるNHK交響楽団を定期的に指揮しています。ピアニストとしての活動が少なくなりましたが、まだまだテクニックは衰えていません。アシュケナージならではの魔法のような美しい音色も堪能できました。指揮者よりもピアニストとしての活動に期待しています。ヴォフカとのデュオも阿吽の呼吸でいいアンサンブルでした。ブラームス「ハンガリー舞曲」やドヴォルザーク「スラヴ舞曲」など、もともとピアノ四手用に書かれた作品を聴きたいです。

ザ・シンフォニーホールは、大阪フィルハーモニー交響楽団が定期演奏会の会場をフェスティバルホールに戻すなど公演数がだいぶ少なくなりそうです。視覚的にも音響的にもすばらしいホールなので、今後も魅力的な公演をお願いしたいです。

(2014.3.24記)




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