京都コンサートホール大ホール
大友直人指揮／京都市交響楽団
マーラー／交響曲第９番
座席：Ｓ席 ３階 Ｃ−２列２７番
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２００８年３月９日（日）14:30開演 京都コンサートホール大ホール 大友直人指揮／京都市交響楽団 マーラー／交響曲第９番 座席：Ｓ席 ３階 Ｃ−２列２７番 |
大友直人の京都市交響楽団常任指揮者として最後の演奏会です。大友直人は、井上道義が音楽監督・常任指揮者を務めていた1995年に京都市交響楽団正指揮者に就任、1996年からは首席指揮者を務めました。そして、2001年から第11代常任指揮者に就任し、2004年からはアーティスティック・アドヴァイザーを兼任しました。2008年４月からは、京都市交響楽団初の桂冠指揮者に就任することが決まっています。
常任指揮者７年間の集大成となる演奏会で選ばれたのは、マーラー作曲／交響曲第９番。大友直人の前任の第10代常任指揮者ウーヴェ・ムントも、常任指揮者最後の定期演奏会（2001.3.22）で取り上げています。意外にもこのムント指揮による演奏会が、同曲の京都初演となったようです、京都市交響楽団にとって同曲の演奏はこの日が２回目とのことです。
私は、マーラーの交響曲第９番はめったに聴きません。10年以上も前にＮＨＫ−ＦＭで聴きましたが、難しくてさっぱり分かりませんでした。もちろん演奏会で聴いたのはこの日が初めてでした。
客席はほぼ満席でした。大友直人らしくスコアの細部まで聴かせる丁寧な演奏でした。大友直人はスコアをめくりながら、指揮棒なしで指揮しました。大友の指揮は体を大きく動かす指揮ではありませんが、体をよじったり、大きく腕を振ったり、いつもより動きが大きかったです。
第１楽章は、弦楽器の響きが薄く、強奏では聴こえないのが残念。もう少し量感が欲しいです。座席によって聴こえ方に違いがあるかもしれませんが、トランペットとトロンボーンが突出して聴こえました。
第２楽章は、木管楽器は美しく音色で、表情に主張がありました。特にクラリネットがすばらしい。クラリネットはＡ管とＢ♭管を持ち替えるために、忙しそうにマウスピースを付け替えていていました。
第３楽章はやや速めのテンポで演奏。ラストは息もつかせぬ迫力でした。
第４楽章はまさに圧巻。演奏の完成度が格段に上がりました。弦楽器が今まで抑えて演奏していたかのように、濃厚な響きを聴かせました。指揮者とオーケストラの一体感もすばらしい。ステージと客席との距離が近くなったように感じました。あまりの名演に、両ひざが震えました。最後はpppで消えるように終わりますが、弱音も美しく演奏しました。音が消えてから、しばらく沈黙。時間が止まったように感じました。しかし、このタイミングで客席からデジタル時計の「ピッピッ」というアラーム音が聴こえました…。大友直人が手を下ろしてから、拍手が起こりました。すんなり終わらないところが京響らしいですか。
演奏終了後は、カーテンコールが何回か行われました。大友直人も団員をパート別に立たせていました。その後、大友直人がマイクを持って挨拶。毎年恒例となっている３月末で卒業（定年退職）となるヴァイオリン奏者２名（小室由利恵さん、阪田量子さん）を紹介しました。２人に花束が贈られました。続いて、大友にも花束が渡されました。大友が「常任としては最後ですが、幸いにも桂冠指揮者としてこれからもたびたび登場します」と、桂冠指揮者就任の挨拶をしました。客席からは温かい拍手が送られました。
終演後にスロープを降りていくと、スロープ入口の１階の柱が立っているスペースにテーブルが設置されていて、ビールなどが置かれていました。「京響友の会」会員対象に、交流会が行われたようです。マイクもあったので、大友がまた挨拶したのでしょうか。
2003年頃から京響を聴くようになりましたが、定期演奏会を聴くたびに演奏レベルが向上してきたように感じます。常任指揮者を務めた大友直人の功績と言えるでしょう。特にクラリネットは日本のオーケストラでもトップレベルではないでしょうか。首席奏者を務める小谷口直子の表情豊かな演奏が好きです。すっかりファンになりました。
マーラーの交響曲第９番は今まで敬遠していましたが、この演奏会で作品の魅力に開眼しました。マーラーの最高傑作と呼ぶにふさわしいすごい曲ですね。「ＣＤ聴きくらべ」のレパートリーにぜひ加えようと思います。
(2008.3.10記)
