京都市立京都堀川音楽高等学校第38回オーケストラ定期演奏会


   
      
2011年7月23日(土)18:30開演
京都コンサートホール大ホール

藏野雅彦指揮/京都市立京都堀川音楽高等学校オーケストラ
津幡泰子(ソプラノ)、福嶋あかね(アルト)、納多正明(テノール)、萩原次己(バス)
京都市立京都堀川音楽高等学校合唱団

チャイコフスキー/幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
モーツァルト/戴冠式ミサ
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番

座席:全席自由


京都市立京都堀川音楽高等学校のオーケストラ定期演奏会に行きました。京都堀川音楽高校は、日本唯一の公立音楽高校。声楽専攻、器楽専攻、作曲専攻、楽理専攻の4つの専攻がありますが、1学年の定員は全体で40名と少数です。2010年に新しい校舎に移転しました。
オーケストラ定期演奏会は年に1回開催されています。正課の授業で4月から練習を積み重ねてきたようです。パンフレットに掲載された校長の挨拶文によると、選曲は例年3年生が行なっているとのこと。指揮は同校教諭の藏野雅彦。

入場料は無料。ただし、入場整理券が必要です。ホームページからダウンロードできました。16:45頃に会場に着きましたが、すでに開場待ちの行列ができていました。開場時間になる頃には、最後尾は1階のスロープの下まで続きました。3階席の中央ブロックで聴きました。客席は文字通り満席になりました。

団員が入場。ほとんどが女子で、男子は10名ほどしかいませんでした。現役生だけでなく、OBも出演しています。

プログラム1曲目は、チャイコフスキー作曲/幻想的序曲「ロメオとジュリエット」。弱奏でのフレージングのつながりがいまいち。音程や縦線ももっと気をつけて欲しいです。強奏では走ってしまいテンポが速くなってしまいます。また金管楽器がおとなしい。もっと鳴っていいでしょう。藏野の指揮は両腕で拍を振る基本通りのスタイル。

場内が暗転して、打楽器を移動。プログラム2曲目は、モーツァルト作曲/戴冠式ミサ。合唱団が入場。ステージ後方に3列で並びました。独唱者4名は指揮台に前に座りました。オーケストラは小編成でした。合唱指揮はソプラノ独唱の津幡泰子(同校教諭)。合唱は自然に響き、厳かな雰囲気もありました。合唱パートはあまり難しくなさそうでした。

休憩後のプログラム3曲目は、ショスタコーヴィチ作曲/交響曲第5番。本番の数日前の練習に、佐渡裕が指導するために来校したようです。佐渡は同校のOBで、現在は同校芸術顧問を務めています。5月にベルリン・フィルの定期演奏会で指揮した際に、この曲を取り上げています。
演奏は高校生にしては高水準で、弱奏も丁寧に気を配っています。ただし、細かな音符が揃っていないため、ぼやけて聴こえます。また、強奏の音圧も弱い。金管楽器はベルを下に向けて吹いているせいかあまり聴こえません。
一番の問題は、テンポ感が共有できていないこと。トゥッティでテンポがずれます。連符が走って速くなり、テンポがキープできません。テンポ維持の問題は、京都市ジュニアオーケストラの演奏では感じなかったので、指揮者の差でしょうか。この曲は京都大学交響楽団第189回定期演奏会でも聴きましたが、京都大学交響楽団との演奏の差は歴然としていました。
第2楽章はホルンが元気ない。86小節からの独奏ヴァイオリンはグリッサンドを効かせました。第4楽章247小節からのコーダは遅いテンポ。

カーテンコールの後、藏野が挨拶して、アンコール。チャイコフスキー作曲/バレエ音楽「くるみ割り人形」より「花のワルツ」を演奏しました。

音楽高校のオーケストラは初めて聴きましたが、少し期待外れでした。一定のテンポをキープして演奏できるように、メトロノームを使って練習したほうがいいでしょう。また、表情の付け方も研究して欲しいです。

(2011.7.24記)


ホール前の看板



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