京都市交響楽団練習風景公開


   
      
2010年11月13日(土)13:00開演
京都市交響楽団練習場

現田茂夫指揮/京都市交響楽団
松永貴志(ピアノ)

ガーシュウィン/ラプソディー・イン・ブルー
モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番第2楽章ロマンス

座席:全席自由


毎月恒例の京響練習風景公開です。いつものように往復ハガキで申し込んだところ、めでたく当選。今回は「オーケストラ・ディスカバリー2010「オーケストラ大解剖!」第3回「ソリストVSオーケストラ」」の本番前日練習です。「オーケストラ・ディスカバリー2010」は、第1回「吹奏楽VSオーケストラ」(井上道義指揮)と第2回「オーケストラの楽器」(広上淳一指揮)のいずれも当日券なしの全席完売でしたが、今回も完売。人気シリーズに成長しました。
第3回の今回は「ソリストVSオーケストラ」のタイトルが示すように、プログラムはすべて協奏曲。ピアノ、ヴァイオリン、トロンボーン、フルート、ハープのソリストが登場します。ピアノ以外は京都市交響楽団の首席奏者がソリストを務めますが、ピアノはジャズ・ピアニストの松永貴志が演奏します。松永は1986年生まれなので、今年で24歳。後から知りましたが、テレビ朝日系「報道ステーション」のテーマ曲「Open Mind」を作曲したようです。
指揮は神奈川フィルハーモニー管弦楽団名誉指揮者の現田茂夫。指揮を見るのは今回が初めてです。

練習は13:00からスタート。京都市交響楽団メールマガジン第56号(9月2日配信)では、曲目は「メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲から(予定)」と案内されていましたが、松永が演奏する作品に変更されたようです。
事務局から事務連絡。今日の練習と明日のゲネプロの進行について説明。ソリストの松永貴志を紹介。続いて、京都市交響楽団と初めて共演するエキストラのサキソフォーン奏者が紹介されました。いずれも団員から拍手が送られました。

コンサートマスターがピアノでGを弾いてオーボエがチューニング。現田茂夫が「おはようございます」と若々しい声で挨拶して指揮台へ。昼でも挨拶は「おはようございます」なんですね。黒の半袖Tシャツに紺のジーパン姿でした。
ガーシュウィン作曲/ラプソディー・イン・ブルーから練習開始。はじめに「ガーシュウィンは(練習番号)22には入りません」「ピアノソロから(練習番号)28に」とカットについて指示しました。このカットは録音でもよく行なわれています。冒頭から練習。バスクラリネットの横にギターのような弦楽器を弾いている奏者がいました。スコアを見ると、Banjo(バンジョー)でした。CDを聴いていると気がつかない楽器です。音もよく聴こえました。
残念だったのは、2階のギャラリーからは松永貴志が見えなかったこと。ギャラリーの最前列に座った人は覗き込むようにすれば見れたようですが、私が座った3列目からは姿は見えず音しか聴こえませんでした。座席から立ち上がって見たところでは、松永の髪は金髪で、紺色のカッターシャツを着ていました。24歳よりも老けて見えました。見た感じは、若者というよりはおっさんに近い(失礼!)。ジャズ・ピアニストの肩書きですが、京都市交響楽団大阪特別公演で聴いた山下洋輔よりはガーシュウィンのスコアをベースにしていて、弾き方もクラシックに近い。たまにアドリヴで上昇音型を加えました。練習番号20は9小節から速く弾いて緩急をつけました。練習番号33のGからは、いくつかの音符をわざと飛ばして演奏。
現田茂夫はイスに座って拍どおりに振ります。ピアノとタイミングを合わせるときは立ち上がって指揮しました。テンポはやや遅めで響きは重い。練習番号34の入りが合わなかったので、一度止めてすぐに再開。練習番号39のアウフタクトのトロンボーンは、グリッサンドではなく三十二分音符のスラーで演奏。ちょっと変な感じです。
一度最後まで通すと、現田と団員が松永に拍手。現田は「全然問題ないですけど、(練習番号)5は軽めに」とオーケストラに指示して、その部分を練習。練習番号6の入りなど、ピアノソロが終わってオーケストラが入るタイミングを反復。その後は、ピアノソロを除いて最後まで通しました。練習番号30のピアノとトランペットは、ピアノが速く弾きたいようで縦線が揃いません。練習番号37の入りが合わなかったので、現田が松永に「(練習番号37の3小節前のフェルマータで)さっきは待ったよね。待つか待たないかどっちかにして」と話して、フェルマータでパウゼを入れることに決定。そのまま最後まで通しました。13:30に練習終了。

メンバーが減って、続いてはモーツァルト作曲/ピアノ協奏曲第20番第2楽章ロマンス。現田が「モーツァルト行きましょう!」と話して、練習開始。ピアノソロから始まりますが、松永はかなり速いテンポで弾き始めました。オーケストラが入る9小節で現田の指揮でゆっくりのテンポに修正。松永のピアノは、モーツァルトにしては音の立ち上がりが強い。装飾音をつけるなどジャズピアニストらしいアドリヴも見せました。ピアノソロ終盤でオーケストラが加わる108小節付近で、現田が「ここどうしよう?」と言って、指揮台を下りて松永の横でスコアを持って打ち合わせ。「四連符に戻ってくれるとうれしい」と話して合わせましたが、「ちょっと違うな」と話し、「108(小節)から、そこだけはリズムにしばられて。105(小節)からは連符を正確に。あとはご自由にどうぞ」と話しました。松永がオーケストラと合わせるのに苦戦して、団員と現田は大爆笑。最後は現田が「そうそうサンキューサンキュー」と納得しました。また、「気持ち遅めに弾いてくれると、われわれとのギャップがなくなる。合わせやすい」と話しました。13:45に休憩に入りました。14:00終了の予定だったので、15分も早く終わりました。

現田茂夫はオーケストラに対して細かい指示は与えませんでした。ピアノとオーケストラのタイミングを合わせることが中心で、ほとんど通し練習でした。

(2010.11.17記)


オーケストラ・ディスカバリー2010 〜こどものためのオーケストラ入門〜 「オーケストラ大解剖!」 第2回「オーケストラの楽器」 京都市立芸術大学音楽学部第136回定期演奏会「更なる復活」