ヤマハホール
三村奈々恵（マリンバ）
三浦友理枝（ピアノ）、遠藤真理（チェロ）
赤坂達三（クラリネット）、斎藤雅広（ピアノ）
上原彩子（ピアノ）
朝岡聡（司会）
座席：１階 Ｅ列１０番
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２０１０年２月２８日（日）14:00開演 ヤマハホール 三村奈々恵（マリンバ） 座席：１階 Ｅ列１０番 |
２０１０年２月２６日（金）に、ヤマハ銀座ビルがグランドオープン（新装開店）しました。オープンを記念して、ビルの中に併設されたヤマハホールで、「オープニング・コンサート」が行なわれました。２６日（金）の「オープニング・ジャズ・フェスタ」で?落とし、２７日（土）と２８日（日）にクラシック演奏家による「オープニング・ガラ・コンサート」が開催されました。２７日（土）と２８日（日）で出演者は異なり、２８日（日）の「オープニング・ガラ・コンサート�供廚肋絽矯婿劼鯢�頭に出演者が豪華。出演するのはヤマハの楽器を使っているアーティストですが、これだけのメンバーを揃えるにはブッキングが大変だったのではないかと思います。発売時点で曲目は未定でしたが、価格が3000円とお手頃だったので行ってみました。
チケットは、チケットぴあでの独占販売。新しいホールなので、座席配置がよく分からなかったので、電話やインターネットではなく、チケットぴあの店舗（京都劇場）で購入しました。わざわざファックスで座席表を取り寄せてくれました。
ヤマハ銀座ビルは、1951年にオープン。2007年１月に営業を終了し、約２年間かけて建て替えました。中央通りの銀座七丁目交差点のすぐ近くにあります。地上１２階・地下３階建て。外観はキンキラキンで、ファッションブランドのビルみたいです。ガラスの中に金箔が埋め込まれているようで、「伝統と革新の融合」をコンセプトにした外観とのこと。夜には照明の効果で、また違った雰囲気になります。とても楽器店とは思えません。
オープンを記念して、１階の入口で各日先着1500名にオリジナルエコカイロ（ヤマハ銀座ロゴ入り）が入った手提げ袋が配られました。
ヤマハホールは７階〜９階にあります。直通エレベーター（かなり広い）で一気に７階へ上がります。７階のエレベーターを降りたところがすぐホワイエ。ホワイエはガラス張りで明るく、眼下には中央通りが見渡せます。クロークに荷物を預けられます。傘はホールへの持ち込みが禁止とのことで、ホワイエにある傘立てを利用します。また、シャンパンなどが注文できるドリンクコーナーがあります。食べ物はないようです。
ホール客席は８階と９階にありますが、トイレは７階にしかないので、入場前に済ませておくようにアナウンスがありました。７階でチケットを切ってもらって、８階と９階へは階段を使って移動します。８階が１階席、９階が２階席です。座席は333席と少ない。
１階席Ｅ列は前から５列目なのでかなり前のほうです。客席部分の壁は菱形でデコボコしています。チケットは全席完売でした。
トップバッターは、マリンバの三村奈々恵。白のパンツドレスで登場。両手に２本ずつマレットを持って演奏開始。１曲目は、ホルスト作曲／ジュピター〜マスカーニ作曲／間奏曲。編曲は三村自らが行なったとのこと。ジュピター（木星）は有名なメロディーのみですが、和音が美しい。続けて演奏したマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲も、細かなトレモロがきれい。２曲目は、ピアソラ作曲（林正樹編曲）／リベルタンゴ。テレビＣＭでヨーヨー・マの演奏が使われたので聴いたことがありました。腰や足など全身を使ってリズムを表現しました。顔はなかなか険しい表情です。マレットの柄で鍵盤を叩く奏法もありました。三村の演奏は初めて聴きましたが、音楽性豊かな演奏で、マリンバの魅力に引き込まれました。
司会の朝岡聡が登場して、三村にインタビュー。ヤマハホールの印象について「とても弾きやすい」「自分の音が聴きやすい」とコメントしました。あさってからトルコに演奏旅行に出かけるそうで、「トルコにはいい楽器がないのでドイツからトラックで陸送する」「日本の曲やトルコの民謡などを演奏する」と話しました。
続いては、三浦友理枝（ピアノ）と遠藤真理（チェロ）のデュオ。三浦は薄紫のドレス、遠藤はピンク色のパンツドレスでした。三浦の顔が小さくてびっくり。１曲目ドビュッシー作曲／月の光と２曲目ファリャ作曲／火祭りの踊りを演奏。遠藤は小柄なので、チェロが大きく見えます。チェロの音色は重みがあり、あまり洗練されていません。どちらかと言うと田舎っぽい音色で、弓で弦をこすっている感じの音色です。
朝岡が加わって３人でインタビュー。ヴァイオリンの川久保賜紀も加わって、トリオを結成していますが、トリオの名前が「川久保賜紀・遠藤真理・三浦友理枝トリオ」で、朝岡が「まんまじゃないですか！」と突っ込んでいました。遠藤曰く「略称を募集中」とのことで、３人の名前をつなぎ合わせた「たまりえ」が候補とのこと。ヤマハホールの印象については、三浦が「客席とステージで聴こえる音に差がない」と話し、遠藤が「お客さんもオチオチ寝ていられないですね」と話し、大爆笑。
３曲目は、ドビュッシー作曲／チェロ・ソナタ。３楽章からなります。第２楽章はチェロがピツィカートで演奏しますが、無調に近い音階が使用されているようです。休みなく演奏される第３楽章はチェロとピアノが強烈なアクセントの応酬を繰り広げます。４曲目は、カステルヌオーヴォ＝テデスコ作曲／フィガロ〜「セビリアの理髪師」よりを演奏。
休憩後は、朝岡が「楽器の名人は、おしゃべりも名人ということもあります」と話して、赤坂達三（クラリネット）と斎藤雅広（ピアノ）が登場。赤坂と斎藤は、ソプラノの足立さつきとの３人で「ザ・スーパー・トリオ」を結成しています。斎藤は茶髪のパーマでした。１曲目は、コール・ポーター作曲／ビギン・ザ・ビギン。赤坂達三は立って演奏。やわらかい音色が魅力です。ただし、息漏れの音が結構気になりました。
マイクを持って２人でトーク。この日は朝から東京マラソンが行なわれましたが、斎藤は「車で来るなと言われたのに雨だとか、嫌味みたいなタイムスケジュールだった」と話しました。編曲は全曲、斎藤が行なったようで、「ジャス風のアレンジ」と話しました。２曲目は、エロール・ガーナー作曲／ミスティ。赤坂のパートはアドリヴではなく、斎藤が編曲した譜面に音符が書かれているとのこと。赤坂は「譜面が真っ黒」と言って、客席に見せました。３曲目は、ジョルジュ・オーリック作曲／ムーランルージュの唄。４曲目は、アンダーソン作曲／そりすべり。バンクーバーオリンピックにちなんで選曲したとのこと。こういうテンポの速い曲のほうが赤坂の本領が発揮されるようです。細かい音符が難しかったらしく、赤坂が演奏後に「危なすぎますよー」と話しました。５曲目は、ゴードン・ジェンキンス作曲／グッドバイ。ベニー・グッドマンが演奏会の最後によく演奏した曲とのこと。
演奏終了後には、朝岡も加わって３人でトーク。本当によくしゃべります。
朝岡に「頭が金メダルさん」と言われた斎藤が退場。三村奈々恵が再登場して、赤坂とデュエット。赤坂は「三村さんのＣＤジャケットの写真を見て一目惚れした。共演できてうれしい」と話しました。曲は、ベートーヴェン作曲／「音楽時計の５つの小品」よりアダージョ。クラリネットとピアノのために書かれた作品ですが、ピアノパートを三村がマリンバに編曲したとのこと。赤坂のメロディーが危なっかしくて弱々しい。譜面にかぶりつきで、余裕がなかったのが残念。ちょっと練習不足だったようです。
２日間にわたる「オープニング・ガラ・コンサート」のトリを務めたのは、上原彩子。オール・リスト・プログラムで、１曲目は、リスト作曲／巡礼の年報第２年イタリアより第４番、第５番。赤いドレスで登場。礼をして、椅子に座った時点から、すーっと作品に没頭します。上原彩子の演奏は、日本フィルハーモニー交響楽団第134回サンデーコンサートと小澤征爾×新日本フィルハーモニー交響楽団特別演奏会で聴いていますが、こんなに近くで聴いたのは初めてで、口をモゴモゴと動かしながら弾きます。また息の音がよく聴こえます。以前はもっと前かがみになって弾いていましたが、落ち着いて演奏しました。三浦友理枝と斎藤雅広が弾いたピアノと同じですが、楽器の鳴りがまったく違います。はっきりした打鍵で、力強い演奏でした。一気に本格的クラシック演奏会の様相となりました。
朝岡がインタビュー。上原は「弾く前はバナナを食べます」と話しました。上原は３歳からヤマハ音楽教室に在籍しました。朝岡が「上原さんは「ヤマハっ子」ですね」と聞くと、上原は「ヤマハに育てていただきました」と答えました。今回の演奏会は凱旋出演といったところでしょう。まさに、ヤマハの広告塔ですね。ヤマハホールについて、上原は「響きが自然で、肩の力を抜いて弾ける」と話しました。
２曲目は、リスト作曲／パガニーニによる超絶技巧練習曲集より第３番「ラ・カンパネラ」。３曲目は、リスト作曲／ハンガリー狂詩曲第２番。完全に入り込んで演奏します。緩急をつけた演奏も見事。しばらく耳にこびりつきそうです。右足を踏み鳴らしながら弾きました。３曲とも暗譜で、他のアーティストとはスケールが違います。こんな演奏を300人だけが楽しむなんて、贅沢というかもったいない感じです。
最後は、出演者全員が再登場。一列に並びました。朝岡が挨拶して終了しました。16:30に終演。
ヤマハホールはステージの天井が高いので、残響が多いです。特にピアノはよく響くので、前のほうの席で聴いても問題ないでしょう。
コンサートの前後に、ヤマハ銀座ビルの店内を見回りました。ヤマハ銀座ビルは、ヤマハの新しいフラッグシップビルとして位置づけられていて、外観だけでなく内装も高級感にあふれています。本店ではありませんが、巨額が投資されているようです。
１階は、情報発信スペース「ポータル」・エレクトーン・電子ピアノ。「ポータル」では無料コンサートとサイン会が開催されるとのこと。銀ブラのついでに立ち寄るといいでしょう。この日も多くの人が集まっていました。
２階は、ＣＤ・ＤＶＤ・楽譜（吹奏楽・合唱）。３階は、楽譜・音楽書・五線紙。楽譜の棚が木製で高級感があります。洋書の楽譜が充実しています。１階から３階までは上りエレベーターがあります。エレベーターも照明が組み込まれていてすごい。
４階から上は、エスカレーターか階段で移動します。階段は照明が落とされていて暗い。４階は、管楽器・弦楽器・打楽器。楽器が入っているショーケースがキラキラと光って輝かしい。５階は、ピアノ・アビテックス（防音室）。ピアノがたくさん置いてありました。６階は、ヤマハ銀座コンサートサロン。94席の小ホールで、ここでも無料コンサートなどが行なわれるようです。
１０階から１２階までは、ヤマハミュージックアベニュー銀座。国内最大となる3000人が学べる音楽教室で、28部屋が設置されているとのこと。地下１階は、ギター・ドラム・デジタル楽器。地下２階は、ヤマハ銀座スタジオ。貸しスタジオですが、96席（スタンディング250人）収容できるため、コンサートや公演も行われるようです。
(2010.3.14記)
