京都市交響楽団みんなのコンサート「サウンド・オブ・ドリーム」


      
2009年8月21日(金)19:00開演
京都市呉竹文化センターホール

<前半:京都市ジュニアオーケストラ>
ビゼー/「アルルの女」第1組曲から「前奏曲」、第2組曲から「パストラール」「メヌエット」「ファランドール」
サン=サーンス/ハバネラ

広上淳一指揮/京都市ジュニアオーケストラ
東珠子(ヴァイオリン)

<後半:京都市交響楽団>
アンダーソン/ブルータンゴ
J.シュトラウス2世/新ピチカート・ポルカ
ベートーヴェン/交響曲第8番から第2楽章
フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」から「シシリエンヌ」
ドリーブ/バレエ組曲「コッペリア」から「チャルダッシュ」「前奏曲とマズルカ」

広上淳一指揮/京都市交響楽団

座席:全席自由


毎年夏に京都市内の文化会館を巡回して行なわれる「京都市交響楽団みんなのコンサート」に初めて行きました。かつては「京都市交響楽団巡回コンサート」と呼んでいましたが、子どもも楽しめるように2004年にリニューアルされたようです。
今年は6公演行なわれました。そのうち今回の公演は「サウンド・オブ・ドリーム<ティーンズ&ヤングアダルト向き>」と題して、4歳児から入場可能でした。いつもは若手指揮者が指揮することが多いですが、今回はなんと常任指揮者の広上淳一が指揮。また、第4回京都市ジュニアオーケストラコンサートで名演を聴かせた京都市ジュニアオーケストラも出演するという充実した内容です。料金は800円で全席自由です。

会場は、京都市呉竹文化センターホール。近鉄線・京阪線の丹波橋駅から歩いてすぐです。高校時代にはよく演奏しました。びわこミュージックハーベスト 打楽器&マリンバ 公開アカデミー(しが県民芸術創造館ホール)から直行して18時の開場に間に合いました。広上が私服でロビーに出てきて関係者と談笑されていました。
開演前に、ロビーで「楽器体験 打楽器」が行なわれました。団員立会いの下、自由に楽器を演奏できます。ドラと大太鼓が大人気で、子どもたちが勢いよく叩いていました。楽器が壊れないか心配になるほどで、爆音がホールの中にまで聴こえていました。子どもにしてみたら、楽器というよりも完全におもちゃ扱いですね。
ひさびさにホールに入りましたが、やっぱり狭いですね。客席数は600席。開演前にはほぼ満席になりました。客層は子どもも多かったですが、年輩の方もおられました。

前半は、京都市ジュニアオーケストラの演奏。団員が入場。約60人くらいで、狭いステージにぎっしりです。上が白で下が黒の衣装でした。けっこう身長が高い団員(高校生くらい?)もいました。京都市交響楽団の団員も何人か混じっていました。コンサートミストレスのチューニングの後、広上が登場。マイクで挨拶しました。「みんなのコンサートはいつもは京都市交響楽団と演奏しますが、この若い京都市ジュニアオーケストラをみなさんにどうしてもご紹介したい」と紹介。「京都は文化都市であり、京都市交響楽団の周りを囲む若い人と一緒に演奏したい」と意義を説明。演奏レベルについては「みなさんがびっくりされるくらいうまい。かなりいいレベル」と話しました。ヴァイオリンを独奏する東珠子については「若々しくて力強いヴァイオリン」と話しました。

プログラム1曲目は、ビゼー作曲/「アルルの女」第1組曲から「前奏曲」、第2組曲から「パストラール」「メヌエット」「ファランドール」。広上はいつもよりうなり声が大きく「ウン」という声がよく聴こえました。「メヌエット」では広上は指揮せずに腕を組んで、フルートとハープのデュエットを聴いていました。京都市ジュニアオーケストラも広上の指揮棒によくついてきていました。ただし、直接音が多く残響が少ないホールなので、響きが濁って演奏が重くなってしまうのが残念。自分で余韻を作らなければなりません。管楽器奏者には酷なホールでしょう。楽器別では、ヴァイオリンがよく揃っています。管楽器はもう少し洗練された音色が欲しいです。

プログラム2曲目は、サン=サーンス作曲/ハバネラ。ヴァイオリン独奏は、京都市立芸術大学4回生の東珠子。ピンクのドレスで登場。堂々とした弾きっぷりですが、弓で弦をゴシゴシこするような弾き方で、音色がややキンキンします。曲想にあわせて音色にもう少し色気が欲しいです。
京都市ジュニアオーケストラの演奏は2曲で終わり。もう少し聴きたかったです。この演奏会のために7月から練習を重ねてきたようです。次回のコンサートにも期待しましょう。

休憩後の後半は、京都市交響楽団の演奏。約70名での演奏。こんなに大勢で来てくれるとは思いませんでした。コンサートマスターの泉原隆志など主要メンバーが出演しました。演奏を終えた京都市ジュニアオーケストラのメンバーが着替えて、客席に聴きに来ていました。広上淳一は指揮棒を持たずに指揮しました。
プログラム3曲目は、アンダーソン作曲/ブルータンゴ。やはりうまい。京都市ジュニアオーケストラとの違いが歴然です。ただ、ホールのせいで、響きが少し濁っています。

続けて、プログラム4曲目は、J.シュトラウス2世作曲/新ピチカート・ポルカ。作品名が示すように、弦楽器のピツィカートのみで演奏されます。奏法を知ってもらうための選曲でしょうか。テンポの緩急も大きくつけました。

続けて、プログラム5曲目は、ベートーヴェン作曲/交響曲第8番から第2楽章。ヴァイオリンがきれいな音色です。

続けて、プログラム6曲目は、フォーレ作曲/組曲「ペレアスとメリザンド」から「シシリエンヌ」。この曲もヴァイオリンのうまさが際立ちます。人数が多いからでしょうか。

続けて、プログラム7曲目は、ドリーブ作曲/バレエ組曲「コッペリア」から「チャルダッシュ」「前奏曲とマズルカ」。広上は「チャルダッシュ」のような舞曲調が好きですね。勢いがあってすばらしい。「前奏曲とマズルカ」は金管楽器が華やかに鳴りました。

演奏終了後に、広上が挨拶。「30日の日曜日、選挙の日に、NHK教育テレビに京響が出演します。選挙に行かれて安心されたらご覧ください」と「オーケストラの森」の放送をPR。ロビーにも掲示してあったので、広報にかなりの力を入れています。「こないだの定期も満席でした。この勢いでいきたい、期待していただきたいと思います。来月の山下一史さんの回はまだ少しチケットに余裕があります」と定期演奏会を宣伝しました。「ここでお別れしたいところですが」と話して、アンコール。「先ほど「新ピチカート・ポルカ」を演奏しましたが、旧のオリジナルのものを」と話して、J.シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス作曲/ピチカート・ポルカを演奏。こちらのほうが有名ですね。縦線はあまり揃っていませんでした。コントラバスが4人でがんばっていました。20:40に終演しました。

「みんなのコンサート」にしては、選曲がしぶい。ステージに載せられる楽器の制約もあったかと思いますが、演奏会であまり取り上げられない作品が多かったように思います。広上が好きな曲をセレクトしたのでしょうか。
子供たちは広上淳一が指揮台でジャンプする姿を見て驚いていましたが、静かな曲は退屈してしまうようです。演奏中に子供が客席の通路を歩き回ったりしましたが、京都市交響楽団は調子を乱さずに演奏してくれました。

京都市呉竹文化センター ロビーイベント「楽器体験 打楽器」

(2009.8.27記)



びわこミュージックハーベスト 打楽器&マリンバ 公開アカデミー&演奏会 京都市交響楽団練習風景公開