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2008年12月13日(土)15:00開演 NHKホール シャルル・デュトワ指揮/NHK交響楽団 フランク/交響詩「アイオリスの人々」 座席:S席 1階 C19列32番 |
NHK交響楽団名誉音楽監督のシャルル・デュトワが、NHK交響楽団定期公演に登場しました。2003年に音楽監督を退任した後も、年に1回程度N響を指揮しています。NHK交響楽団の定期公演を聴くのは今回が初めてでした。Cプログラムの2日目です。女声合唱を必要とする2曲を選曲した心憎いプログラミングです。
NHKホールに行くのは、N響「第9」チャリティーコンサート以来です。2階席は音響があまりにも悪かったので、今回は何としても1階席を狙いました。チケットは、一般発売日(10月26日 10:00〜)に電話をかけましたが全然つながらなくて、12:00すぎにようやくつながりました。後方で右端の席でしたが、何とか1階席が取れました。後方なので雨宿り席かとも思いましたが、NHKホールは1階席に2階席が覆いかぶさるような構造ではないので雨宿り席ではありませんでした。視覚的にもそんなに遠い感じはしませんでした。全席完売で、当日券はありませんでした。
14:15から2階のロビーで、ロビーコンサートが開かれました。ヴァイオリンとヴィオラの二重奏でしたが、人が多すぎでとても見れる状況ではなかったので、聴くのをあきらめました。ロビーでは、NHK交響楽団の機関紙「フィルハーモニー」の引き換え・販売が行なわれました。開演前のアナウンスでは、ホール内は携帯電話の電波が遮断されることや、緊急地震速報についてのアナウンスがありましたが、アナウンスがややうるさく感じました。
プログラム1曲目は、フランク作曲/交響詩「アイオリスの人々」。フランクの交響曲とはマイナーな選曲です。もちろん初めて聴きました。エレガントでやわらかい響き。フワフワ浮いたような空気感がありました。音質に気を使っていました。デュトワはスコアをめくりながら指揮しました(以下の2曲も同じ)。
プログラム2曲目は、ドビュッシー作曲/夜想曲。女声合唱団が入場。ステージ後方に2列で並びました。オーケストラはチューニングなしで演奏開始。第1曲「雲」から弱奏が安定しています。NHK交響楽団の技術力の高さが感じられました。弦楽器の響きはN響とは思えないほどでした。第2曲「祭」は、表現に自由度があり、オーケストラに任せるところは任せています。もう少しトランペットを聴かせてほしいです。第3曲「シレーヌ」で女声合唱の出番。楽譜を持って歌いました。声はよく聴こえるのですが、やや怒鳴り気味の歌声。声質も整えてほしいです。音程も悪くて期待外れでした。
デュトワは余裕のある指揮。オーケストラと意思疎通ができていて、指揮棒で会話しているようでした。ところどころでデュトワのうなり声が聴こえました。最初は聴衆の咳払いかと思いましたが、どうやらうなり声のようです。小林研一郎のようなうなり声でした。デュトワがうなり声を出しながら指揮するイメージがなかったので、びっくりしました。アインザッツに力を入れたいときにうなり声を出すようです。
休憩は15分しかありません。トイレに大行列ができたり、バタバタとあわただしい休憩でした。3500人以上を収容するホールなので、20分はほしいですね。休憩後のプログラム最後の3曲目は、ホルスト作曲/組曲「惑星」。パイプオルガンが客席の右側の壁に設置されています。オルガン奏者はパイプオルガンの前に座ってではなく、ステージ上で演奏しました。
全体的にオーケストラはもっと鳴ってほしいです。座席がパイプオルガンに近いこともあってか、パイプオルガンに音量が負けている部分がありました。ホール全体が響かないので遠く感じます。高揚感や一体感に乏しい。ステージの演奏にあまりのめりこめませんでした。この演奏を聴くのにこのホールがふさわしいのか疑問です。演奏はいいのに残念。
デュトワは奇をてらった解釈はありませんでした。貫禄のある指揮で、「翼を持った使いの神、水星」などは肩の力が抜けた指揮を見せました。木管楽器を美しく聴かせました。打楽器は強めに演奏。トランペットが不調なのかよく音を外しました。「快楽の神、木星」の有名な第4主題は弦楽器の響きに一体感があって重厚に演奏。「老年の神、土星」はゆっくり盛り上げます。「神秘の神、海王星」はかなりの弱奏で演奏しました。ハープやチェレスタの細かな音符は控えめに演奏。女声合唱は客席から姿は見えませんでしたが、反響板の後ろで歌っているようでした。合唱の入りは、デュトワが左手を上げて指示しました。
演奏終了後は、デュトワは笑顔で拍手に応えていて、ご満悦の表情でした。女声合唱団はカーテンコールに登場しませんでした。客席に「さよなら」の手を振って退場しました。また、定年で退団される第2ヴァイオリンの根津昭義さんが最後の定期公演出演とのことで、パート首席から花束が渡されました。
シャルル・デュトワは、2008年9月からフィラデルフィア管弦楽団の首席指揮者/アーティスティック・アドヴァイザーを務めています。さらに、2009年10月からロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督・首席指揮者にも就任します。今後の活躍に期待したいです。
NHKホールはやはり音響がよくないですね。2階席よりも1階席のほうがましでしたが、もっと前列のほうがいいでしょう。
(2008.12.26記)