ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第36回


   
      
2008年4月13日(日)14:00開演
ミューザ川崎シンフォニーホール

ユベール・スダーン指揮/東京交響楽団

ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」序曲
ベートーヴェン/交響曲第1番
ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」

座席:S席 3階 C4列35番


東京交響楽団川崎プレ定期演奏会第1回「音楽監督就任記念 ユベール・スダーンへの期待」で、衝撃的な「第九」を聴かせたユベール・スダーンが、オール・ベートーヴェン・プログラムを指揮する演奏会を聴きに行きました。
ミューザ川崎シンフォニーホールに行くのはミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第17回以来でしたが、いつの間にかJR川崎駅のすぐ北側に商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」がオープンしていました。JR川崎駅を行き交う人の数が明らかに増えたように感じました。
ミューザ川崎シンフォニーホールで演奏会を聴いたのは3回目ですが、ホールの構造が複雑ですね。座席を誘導するホールスタッフの人数が多いことにいまさら気がつきました。

プログラム1曲目は、劇音楽「エグモント」序曲。冒頭の全音符から充実した響き。特に弦楽器がまとまった響きを聴かせました。スダーンは腰を前後左右に回転させながら指揮。指揮棒は使いませんでした。譜面台に譜面は置かれていましたが、まったく開けませんでした。スダーンが息を吸う音が随所で聴こえました。長調になる「レーラ」の前で、間を置きました。

プログラム2曲目は、交響曲第1番。人数が減って中編成での演奏。肩の力が抜けた軽い響きで、すべての楽器の音色を融合させました。弦楽器はまとまった響きを聴かせ、管楽器もブレンドされた美しい音色を聴かせました。スダーン色に染まった柔らかい演奏は、ヨーロッパ的な音楽センスと言えます。見通しがよく活動的な響きで、アクセントもほどよく効いています。違和感なく安心して聴けました。第4楽章は弦楽器と管楽器の対話が楽しい。

休憩後のプログラム3曲目は、交響曲第5番「運命」。演奏の完成度がさらに上がりました。細かなところまで神経が行き届いています。洗練された音色と格調高い響きで、強奏でも混濁しません。コントラバスとティンパニが力強い。ところどころでデフォルメがあり、作品をおもしろく聴かせてくれます。たまにスダーンの声も聴こえました。第4楽章は、最初の3音(二分音符+二分音符+付点二分音符)でクレシェンドさせるのが珍しい。

スダーンが音楽監督に就任してから、東京交響楽団の演奏レベルが上がっていることが分かります。今回の演奏会では、東京交響楽団川崎プレ定期演奏会第1回「音楽監督就任記念 ユベール・スダーンへの期待」での「第九」ほどの挑戦的な解釈はなかったので少し拍子抜けしましたが、他の国内オーケストラにはない個性的な演奏を聴くことができました。私の好みの演奏なのかどうか分かりませんが、ホールの音響のよさも手伝って、スダーンの演奏は不思議な魅力を持っています。やみつきになりますね。今後も聴きに行くことでしょう。

(2008.4.23記)


ラゾーナ川崎プラザ JR川崎駅連絡通路 ラゾーナ川崎プラザ5階からミューザ川崎を望む ストリートオルガンの演奏で開場するミューザ川崎シンフォニーホール



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