京都市交響楽団第500回定期演奏会


   
      
2007年5月12日(土)18:00開演
京都コンサートホール大ホール

大友直人指揮/京都市交響楽団

モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」
R.シュトラウス/アルプス交響曲

座席:S席 3階 C−1列10番


京都市交響楽団の記念すべき第500回定期演奏会に行きました。指揮は、第11代常任指揮者&アーティスティック・アドヴァイザーを務めている大友直人です。
プログラムに掲載された記事によると、京都市交響楽団第1回定期演奏会が行なわれたのは1956年6月19日で、会場はなんと円山音楽堂とのこと。初代常任指揮者を務めたカール・チェリウスが指揮しています。51年の歳月を経て、500回を迎えました。
チケットは全席完売。客席はほぼ満席でした。この演奏会の模様がNHK教育テレビ「オーケストラの森」で放送されるとのことで、ステージ下手側と2階左右のハイバック席にTVカメラが複数台入っていました。充実した体制で収録していました。

開演。弦楽器メンバーが登場したところで、管楽器奏者が登場しないのでおかしいなと思っていたところ、ステージが半照になって大友直人が下手から登場。マイクを持ってあいさつ。「みなさんに悲しいお知らせをしなくてはなりません」と話し出し、京響アシスタントコンサートマスターの岡忠継氏が、4月29日に亡くなったことを話しました。プログラムにも「訃報」という囲み記事が掲載されていましたが、しばらく体調を崩されていたそうです。追悼の意味を込めて、プログラムにはありませんでしたが、J.S.バッハ作曲/エアを演奏しました。チューニングしなかったので音程がいまひとつでしたが、心に染み入るいい演奏でした。演奏後は、舞台の照明が暗くなり、大友直人が静かに指揮台を下りて、ゆっくり舞台下手に去りました。続いて、弦楽器のメンバーも舞台裏に引き上げました。客席から拍手はありませんでした。また、第1ヴァイオリンの2列目の譜面台に置かれた遺影がスポットライトで照らされました。

オーケストラ団員が再入場してチューニング。プログラム1曲目は、モーツァルト作曲/交響曲第41番「ジュピター」。弦楽器の人数が意外に多かったですが、重厚な響きではなく、肩の力を抜いて軽く演奏していました。響きが拡散されていたので、もう少し響きをまとめて聴きたいです。管楽器と打楽器を含めてもアクセントはほとんどつけることなく、柔らかい優しいモーツァルトでした。もっとエネルギーが欲しいです。第4楽章は主旋律が埋もれがちになったので、もう少し整理して聴かせて欲しいです。
大友直人は、いつものように指揮棒なしで指揮。譜面台もありませんでした。TV収録があるせいか、いつもより腕を大きく振って指揮していました。

休憩後のプログラム2曲目は、R.シュトラウス作曲/アルプス交響曲。500回記念にふさわしい大曲ですが、第438回定期演奏会(2001.10.19)で第10代常任指揮者ウーヴェ・ムントの指揮で演奏しています。
数ヶ月前に京都大学交響楽団第180回定期演奏会「創立90周年記念特別公演」で聴きましたが、プロのオーケストラらしく大らかで落ち着いた演奏で、聴き手に緊張を強いるような張り詰めた演奏ではありませんでした。技術的な完成度も申し分ありません。細部をしっかり演奏していて、スコアにこんなに細かく音符が書き込まれていたのかという新発見もありました。ただ、強奏でも響きの密度が薄いのが残念。弦楽器の量感が不足して管楽器の陰に隠れてがちになります。弦楽器はもっと鳴らして欲しいです。大友の演奏設計がクールなので、もっと濃厚に情熱的にダイナミックに演奏して欲しいです。演奏精度がよかっただけに、聴かせ方があまり好きになれませんでした。
楽器別では、木管楽器(特にフルートとクラリネット)の色彩感がすばらしい。「hinter der Scene(舞台の後ろで)」とスコアに書かれた「登り道」でのホルンは、下手の舞台袖で演奏していました。打楽器はやや強めに明確に聴かせました。「雷雨と嵐、下り坂」のウィンドマシーンも大きめに演奏してました。パイプオルガンの演奏台は、ステージ最後列の左に置かれていましたが、はっきり聴こえました。
大友直人は、譜面台にスコアを置いて指揮。途中までスコアをめくりながら指揮しました。大きく振っていて、縦線をあわせるために細かく振ったりはしませんでした。
演奏終了後は、盛大な拍手に応えてカーテンコールが何回も行なわれました。500回を記念するあいさつなどはありませんでした。

京都市交響楽団を本格的に聴くようになってまだ月日が浅いですが、演奏技術は明らかに向上しています。また、定期演奏会も土日開催が増えて、来場者数も増えています。これからも最も身近なオーケストラとして見守っていきたいです。
団員名簿を見て気づいたのですが、トランペットの若林義人氏が客演奏者になっていました。今年3月末で退職されたそうです。高校時代にほんの数時間だけですがご指導を受けたことがあるので、退団されたのはちょっぴりさびしいです。

(2007.5.13記)


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