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2006年4月29日(祝・土)18:30開演 大阪城西の丸庭園 大植英次指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団 バーンスタイン/ミュージカル「キャンディード」序曲 座席:自由 |
大阪フィルハーモニー交響楽団初めての野外コンサートです。大阪城公園で開催中の「第23回全国都市緑化おおさかフェア」(花・彩・祭 おおさか2006)のイベントとして、大阪城西の丸庭園で行なわれました。コンサートは入場無料。ただし、西の丸庭園への入場に500円が必要でした。野外コンサートなので、雨天の場合は翌日に順延されることになっていました。天気予報の降水確率は30%でちょっと天気が微妙でした。
大阪フィルハーモニー交響楽団を音楽監督の大植英次が指揮するということで、どれだけの人が集まるか予測がつかなかったので、早めに大阪城公園へ。京阪京橋駅で降りて、大阪城ホールの横を通り、青屋門へ。極楽橋を渡って大阪城天守閣に到着。すると、西の丸庭園の方角から、オーケストラの演奏が聴こえてきました。まだ16時頃だったので、開演までまだまだ時間がありますが、どうやらリハーサルが始まっているようです。ぶっつけ本番だと思っていたので、リハーサルをやるなんて予想外でした。急ぎ足で、桜門を通って、西の丸ゲートへ向かいました。
入場券を買って中に入ると、星空コンサートのパンフレットを無料で配布していました。「花座敷」「花回廊」などの花壇がありましたが、あまり花は咲いていませんでした。しばらく歩くと、西の丸庭園に着きました。柵のような仕切りは設置されておらず、芝生が広々と続いていました。花彩祭ステージで「星空コンサート」のリハーサルが行なわれていました。芝生に座ってリハーサルを見ることに。運営テントの右横のスペースを確保。すでにお年寄りや家族連れなど多くの人がステージ前に集まっていて、ブルーシートに座って見ていました。
オーケストラ団員はすでに正装していました。大植英次は白シャツで指揮。プログラム順に演奏していました。ステージ横に備え付けられた大型スピーカーで演奏を届けていました。ステージを映すモニター画面はなかったので、早く来ておいてよかったです。録音や録画が禁止ではなかったので、多くの人がビデオを持ち込んで撮影していました。また、テレビ(大植英次の話によると「ABCテレビ」とのこと)の撮影機材もありました。いつもの演奏会と違って、かなり自由な雰囲気でした。リハーサルの最後に、大植英次がマイクで「6時半に戻ってきます。天気が持ちますように。」と言って退場しました。リハーサルが終わる頃には、後ろのほうまでだんだんと客が埋まってきました。
リハーサル終了後に、パンフレットと下に敷くシート(黒のゴミ袋)を無料で配布しているとの場内アナウンスがあると、人が殺到。あっという間に大行列ができました。また、大植英次と大阪フィルのポストカードも販売していました。
のんびりと本番の開演を待ちます。太陽が沈みかける頃に、雲が広がってきてちょっと天気が怪しくなってきました。風も強くなって、肌寒く感じました。
18:30に開演。大植英次が登場し、1曲目バーンスタイン作曲/ミュージカル「キャンディード」序曲の演奏がスタート。演奏の感想を先に書いておくと、スピーカーにつなげるマイクで集音しているため、マイク位置によってよく聴こえる楽器とあまり聴こえない楽器がありました。そのため、主旋律よりも内声のほうが大きく聴こえることがありました。風が強く気温も低い悪条件の中でもオーケストラは一生懸命演奏していました。大植英次も大きなアクションでオーケストラを引っ張っていました。また、演奏前後の大植のトークが意外にもおもしろかった。ちょっとドイツ語なまりの発音でした。
1曲目が終わると、大植英次がマイクを持って挨拶。今にも雨が降りそうな曇り空でしたが、「星見えてます!」と話して聴衆を笑わせました。続いて、2曲目の紹介。「あまり長くしゃべっていられない」とのことで、なぜなら「今日の大阪の日の入りの時刻は、6時41分だから」とのこと。そして、ドヴォルザーク作曲/交響曲第9番「新世界より」第2楽章からを演奏。有名な「家路」の部分を演奏して、それ以降はカット。
3曲目はプログラムになかったモーツァルト作曲/アイネ・クライネ・ナハトムジーク第1楽章。生誕250年のモーツァルトの作品で一番有名ということで大植が選曲したようです。速めのテンポで演奏しました。
4曲目はチャイコフスキー作曲/組曲「くるみ割り人形」より“花のワルツ”。途中で大植英次が花びらのようなものを撒きながら指揮。演奏後の話では「桜の花が散った」ということだったらしいです。
5曲目はホルスト作曲/組曲「惑星」より“木星”。野外で聴くのはもったいないほどいい演奏でした。ぜひ演奏会でも取り上げて欲しいです。
6曲目はJ.ウィリアムズ作曲/スター・ウォーズ メインテーマ。演奏前の話では、梅田でライトセーバーを買ったが悪役ダース・ベイダーのもので、しかもライトセーバーを指揮棒にしようと思ったがサイズが長すぎて危ないと話して聴衆を笑わせました。
7曲目はサラサーテ作曲/ツィゴイネルワイゼン。ヴァイオリン独奏は、17歳の神��悠実。大阪府箕面市の生まれで、相愛高校に在学中とのこと。寒いのにドレスで登場。メガネをかけていたようです。ソリスト用のマイクも設置されました。この曲を生演奏で聴いたのは初めてですが、本当に難曲ですね。神��はAllegro molto vivaceでも落ち着いて正確に演奏していました。演奏後に、袖に下がろうとする神��を大植英次が「ちょっとお待ちくださーい」と呼び止めてインタビュー。神��は緊張しながら答えていました。
ここで、「こんな機会はめったにないので」ということで、大植英次が指揮台の上から写真撮影。聴衆は手をあげてカメラに収まっていました。たぶん写ってないでしょうけど。
8曲目はチャイコフスキー作曲/序曲「1812年」。大植英次が大好きな曲とのこと。「大砲の音が大きすぎたらごめんなさい」と言って演奏。大砲はもちろん録音ですが、かなりの爆音で、ゴジラが行進しているようでした。また、チャイム(鐘)をステージの両サイドに設置。派手に鳴らしました。さらに、ステージ後方の芝生の左右にバンダ(左にトランペット、右にトロンボーン)を待機させ、大植英次が振り返って指揮。なかなか派手なパフォーマンスでした。
ここでハプニングが発生。大砲の音が大きすぎたのか、序曲「1812年」の途中からマイクが不安定に。演奏後に大植英次のマイクが入らなくなりました。ちょうど大阪市の関淳一市長が登壇して挨拶していましたが、あまり聴こえませんでした。運が悪いですね。その後、大植英次のマイクは回復したものの、オーケストラのマイクがまだ入っていないということで、大植英次が「何か話をしろということですが、僕は漫才師じゃないんだから」と話して、笑わせました。
プログラム最後の9曲目は、レスピーギ作曲/交響詩「ローマの松」より“アッピア街道の松”。この曲も芝生左右のバンダが活躍しました。
盛大な拍手に応えてアンコール。オッフェンバック作曲/天国と地獄を演奏。演奏前に大植が「立ち上がって踊ってください」と呼びかけ、演奏中に手拍子を促しました。聴衆はほぼ総立ち。
スタンディングオベーションで迎えられた大植英次が「これはやめられませんねー」と話し、「本当に最後の最後の1曲」ということで、アンコール2曲目八木節を演奏。大植は「八木節」と紹介しましたが、正確には外山雄三作曲/管弦楽のためのラプソディの「八木節」を演奏。大植英次は、指揮台の横に隠してあったはっぴを着て指揮。場内は大盛り上がりでした。
カーテンコールに現れた大植英次が「もうアンコールはありません」と話し、「今日は9,300人の方に来ていただきました」と聴衆数を発表。前のほうで聴いていたので、こんなに大勢の人が聴いているような感じがしなかったので、本当に驚きました。主催者もこれだけの人数が詰め掛けるとは想定していなかったようで、退場は整理退場になりました。結局最後まで雨は降りませんでした。よかった。
それにしても、クラシックの演奏会にこれだけの人がやってくるなんて、不思議な感覚です。みんな行儀よく演奏を聴いていました。演奏効果が高い作品が選ばれていてプログラムもよかった。とにもかくにもイベントとしては大成功でした。入場料収入もすごいでしょう。「全国都市緑化おおさかフェア」は、全国を巡回して開催されているので、大阪で次回開催されるのはいつか分かりません。ただし、野外コンサートとしてすさまじい集客力をアピールできたので、大阪市などでは来年以降も継続して大阪フィルに演奏して欲しいという要望が出てきて当然でしょう。問題なのは、あまりにも人が集まりすぎたこと。安全確保のために、残念ながら、入場料を取ったり、入場を先着順にしたりという検討がされるかもしれません。
大植英次は、いつものように全身を使って指揮していました。野外コンサートだから手を抜こうという意志はまったく感じられませんでした。演奏前後の話では、「ファンの皆さんは神様です」とか「大阪フィルは世界遺産だと思っています」とか「大阪に来てまだ3年ですが、大阪人だと思っています」とか、大阪や大阪フィルと自分との結びつきをアピールしていました。また、ファンからもらったというてるてる坊主を指揮台に結んで指揮していました。普段の定期演奏会では話す機会がないので、いろいろな人に対して感謝の気持ちを伝えたかったようです。
大植英次は、今年の9月からスペインのバルセロナ交響楽団の常任指揮者に就任する予定です。『レコード芸術』2006年5月号のインタビュー記事によれば、年28回の定期の半分を担当するとのこと。ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニーの首席指揮者とあわせて、3つのオーケストラを掛け持ちすることになります。大阪フィルとの演奏機会が減ってしまうのではないか心配です。
(2006.5.1記)