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2006年7月30日(日)13:00開演 大阪厚生年金会館大ホール Overture(オーヴァーチュア) / Violaine Corradi 座席:S席 2階O列38番 |
blast(ブラスト!)がパワーアップして、今年は「ブラストⅡ:MIX」として日本ツアーを行ないました。昨年までの「blast(ブラスト!)」は、Brass(金管楽器)、Percussion(打楽器)、Visual Ensemble(カラーガード)で構成されていましたが、今回の「ブラストⅡ:MIX」では、新たに「木管楽器」(フルート、クラリネット、サクソフォーン)と「電子パーカッション」をミックスして「Winds」を構成。Percussion、Visual Ensembleとあわせて総勢45名が出演しました。
見に行った日は、大阪公演の最終日でした。会場は昨年と同じ大阪厚生年金会館大ホール。最寄り駅は、大阪市営地下鉄四つ橋線の四ツ橋駅ですが、肥後橋駅と勘違い。しばらくしてからようやく間違いに気づいて、炎天下の御堂筋を南に走って、なんとかギリギリ開演に間に合いました。やれやれ。それにしても、大阪には「○○橋」という名前の駅が多すぎませんか?
今回の「ブラストⅡ:MIX」の全体の感想を先に書いておくと、昨年の「blast(ブラスト!)」よりも明らかにレベルダウンしました。特に、Visual Ensemble(カラーガード)は、昨年はノーミスの演技で感嘆しましたが、今回はバトンを落とすなど明らかに分かるようなミスがありました。残念。Winds(金管楽器+木管楽器)は、動作に無駄な動きが多いように感じました。腰から下の下半身を激しく動かしながら、楽器を演奏できることはすばらしいですが、音楽との一体感があまり感じられませんでした。また、電子パーカッションが加わったことによって、ライヴ演奏としての臨場感が薄れたのも残念。演出も昨年に比べて見劣りがしました。照明が暗すぎてよく見えない場面が多く、何を見せたいのか演出の意図に疑問を感じました。昨年の出来がよすぎたのでしょうか。また、1階席の客席でもパフォーマンスがあったようですが、2階席からは見えませんでした。
今回も2部構成で、まずACT1からスタート。開演前からスクリーンに映し出された○(青色の丸)、△(黄色の三角)、□(赤色の四角)の図形が動いていましたが、スクリーンの中央で1ヶ所に固まりました。スクリーンに打楽器奏者が叩く姿がシルエットで映し出されてOvertureが始まりました。その後、幕が上がって管楽器奏者が入場。しゃがみながら楽器を吹くなど、すごい姿勢で演奏していました。続いて、Shapesは、Visual Ensembleが演技。文字通り、「サークル」「トライアングル」「スクエア」のアナウンスにあわせて、ヒモのような素材を使って○、△、□の図形を操りました。昨年の「blast(ブラスト!)」でも同様の演技があり、色がテーマになっていましたが、今回は図形がテーマになったようです。続いて、Blue Rondoは、小さな円形のトランポリンが並べられて、その上をサクソフォーン奏者がジャンプしながら演奏。Flight of the Bumble Beeは、リムスキー=コルサコフ作曲の有名な「くまんばちの飛行」を、トランペットソロとバトンの2名で演技。このバトンを演技したのが、今回のメンバーで唯一の日本人である稲垣正司。立命館大学産業社会学部を1999年に卒業されたようで、私より1年先輩になります。世界バトントワリング選手権で連続優勝するなどすごい持ち主なそうですが、今までまったく知りませんでした。ミュートつきのトランペットが高音を演奏。なかなか楽しめました。Tribal Towersは、打楽器が活躍。はじめに「さくらさくら」によく似た旋律をソロで独奏。不思議な音色がしました。ピットパーカッションは、昨年の「blast(ブラスト!)」同様、ステージ後方にある城壁のような舞台装置に格納されていました。中にいる打楽器奏者の様子を見せたいときだけ、城壁の窓が開いて客席から様子が見えるという仕掛けです。また、バッテリーパーカッションが多数登場し、天井から降ろされてきたドラムとシンバルを叩きました。The Rite of Springは、ストラヴィンスキー作曲のバレエ音楽「春の祭典」の第1部を自由にアレンジして演奏。 Concierto De Aranjuezは、ロドリーゴ作曲の「アランフェス協奏曲」第2楽章。ギター奏者がステージ中央に登場し、全員でメロディーを合唱。演出もキャンドルサービスのように美しかったです。ACT1の最後は、Malaga。トランペットが高音を聴かせました。
ACT1が終わると休憩時間を利用して、1階ロビーで「ロビーパフォーマンス」がありました。せっかくなので見に行きましたが、黒山の人だかりでよく見えませんでした。メンバーのなかの数人(3人?)で1曲演奏しました。最前列の人はかなり間近で見ることができたようです。このロビーパフォーマンスに限って、写真撮影が許可されていました(フラッシュ使用は禁止)。昨年はホール入場時に持ち物検査がありましたが、今年なかった理由が分かりました。休憩時間中に、パンフレットを購入。
休憩が終わると、ACT2がスタート。1曲目のO2は、パンフレットによれば、「Overture №2」の意味で、カール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」をモチーフにしているそうですが、まったく気がつきませんでした。続いてSlavaは、レナード・バーンスタインが、ロストロポーヴィチ(愛称「スラヴァ」)の誕生日を「記念して作曲した作品とのこと。奏者がムダに動きすぎている感じがしました。Didgeは、オーストラリアの民族楽器「ディジリドゥ」が昨年に続いて登場。昨年はソロだったように思いますが、今回は数人で演奏しました。楽器を使ってしゃべっているように聴こえました。Mid-East Suiteは、クラリネットがわざと音程を狂わせて演奏していました。聴いていてちょっと不快でした。Good Vibrationsが変わった演出。トロンボーン奏者の独奏中に、客席で携帯電話の着信音が鳴りました。その後もいろいろな場所で何回も鳴りましたが、これが実は演出。最後はトロンボーン奏者の携帯電話が鳴って、電話で話していました。演出は斬新でしたが、あまり気分のいい演出ではありませんでした。Lullaby for Nancy Carolを経て、最後はSwing Swing Swing。ベニー・グッドマンの原曲を、ジョン・ウィリアムスが編曲したらしいですが、別の作品のように聴こえました。
本編終了後は、出演者全員がステージ中央で礼をして退場しました。
昨年の「blast(ブラスト!)」に比べると、見慣れてしまったのか、感動や驚きは少なかったです。私にとっては、毎年見に行くようなステージではないように感じました。
ちなみに、来年の公演は、「blast(ブラスト!) Broadway Version」として、夏に日本公演を行なうようです。
(2006.8.27記)