ｂｌａｓｔ（ブラスト！）
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２００５年８月２８日（日）13:00開演
大阪厚生年金会館大ホール
Bolero (M.Ravel)
Color Wheel (J.Lee)
Spirit Complimentaries (J.Talbott)
Everybody Loves the Blues (M.Ferguson / N.Lane)
Loss (D.Ellis)
Simple Gifts / Appalachian Spring (A.Copland)
Battery Battle (T.Hannum / J.Lee / P.Rennick)
Medea (S.Barber)
Color Wheel Too (J.Vanderkolff)
Gee Officer Krupke (L.Bernstein / S.Sondheim)
Lemontech (J.Vanderkolff)
Tangerinamadidge (J.Mason / J.Vanderkolff)
Land of Make Believe (C.Mangione)
Spiritual of the Earth : Marimba Spiritual (M.Miki) / Earth Beat (M.Spiro)
Malaguena (E.Lecuona)
座席：Ｓ席 ３階Ｅ列１６番 |
アメリカのマーチングバンド「ｂｌａｓｔ」の公演です。1984年に結成された「スター・オブ・インディアナ・ドラム＆ビューグル・コー」を前身としたマーチングバンドで、Brass（金管楽器）、Percussion（打楽器）、Visual Ensemble（カラーガード）から成ります。メンバーに日本人の石川直（Percussion）が所属していることもあって、テレビなどでも取り上げられるようになりました。一昨年、昨年に続いての来日で、この日は大阪公演の最終日でした。チケットは発売初日にチケットぴあで購入。なんとか電話がつながりました（ちなみにこのとき初めてぴあに電話）。でも座席は選べませんでした。
開場は開演30分前でしたが、かなりの人でした。開場してすぐ１階のショップでパンフレットを1,500円で購入。パンフレットを買うのに行列ができていましたが、クラシックの演奏会では考えられません。ホール内も空席が見当たらないほどの満席。座席は３階席。なかなかいい席でしたが、ちょっとステージからは離れていたので、奏者の細かな動きは分かりませんでした（後述）。客層は家族連れからシニアまで幅広かったです。熱狂的なファンと思われる学生もいました。
２時間ほどの公演でしたが、大変楽しめました。私も高校と大学の吹奏楽部でマーチングをやったことがあるので、どんなステージか大体見当はついていたのですが、予想を超える出来栄えでした。おそらく世界一のマーチングショーでしょう。これ以上のショーはなかなか望めないレベルにあります。「ｂｌａｓｔ」という独自の音楽ジャンルを築いていると言えます。
ステージの構成ですが、指揮者（ドラムメジャー）はいないようでした。ステージ後方にパーカッションが配置されています。５人がそれぞれカラオケボックスのような部屋に入って演奏。このパーカッションの前に幕があって、曲によって幕が上下します。メンバーが演技するステージは意外に狭く感じました。
全体の感想としては、なんといっても演技演奏にミスがなく正確。フラッグのエクスチェンジなど高度なテクニックを披露しましたが、目に見えるミスはまったくなし。練習量がすごいのでしょう。最後までバテません。視覚的にも全体的に激しい動きが多く、飽きさせません。照明が当たっていないところでも、いろいろアクションをしていて、どこを見ていいか困るほど。メンバーは体がすごく柔らかい。体育会系です。また、展開が早い。あっという間に次の隊形に変わります。いつの間にかステージに人が現れていたということがありました。スピード感がすごい。さらに、ただ演技演奏しているだけでなく、ストーリー性がある。客席の笑いを取れるようなアクションがあって、エンターテイメントとしても完成度が高い。
全体は２部構成。曲順に見ていくと、まずACT1の１曲目はBolero。ラヴェルの原曲をアレンジしたもので、石川直の小太鼓ソロから始まってメンバー全員による演奏にふくれあがります。シンバルがステージのソデから前まで走って出てきたのもびっくり。Brassのメンバーは下半身を激しく動かしていました。続いてColor Wheelは、Visual Ensembleが色とりどりの旗を持って登場。Spirit Complimentariesは、マーチングホルンとマーチングユーフォニアムが演奏。寝転がって演奏したり、寝た姿勢からすっと立ったり、体の柔らかさにびっくり。Everybody Loves the Bluesは、水色のイスに座ったり立ったりして演奏。トランペットの高音でのソロもありました。Lossは、トランペットが天井から吊り下げたイスに立って演奏。最初は人がつり下げられているとは気がつきませんでした。Simple Gifts / Appalachian Springは、コープランド作曲「アパラチアの春」のアレンジ。メンバーが楽器を置いて合唱を聴かせました。こういう繊細な表現があるとは驚き。Battery Battleは文字通りPercussion２名の決闘（うち１名は石川直）で、長い小太鼓のソロ。はじめに１名ずつが個人技を披露。スティックを口にくわえて叩いたり、足を上げてその間から叩いたり、高度なパフォーマンスを見せました。本当に演奏することを楽しんでいることが伝わりました。ただ、３階席からはちょっと見えにくかったのが残念。その後、２名で時代劇のようにスティックで相手を斬ったりするようなアクションが見られました。日本人向けの演目でしょう。その後、パーカッションソロ。小太鼓が一列に並んで叩くのはそんなに珍しくありませんが、驚いたのは、天井からシンバルセットが降りてきたこと。アイデアの勝利ですね。視覚的にも最高。これには圧倒されました。第一部最後はMedea。ラストで鉄棒に固定された打楽器奏者２名が上下に回転。笑えました。演出が超派手。盛り上げるためならどんなことでもやるといった感じです。
２０分の休憩Intermisson中もロビーでパフォーマンスがあるとのこと。私は見に行きませんでしたが、ファンはそのことをよく知っていて、第一部が終わるとすぐにロビーに下りていきました。石川氏も演奏していたようです。
第二部ACT2はColor Wheel Tooからスタート。第二部になると客席から手拍子が盛んに送られるようになりました。どの曲か忘れましたが、メンバーが１階席の通路でも演奏していました（３階席からは何をしているのか見えませんでしたが）。続くGee Officer Krupkeは、一輪車やスクーターに乗って登場したりして笑えました。Lemontechは、照明が落とされたステージで黄色の蛍光色の棒を回転させます。幻想的でした。また、旗がステージのソデから投げられるパフォーマンスがありました。ステージのメンバーはその旗を見事にキャッチ。これは難易度が高いです。まさに神技。Tangerinamadidgeは、オーストラリアの民俗楽器「ディジリドゥ」が登場。長い筒のような形をしていました。楽器を吹いているというよりも、楽器でしゃべっているような音でした。Land of Make Believeは、チューバが主役。Spiritual of the Earth : Marimba Spiritual / Earth Beatは、三木稔作曲「マリンバ・スピリチュアル」のアレンジ。日本人の作品が使われていたとはまったく気づきませんでした。鍵盤打楽器が主役。最後のMalaguenaでフィナーレ。
演奏終了後はメンバー全員がステージ上に。一礼をして、演奏しながらステージを下りて１階席の通路を通って帰っていきました。このとき気づいたのですが、メンバーの人数が本当に少ない。一人何役もこなしているのでしょうし、舞台裏では衣装の着替えなどかなり忙しいことになっているはずです。少数精鋭というところでしょうか。
クラシック音楽や吹奏楽に親しくなくても、十分に楽しめるショーです。パンフレットにCreative Team（スタッフ）のプロフィールが掲載されていましたが、人数の多さにびっくり。芸術監督、演技監督、舞台監督、作曲家、照明、道具、衣装など多彩な陣容です。このスタッフのプロデュース力がこれだけ完成度の高いステージを作り上げているように感じました。
少し残念なのは、マイクや録音テープがたまに使われていること。演出効果を高める必要性からでしょうが、バンドの演奏がすばらしいので、あまり多用する必要はないように感じました。
来年はｂｌａｓｔ�兇箸靴突萋�するようです。今度は木管楽器も加わるとか。楽しみです。
(2005.9.3記)
