読売日響第473回名曲シリーズ


   
      
2005年12月27日(火)19:00開演
サントリーホール大ホール

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/読売日本交響楽団
佐藤しのぶ(ソプラノ)、坂本朱(メゾ・ソプラノ)、中鉢聡(テノール)、三原剛(バリトン)
武蔵野音楽大学合唱団

ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」

座席:A席 1階 17列27番


年末恒例の「第九」演奏会ですが。2005年はひとつに絞り込みました。スタニスラフ・スクロヴァチェフスキが読売日本交響楽団を指揮する演奏会を聴きました。スクロヴァチェフスキを聴くのは、読売日響第116回東京芸術劇場名曲シリーズ以来、8ヶ月ぶり。この演奏会の直前に、スクロヴァチェフスキが読売日本交響楽団第8代常任指揮者に2007年4月から就任することが発表されました。

サントリーホールで演奏会を聴くのは6回目ですが、今回初めて1階席で聴きました(2階席Cブロックのチケットが取れなかったので)。サントリーホールは1階席と2階席で入り口が異なります。1階席入口にあるマエストロ・カラヤンからのメッセージと、佐治敬三のプレートを初めて見ました。チケットは完売でしたが、意外にも空席が目立ちました。不思議です。

開演前に、武蔵野音楽大学合唱団がステージ後方に整列。4列120人くらいの人数でした。続いてオーケストラが登場し、スクロヴァチェフスキがゆっくりと登場。
演奏ですが、全体的に速めのテンポで進められました。ところどころでデフォルメして見せました(後述)が、予想以上に安全運転。もっといろいろな仕掛けを見せて欲しかったです。また、クレシェンドも全楽器の勢いで持っていく部分が多く、ちょっと雑に感じました。もう少し丁寧に演奏して欲しかったです。また、木管楽器があまり聴こえませんでした。ホール座席の関係でしょうか。
スクロヴァチェフスキは、譜面台なしで指揮。動きを最小限に抑えたような指揮で、立ち位置をほとんど変えないで指揮しました。

第1楽章は、第1ヴァイオリンがアーフタクトの前の休符を詰めて演奏。297小節からのティンパニ(菅原淳氏ではありませんでした)を強打。さらに、304小節のフルートの高音を強調。驚いたのは、511〜512小節でフルートが演奏する4つの音符をクラリネットに置き換えて演奏。どういう意図があるのかスクロヴァチェフスキに質問してみたいです。513小節からのコーダも速めのテンポを維持して演奏。
第2楽章も速めのテンポ。151小節付近(あっという間だったのでよく覚えていません)でスコアにない数小節を新たに追加して演奏。今まで聴いたことがない旋律が突然現れたので驚きました。スコアの版の問題でしょうか。264小節からはティンパニとトランペットを強奏。スクロヴァチェフスキも激しく指揮。
第3楽章は、これまでの2楽章とは響きがまったく異なりました。弦楽器と木管楽器が一体感ある響きを聴かせて、この楽章はかなり練習したことが分かりました。おそらくスクロヴァチェフスキはこの楽章が好きなのでしょう。この楽章に対する思い入れが感じられました。ヴァイオリンの細かな音符を歌い込んでしっかり鳴らしました。
休みなしに第4楽章に突入。独唱者をいつ入場させるのか気になっていましたが、164小節からオーケストラがトゥッティで演奏する部分で、独唱者4人が登場。合唱団とオーケストラの間に置かれたイスに座りました。武蔵野音楽大学合唱団は、今回初めて聴きましたが、充実した歌声を聴かせました。
終わりに近づいた頃(627小節付近)、ステージで大きな音がしました。第1ヴァイオリン後列の奏者の譜面台が倒れて、オーケストラ団員(ヴァイオリンか打楽器?)が倒れたようです。倒れた奏者は両肩を抱えられて退場しました。こういうハプニングは初めてだったのでびっくりしましたが、演奏は問題なく続けられました。

演奏終了後は拍手に応えて、カーテンコールが数回行なわれました。

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキは、首席客演指揮者を務めるザールブリュッケン放送交響楽団とベートーヴェン交響曲の録音が進行中です(エームス・クラシックス)。スクロヴァチェフスキがスコアに手を入れたと思われる部分はCDを聴いて確認したいと思います。また、2006年12月のザールブリュッケン放送交響楽団との来日公演はベートーヴェンの交響曲全曲を取り上げるようです。こちらも楽しみ。
スクロヴァチェフスキは2006年4月にNHK交響楽団に客演します。そして2007年4月から読売日本交響楽団常任指揮者に就任します。こうやって書き出すと、かなりの来日頻度ですね。常任指揮者就任披露演奏会のプログラムを期待して待ちたいと思います。

(2006.1.4記)




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