大阪音楽大学ミレニアムホール特別講座 第15回レクチャー・コンサート
「リズムの発見」


   
      
2004年6月19日(土)14:00開演
大阪音楽大学ミレニアムホール

プロデュース:日下部吉彦
講師:北野徹
演奏:北野徹、パーカッショングループ大阪(世戸美紀、白澤美紀子、吉川朋子)

演奏曲:モーツァルト/トルコマーチ
     ヴィヴァルディ/四季より「春」第1楽章
     日本民謡八木節
     ディズニーメドレー(ミッキーマウスマーチ、星に願いを、小さな世界)
     ロッシーニ/ウィリアム・テル序曲
     ララ/グラナダ
     ラグタイム(シロフォニア、故郷の人々、12番街のラグ)
     ハチャトゥリアン/ガイーヌより「剣の舞」、「レスギンカ」
     アメリカンパトロール
     走れマリンバ

座席:I列11番(全席自由)


大阪音楽大学では年4回レクチャー・コンサートを開催しています。阪急宝塚線の庄内駅を降りてしばらく歩くと、キャンパスが姿を現しました。町の中にある大学という感じです。
今年第1回の講座は「リズムの発見」と題して、大阪音楽大学教授の北野徹氏が登場しました。事前に受講料1000円を払う必要があるのですが、約300席の客席はほぼ満席でした。

まず、この特別講座をプロデュースしている日下部吉彦氏が「今日来ていただいたみなさんは必ずリズムに強くなります」と挨拶。パーカショングループ大阪のメンバーが登場し、さっそく演奏が始まりました。演奏形態は、シロフォン1台とマリンバ2台の三重奏が基本でした。ショスタコーヴィチの聴きすぎなのか、シロフォンは硬い音色を出す楽器だというイメージがあったのですが、今回の演奏ではやわらかい音色でキンキンしません。4人でたたきかたが統一されていて、1つの音楽になっていました。
ここから北野氏の講演が始まりました。リズムの前にまずテンポの訓練をする必要があるとのことで、1日の生活のメトロノームである心臓が規則正しく打つように健康な状態であることが重要である。絶対音感だけでなく絶対テンポを身につける必要があって、自宅から駅までを同じ歩幅で歩くなど日頃から気をつけてテンポを刻めば、規則正しいテンポが身につくと述べました。ここで日本と西欧の音楽の違いに言及し、日本は縦文字の文化で縦の音楽(楽譜が縦書き)だが、西欧は横文字の文化で横の音楽(楽譜が横書き)である。音楽と言語は同じなのだが、これは文化の違いによるものである。この文化の違いが分かるようになると、リズムが分かるようになるとのこと。具体的には、西欧の一拍は、紙風船を突くように丸くリンゴを描くように下から上に弾むように捉えている。このリンゴ1個の大きさを決めるのがテンポである。このリンゴを2つに切ると二分音符になり、4つに切ると四分音符になる。これがリズムである。対して、日本の一拍は、スパッとヨウカンを上から下に切るように理解している。これは日本人が農耕民族だからだと述べていました。
また、打楽器は上からたたくのではなく、響かせることが重要であると述べていました。難しいリズムには、音符を言葉に置き換えて演奏するそうで、シンコペーションは「ひこーき」、4連符は「いいとも」、3連符は「だめよ」と置き換えるそうです。打楽器は音がすぐに減衰してしまうので、それを解決するためにトレモロ奏法があるが、難しい奏法であるとのことです。北野氏は大のミッキーマウスマニアだそうで、ミッキーマウスマーチなどを演奏。和音の使い方が興味深かったです。

休憩後の第2部では、今日使用している打楽器を紹介。まず、シロフォンとマリンバの違いを詳しく解説。シロフォンは明るく輝きのある音色で高い倍音が出る。弦楽器で言えばヴァイオリンに相当する。一方、マリンバは低い音色で弦楽器ではチェロに相当する。シロフォンとマリンバを同時に演奏すればオクターヴ違いになる。マリンバは通常一人で4つの音を出す。指の間にバチを挟むので最大8声まで演奏可能だが、6声まではよく出てくるらしいです。低音のマリンバは、音域によってマレットを換える必要がある。また、会場の響きによってバチを換えたりするので普段からバチを多く持ち歩いているそうです(赤色系が硬いバチ、青色系が軟らかいバチ)。鍵盤楽器も2年に1度は楽器を削って調律するそうです。これからの梅雨の時期は水分を含むので楽器にはあまり適した条件ではないようです。他にはフライパンを持参していましたが、デパートでたたいて音を確かめてから購入するとのこと。スーパーボールは現代音楽ではドラをこすったりするのに使うようです。続いてラグタイムを3曲演奏。笛を使って小細工をはさみながら、思いつくままやりたい放題の演奏でした。お客さんが即興演奏。北野氏は�“質佞砲△錣擦襪海函↓△砲海笋�に演奏することの2点を要望しました。また、客席に手拍子の指導をして、手を真横でたたくのと丸くたたくのとでは響きが違うことを説明しました。アンコールは馬の曲を集めてアレンジした「走れマリンバ」を演奏。最後まで大いに盛り上がりました。

このレクチャー・コンサートは、演奏を多く楽しんでもらおうという方針らしく、期待したような音楽理論に即した解説はやや少なめでした。企画自体はとても惹かれるものですが、どちらかというと入門者向けといえるでしょうか。2時間があっという間に終わってしまうのでもう少し長くやって欲しい気もしますが、1000円の値打ちは十分にありました。
打楽器アンサンブルを聴くのは初めてでしたが、予想以上に楽しめました。多彩な楽器や奏法に魅了されましたし、1つの楽器でいろいろな音色や表情が生みだされるのに驚きました。アレンジもよくできていました。こうして聴くと打楽器はなかなかおもしろいですね。北野氏は楽器になりそうなものを町で見つけたら持って帰るそうです。こうして新しい音色が生み出されていくのでしょう。打楽器アンサンブルでは、菅原淳をリーダーとしたパーカッション・ミュージアムは前から気になっていたのですが、今後はほかの打楽器アンサンブルの演奏会にも注目したいと思います。

(2004.6.21記)


大阪音楽大学ミレニアムホール



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