大阪フィルハーモニー交響楽団京都特別演奏会


     
 
2003年3月30日(日)15:00開演
京都コンサートホール大ホール

小林研一郎指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
小林亜矢乃(ピアノ)

ショパン/ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー/交響曲第4番

座席:A席 1階29列24番


昨年10月の日本フィルに続いて、今回は大阪フィルを率いて小林研一郎が登場です。14:00開場でしたが、リハーサルが長引いたらしくホールには15分間ほど入れず、ロビーで待機となりました。客入りは8割くらいでした。空席がそこそこありました。

プログラム1曲目は、ショパン作曲/ピアノ協奏曲第1番。ピアノ独奏は小林亜矢乃。小林研一郎の御息女です。
父子競演でしたが、残念ながら期待はずれの演奏でした。
小林亜矢乃のピアノは、きらびやかな音色を聴かせましたが、ショパンにしては軽い印象を受けました。テクニックを聴かせるのに手一杯なのか表現の変化に乏しく、表情が一本調子なのが気になりました。強弱やテンポなど型にはまった感じで窮屈な感じがしました。音量も小さく、ダイナミクスの幅もせまくこじんまりした演奏であったと言わざるを得ません。ステージマナーもなんだか申し訳なさそうな振る舞いで、ピアニストとしての個性や風格が出てくるまでにはもう少し時間がかかるでしょう。
オーケストラは抑えて演奏していました。もともとオケの伴奏が薄い作品ですが、ピアノの音量が小さいためかかなり控えめな演奏でした。第2楽章ではソロの管楽器を引き立たせるなど小林らしい工夫が見られました。第3楽章になると弦楽器に一体感が出てきて響きが締まってきましたが、オーケストラとピアノの一体感は最後まで聴かれませんでした。やはりこの作品はピアニストがオーケストラをひっぱっていかないとダメですね。

プログラム2曲目は、チャイコフスキー作曲/交響曲第4番
第1楽章冒頭のファンファーレは、理想的なサウンド。ただし、曲が進むにつれて、弦楽器が厚みに乏しいのが気になりました。ff以上ではもっと広がりのある響きを求めたいです。木管楽器のすみきった音色は美しく聴けました。小林研一郎は指揮台の上で飛び跳ねていましたが、オケはあまりノッていないような印象でした。第1楽章ラストの381小節はから、繰り返しで1回目と2回目で表情を変える工夫が見られましたが、ここでもおとなしく感じられました。
第2楽章は、丁寧で厳かな演奏。動きを極力抑えることに気を配っていました。ここでも弦楽器がトランペットより小さくバランスがよくありません。木管楽器の音型が不統一なのも気になりました。
第3楽章の弦のピツィカートは美しかったですが、ヴィオラとチェロが少し弱く感じました。
第4楽章は、冒頭からシンバルとバスドラムが炸裂。ようやく本領発揮というかエンジンがかかったようです。でもさすがにシンバルはうるさすぎで、管楽器が全部かき消されてました。ラストは猛烈なアッチェルランドで豪快に終わりました。演奏後の歓声と拍手がすごかったです。個人的にはもう少し爆演を期待しましたが、期待を大きく持ちすぎたのかやや物足りなく感じました。

アンコールに先だって小林が挨拶。「今日はお客様のオーラでとてもいい感覚で体を動かせた」とのこと。
アンコール1曲目は「ダニーボーイ」。この作品はやはり名曲ですね。
アンコール2曲目は、「もう一度歓声を聞かせて欲しい」ということで、メインプロチャイコフスキー第4楽章のラスト50秒ほどを演奏しました。

同じ小林研一郎にタクトでも10月に聴いた日本フィルとの演奏と比べると、今回の大阪フィルの演奏では小林の燃焼度が明らかに低く感じられました。うなり声も前回ほどはっきりとは聞き取れませんでした。
原因は2つが考えられると思います。1つは、オーケストラの技術の問題。大阪フィルは日本フィルと比べると弦楽器が弱いと思います。幅広いサウンドを聴かせるにはいまひとつ向かないのかも知れません。もう1つは、小林研一郎のポストの問題。日本フィルでは常任指揮者という立場でしたが、大阪フィルでは客演指揮者です。これまでの共演経験が音にも表れたのかも知れません。
期待が大きかっただけに、少し物足りなさを感じた演奏会でした。

(2003.3.31記)

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