チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲

演奏時間 約33分


作品について

チャイコフスキーが作曲した唯一のヴァイオリン協奏曲。
スイスのジュネーヴで作曲され、献呈を予定していたレオポルト・アウアーに楽譜を見せたところ、「演奏不可能である」と拒否されたため、
完成後4年近く経った1881年12月4日にアドルフ・ブロドスキーのヴァイオリン独奏、ハンス・リヒター指揮のウィーンフィルによって初演されたが、指揮者、オケとも嫌々演奏したために初演はひどい演奏となった。
しかし、ブロドスキーは初演時の酷評にもひるまず、各地で演奏し続けたため、次第に多くの支持を得るようになった。
アウアーも後に自らの非を認め、積極的に演奏したという。

曲は、次の3楽章からなるが、第2楽章と第3楽章は続けて演奏される。


名盤ランキング
順位 評価 演奏者 録音年代 演奏時間 CD番号
第1位 ハイフェッツ(vn)・ライナー指揮/シカゴ交響楽団 1957 29'26" BVCC-37229
第2位 クレーメル(vn)・マゼール指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1979 33'23" POCG-9830
第3位 チョン・キョンファ(vn)・プレヴィン指揮/ロンドン交響楽団 1970 34'36" POCL-9724
第4位 フェラス(vn)・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1965 35'39" POCG-6091


第1位 ハイフェッツ、ライナー指揮/シカゴ響
ハイフェッツが終始リードしている感がある。情熱的で激しい音を聴かせるが、弓が弦をこする音が大きくやや雑に感じることもある。
オケはやや軽い印象だが、よく引き締まっている。
全体的に脂っこい表現で、あまりの濃厚さにやや暑苦しく感じてしまう。
「歴史的名盤」として高い評価を得ており、完成度は非常に高いが、早すぎるテンポ設定などどうも私の趣味に合わないのが残念。
ステレオ初期の録音だが、リマスタリングの効果が絶大で非常に聴きやすい。
第1楽章−ソロやカデンツァなどソロパートを部分的に1オクターブ上げている。おそらくハイフェッツ独自のものだろうがやや異様に感じてしまう〔評価B〕。


第2位 クレーメル、マゼール指揮/ベルリンフィル
クレーメルとマゼールという個性派同士の共演だが、ソロとオケの一体感がある演奏に仕上がっている。
クレーメルは従来の耳がキンキンするような鋭さは見られず、むしろ燃えるような激しい表情がもっと欲しいほどだ。
オケはマゼールにしては平凡な方な演奏でいつもの個性が影を潜めている感がある。
ソロ、オケともにやや几帳面すぎ、激しさに不足する〔評価B〕。


第3位 チョン、プレヴィン指揮/ロンドン響
チョンの記念すべきデビューアルバムで録音当時22歳だった。
ソロは丁寧に弾いているが、ややおとなしめで、色っぽさや気迫の面で聴き劣りがする。
とはいえ、のびやかな表現や高音の美しさはすばらしい。
オケが時としてうるさく感じることがある〔評価B〕。


第4位 フェラス、カラヤン指揮/ベルリンフィル
これはカラヤンの音楽を聴くためのCDである。
フェラスはカラヤンに認められ数多くの共演を果たしたが、ややか細い感じだ。
カラヤンのバックが重厚すぎるため、ソロが浮いて聞こえてしまう。
協奏曲というよりはヴァイオリン付きの交響曲といった印象だ。
目指すものが違うせいか、ソロもオケも演奏しづらそうである〔評価C〕。




2001年3月6日 記

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番 ヴァレーズ/イオニザシオン