◆作品紹介
プロコフィエフ最初の交響曲で、ロシア革命以前に作曲された。「古典交響曲」の副題は、作曲者自身によってつけられた。「ハイドンがもし現代に生きていたら書いたであろう曲」という仮定で、伝統的な交響曲の様式に沿って作曲されている。しかし、単なる模倣ではなく、随所にプロコフィエフの個性が垣間見れる。4楽章構成で、演奏時間は約15分。
初演は、1918年にペトログラードでプロコフィエフ自身の指揮で行なわれた。直後に、日本を経由してアメリカへ亡命した。
◆CD紹介
演奏団体 | 録音年 | レーベル・CD番号 | 評価 |
チェリビダッケ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 | 1946 | アリオーソ(輸) ARI006 | B |
プレヴィン指揮/ロンドン交響楽団 | 1970 | RCA/タワーレコード TWCL4015 | B |
バティス指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 | 不詳 | メキシコ州立交響楽団(輸) Alfa1020 | C |
ラザレフ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団 | 2009 | エクストン OVCL00384 | C |
チェリビダッケ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 【評価B】
モノラル録音で音質が古い。ノイズが少し聴こえるが気にならない。楽章の終わりが余韻を残さずにブチっと切れるのが残念。
両端楽章のテンポは、チェリビダッケの指揮とは思えないほど速い。オーケストラもちゃんとついてきている。ダイナミクスの差が広く、強奏での爆発がすさまじい。
第1楽章74小節からトランペットの八分音符がすごい勢いで迫ってくる。121小節からホルンが強い音圧で演奏される。第2楽章は遅いテンポでゆったり歌う。第4楽章は弦楽器が細かな音符をたたみかけるように熱演する。
プレヴィン指揮/ロンドン交響楽団 【評価B】
速いテンポでスピード感がある。細かな装飾音符が揃ってないなど、勢いにまかせたところもある。弦楽器の人数が多いようで、豊かな響きである。木管楽器の明るい陽気な音色が魅力である。アクセントは強い音圧で切れ味が鋭い。
第2楽章58小節からオーボエの16分音符を異常に強調する。第4楽章43小節からフルートのタンギングが追いついてない。ラスト3小節はフルートが吹き切るように息を使って高音を鳴らす。
バティス指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 【評価C】
スタッカート気味に演奏して、響きを抑制している。オーケストラ編成もあまり大きくなさそうで、コンパクトに聴かせる。伴奏にも気を配って、各楽器の見せ場を作ろうとする。奇抜な演奏解釈はなく、まじめに演奏している。強奏での興奮度が低く、第4楽章は金管楽器があまり鳴らないのでおもしろくない。
ラザレフ指揮/日本フィルハーモニー交響楽団 【評価C】
第607回定期演奏会(2009.1.16〜17 サントリーホール)のライヴ録音。首席指揮者ラザレフが開始した「プロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクト」の第1回演奏会である。
伴奏にも積極的に表情を持たせて、主旋律と絡み合う。かなり細部に神経を使って演奏している姿勢はうかがえるが、マイクが直接音を多く収録しているので、余計に細部が耳につく。コントラバスは存在感があるが、管楽器の音圧は緩い。
第2楽章は速めのテンポ。第4楽章はスピードに乗ってスマートな音響だが、強奏は盛り上がる。
2008.11.5 記
2009.2.21 更新
2011.11.3 更新