モーツァルト/セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」


◆作品紹介
モーツァルト31歳(1787年)の作品。弦楽5部で演奏される。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の標題はモーツァルト自身の命名で、日本語では「小さな夜の曲」「小夜曲」と訳されることがある。初演日時は不明。4つの楽章からなるが、『自作品総目録』によるともともとは5楽章で、第1楽章と第2楽章の間に「メヌエットとトリオ」があったことが明らかになっている。自筆譜は8葉のうち第3葉が切り取られていて、その部分が「メヌエットとトリオ」に相当すると考えられている。失われた経緯については不明で、1827年の初版出版時にもすでに「メヌエットとトリオ」はなかった。


◆CD紹介
演奏団体 録音年 レーベル・CD番号 評価
ワルター指揮/コロンビア交響楽団 1958 ソニーヒストリカル(輸) 88697906832(2)
ベーム指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1974 グラモフォン POCG9675


ワルター指揮/コロンビア交響楽団 【評価B】
奏者が多くないのか、弓で弦を擦る姿が目に浮かぶ。音圧が強めで、音質も硬め。コントラバスを効かせて、目鼻立ちがはっきりしている。アーティキュレーションをはっきり弾き分けて、pとfのダイナミックスの幅を大きくとる。反復記号は第3楽章以外は繰り返さない。録音は古いが、現代にも通じるアプローチである。
第1楽章は4小節、10小節、26小節など4拍目の休符を長くとるが、少し流れが悪い。127小節から少しテンポを落とす。最後の音符は短め。第3楽章のTrioは第1ヴァイオリンがよどみなく流れる。第4楽章はかなり速いテンポ。146小節からは掛け合いが忙しい。


ベーム指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 【評価B】
豊かな響きで、音色も明るく、スラーで全曲がつがっているかのような十分な音価を保っている。中世ヨーロッパにタイムスリップしたかのような優雅な香りがする。第1ヴァイオリンに比重が置かれている。奏者が多いようで少し重く感じられる。また音程が甘い部分がある。細部よりも雰囲気を楽しむ演奏と言える。反復記号は一部を除いてスコア通り。
第1楽章はメロディーが伸びやか。最後の小節の反復記号はなし。第2楽章も穏やかで温もりがある。38小節と最後の小節の反復記号はなし。第3楽章はやや遅めのテンポ。第4楽章はリズミカルで小気味よい。69小節からの第2ヴァイオリン以下の四分音符の響きが渋い。



2013.5.25 記


モーツァルト/交響曲第40番 モーツァルト/レクイエム