ヤナーチェク/シンフォニエッタ


◆作品紹介
ヤナーチェク晩年の管弦楽作品。チェコ体操協会「ソーコル」の委嘱で、全国大会開会式で演奏する音楽として作曲された。5楽章からなる。第1楽章と第5楽章で、別働隊のブラスバンド(トランペット9、テノール・テューバ2、バス・トランペット2)が加わる。第1楽章のファンファーレが第5楽章で回帰する。反復記号が多く、各楽器が均等に活躍しないのが特徴である。
初演は、1926年にターリッヒ指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団によって行なわれた。初演当時は各楽章に標題がつけられていたが、出版にあたって削除された(第1楽章「ファンファーレ」、第2楽章「城」、第3楽章「僧院」、第4楽章「街頭」、第5楽章「市役所」)。


◆CD紹介
演奏団体 録音年 レーベル・CD番号 評価
クーベリック指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1946 テスタメント(輸) SBT1181
マッケラス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1980 ロンドン POCL5192
テンシュテット指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1991 BBCレジェンズ(輸) BBCL4139-2


クーベリック指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 【評価C】
「Issued under licence from EMI Records Ltd.」の表記がある。マイク位置のせいか聴こえない楽器があるなど、録音バランスはよくない。第3楽章では針音ノイズが聴こえる。
演奏はライヴ録音のように熱がこもっている。モノラル録音なのが惜しい。勢いあまって、縦線がややずれるときがある。強い音圧で弾かれるヴァイオリンも聴きもの。
第1楽章はトランペットが突出して聴こえすぎる。第3楽章は39小節(Con moto)から速いテンポ。第5楽章は100小節(Maestoso)からトロンボーンとテューバの低音がすごい。ラストも盛り上がるが、最後の四分音符がスタミナ切れか力が抜けたように終わるのが残念。


マッケラス指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 【評価B】
ウィーンフィルの美しい音色を生かした演奏で、透明感にあふれ純度が高い。リズミカルでメリハリもある。ソロもうまい。第1楽章冒頭からバス・トランペットとティンパニが野性的に鳴る。


テンシュテット指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 【評価C】
ライヴ録音。音像が遠く、客席後方で聴いている印象である。交通整理不足で何を聴かせたいのか分からない部分がある。響きがモサモサしている。もう少し明瞭に聴かせてほしい。金管楽器に輝かしさや張りがない。呼吸が浅くスタミナ不足である。弦楽器と木管楽器の量感が乏しく、特に第5楽章166小節以降は金管しか聴こえない。



2008.5.25 記
2008.11.19 更新


ホルスト/組曲「惑星」 マーラー/交響曲第1番