グローフェ/組曲「グランド・キャニオン」


◆作品紹介
ガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」の編曲者として知られるグローフェの代表作。
文字通りグランドキャニオンを管弦楽によって描写している。ココナッツシェルやウィンドマシーン、ライトニングマシーンなどの多くの打楽器が使用される。「日の出」「赤い砂漠」「山道を行く」「日没」「豪雨」の5曲で構成されている。「山道を行く」が中学1年の音楽鑑賞教材として使われていた。


◆CD紹介
演奏団体 録音年 レーベル・CD番号 評価
トスカニーニ指揮/NBC交響楽団 1945 RCA BVCC9936
バーンスタイン指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック 1963 CBSソニー 22DC5518
オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団 1967 ソニークラシカル SRCR1520
ドラティ指揮/デトロイト交響楽団 1982 ロンドン POCL9971
ストロンバーグ指揮/ボーンマス交響楽団 1998 ナクソス 8.559007
バティス指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 不詳 メキシコ州立交響楽団(輸) Alfa1022


トスカニーニ指揮/NBC交響楽団 【評価C】
真面目で折り目正しい演奏。アンサンブルはよいが、やや堅苦しくソロが無表情に聞こえるのが気になる。サウンドも現実的すぎて色気が不足し、雄大な雰囲気があまりしない。「日の出」は終盤やや金管が乱暴に聞こえる。「赤い砂漠」はバックの音量が大きい。「豪雨」は金管がよくなってすばらしいが、ティンパニが目立ちすぎバランスが悪い。モノラル録音だがノイズはなくとても聴きやすい。


バーンスタイン指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック 【評価C】
それほど濃厚でなく、意外にあっさりとした演奏。強奏がパワー不足でやや弱く、力強さに欠ける。低音もあまり聞こえない。「日の出」は徐々に盛り上がっていく様子が見事。「豪雨」はやや平面的で期待外れ。


オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団 【評価B】
表情豊かでよく歌えている。色彩感があり明るい音色が魅力。立体的で奥行きを感じさせる演奏である。金管楽器のサウンドがすばらしい。バランスもよく、強奏でも弦楽器がちゃんと聞こえる。フィラデルフィアサウンドが作品によくマッチしている。


ドラティ指揮/デトロイト交響楽団 【評価B】
各曲の性格を明確に描き分けている。細部も丁寧に交通整理がされており遠近感を感じさせる。木管楽器の音色も美しい。ただし、オーケストラの編成が少ないせいか、強奏では響きが硬い。また、オーケストラの演奏技術に限界が見える部分がある。「豪雨」は遅めのテンポで演奏しているが、パワー不足である。


ストロンバーグ指揮/ボーンマス交響楽団 【評価C】
弦楽器が弱い。打楽器で抑揚をつけすぎる傾向がある。音色もアメリカ的な華やかさに欠ける。「赤い砂漠」は清潔すぎる。「豪雨」は金管がよく鳴って迫力がある。


バティス指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 【評価C】
CDに録音年や発行年に関する情報がまったく記載されていない。随所に個性が聴かれるものの全体的な作品解釈は意外にまともである。曲によって出来不出来の差が激しい。演奏は音の処理が大味。また強奏でアンサンブルの精度が低くなってミスも散見される。ソロも不安定。「赤い砂漠」はゆったりとしたテンポで歌い込んでいる。「豪雨」はボロボロ。



2003.11.30 記


ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー ホルスト/組曲「惑星」