近江八幡市文化会館リニューアルイベント&第1回ふるさと音楽祭2025
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2025年8月31日(日)14:00開演 近江八幡市文化会館大ホール
オープニング 滋賀県立八幡高等学校吹奏楽部 伊藤士恩/マーチ「メモリーズ・リフレイン」 青と夏 ヤングマン 近江八幡市立八幡中学校太鼓部 ハルテーレス
記念式典 改修工事の概要説明
第1回ふるさと音楽祭2025 中野亜維里(ソプラノ)、西野絢賀(ヴァイオリン)、岩下真麻(ピアノ) J.シュトラウス/春の声 パガニーニ&リスト(近江八幡市文化芸術アドバイザー編)/ラ・カンパネラ ヴュータン/ヤンキードゥードゥル プッチーニ/ 「ラ・ボエーム」より「私のまちを歩くと」 デンツァ/ フニクリ・フニクラ ヴェルディ/「椿姫」より「乾杯の歌」 フィナーレ~会場のみんなで歌おう!~「琵琶湖周航の歌」
座席:全席自由
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近江八幡市文化会館のリニューアルイベントと、続けて開催された「第1回ふるさと音楽祭2025」に行きました。夏休みにスマホを見ていたら、たまたま情報が流れてきました。新しいホールができると行きたくなる性分なので、気分転換に行ってきました。本イベントは近江八幡市民以外でも参加できて、入場無料で申込も不要で、当日先着順(定員1,100名)でした。
近江八幡市は、2010年に安土町と合併しました。現在の人口は約81,000人です。最寄りの近江八幡駅は、京都駅から新快速で34分で680円。ただし、草津や野洲よりも遠いので、本数は少ない。近江八幡市文化会館は近江八幡駅から琵琶湖のほうに向かって徒歩10分です。文化会館の前には広大な無料駐車場(市民病院跡地)があるので、車で来場するには便利です。
近江八幡市文化会館は1979年に開館しました。2024年8月から大規模改修工事が進められて、晴れてリニューアルオープンを迎えました。総工費は約8.5億円。2階建てです。なお、文化会館の隣にある近江八幡市役所が驚くほどボロい。1971年の竣工ですが、その隣に新庁舎を建設中で、来年1月から供用が開始されます。
当日は12:00から、会館前広場のキッチンカーや館内でフードブースがオープン。店によっては大行列でした。なお、文化会館の1階にイタリア料理店がありますが、この日は営業していませんでした。展示室や会議室で、地域おこし協力隊主催のワークショップもスタートしました。小ホール(移動席で200~230席)は休憩コーナーとして開放していました。
13:30に大ホールが開場。クリアファイルに入ったプログラムと抽選番号が書かれた紙を受け取りました。大ホールの定員は1,130名。2階席はありません。緞帳は宝船?のデザイン。ホール内は残念ながら撮影禁止でした。お客さんの入りは8割くらいで、年齢層は幅広い。
14:00から開演。予ベルがハープの音楽で、司会者が「リニューアル前の開演ブザーから、チャイムに進化した」と紹介しました。なお、手話の女性が必ず隣に出てくるのが徹底しています(以降の式典や音楽祭でも同じ)。
オープニング。はじめに滋賀県立八幡高等学校吹奏楽部。1年生と2年生の25名での演奏。フルートのうち1人が男子なのは珍しいでしょうか。指揮者は女性で、おそらく顧問の先生でしょう。
プログラム1曲目は、伊藤士恩作曲/マーチ「メモリーズ・リフレイン」。今年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲Ⅲです。バンドのレベルがすぐに分かるという点で、課題曲にふさわしい。なお、八幡高等学校吹奏楽部は、今年の滋賀県吹奏楽コンクール中部地区大会(高等学校Aの部)で銀賞を受賞しました。曲間で部員がMC。来年の3月にこのホールで定期演奏会を開催するとのこと。
プログラム2曲目は、青と夏。Mrs. GREEN APPLEの曲とのこと。
プログラム3曲目は、ヤングマン。みんなで「YMCA」の動きをやりました。ホリゾントの色を頻繁に切り替え。緞帳が閉まるときも、部員みんなで手を振って、楽しそうなクラブです。
続いて、近江八幡市立八幡中学校太鼓部。「八中(はっちゅう)太鼓」と自己紹介しましたが、太鼓部があること自体が珍しい。左右の花道に大太鼓×2=4、ステージの緞帳前に締太鼓×2の6人で演奏。法被を着ていました。オリジナル曲の「ハルテーレス」を演奏。掛け声が入って、迫力があります。中学生とは思えない力強い演奏。リズムもシャープですばらしい。期待以上のレベルでした。
14:20から記念式典。緞帳が上がって、ステージで開催されました。近江八幡市長の小西理(おさむ)の式辞が早口。約1年の改修工事を経て、文化会館を新しい広場として再構築したことや、市民文化の拠点として音楽によるまちづくりを目指すと述べました。来賓として市議会議長と文化協会会長からの祝辞。その後、建設会社への感謝状贈呈。辻寅(つじとら)建設と大村建築設計事務所の二社に市長から贈呈。14:30に終了。かなり段取りよく、巻き気味に進行しました。
休憩後の14:40から改修工事の概要説明。どんなところが改修のポイントかを、大村建築設計事務所のスタッフがスライドショーの写真を見ながら説明しました。近江八幡市文化会館は昭和54年(1979年)の開館で今年で46年目。改修のポイントは5点で、(1)外装や外構を改修して、外壁やアスファルトもきれいになったこと、(2)エレベーターを新設、(3)トイレ(6ヶ所もある)を改修、(4)練習室をスタジオに、オーケストラ練習室を大スタジオに名称変更。会議室や展示室も改修して、一部は土足厳禁にした、(5)大ホールは音響設備を更新した。見た目は変わっていないが、天井の耐震性が向上した、と説明しました。
続けて14:50からは第1回ふるさと音楽祭2025。「音楽のまち」を目指して、「ふるさと音楽祭」が今年度から始動しました。「すてきな演奏とともにまちの魅力を再発見できる音楽の祭典。聞いて、感じて、誇れるふるさとへ。歴史ある風景と音楽が出会う特別なひとときをお届けします」ということで、「大阪クラシック」や「Kyoto Music Caravan」と同様の企画と言えるでしょう。
今年4月に、5名の近江八幡市文化芸術アドバイザーが委嘱されました。文化芸術アドバイザーは、ソプラノの中野亜維里(あいり)、バリトンの又吉秀樹、ヴァイオリンの西野絢賀(あやか)、ピアノの岩下真麻、ピアノの早坂忠明の5名ですが、どうやら近江八幡市どころか滋賀県出身の人はおられなさそうです。文化芸術アドバイザーの任期は2年間のようです。どういう経緯で人選や委嘱が行なわれたのか気になりましたが、中野のブログ(Airi Nakano)によると「元大臣であり元政治家さんである素晴らしい弁護士さん(中野の生徒)が、2年前からこの素敵すぎるお話をくださった」とのこと。誰なのか気になりますが、近江八幡市長の小西理はもともと衆議院議員(自民党)を務めていたので、その筋でしょうか。岩下、又吉、早坂、西野の順に加わって、ここまでたどり着いたとのこと。なお、アドバイザー(長)が中野、アドバイザー(副長)は岩下とのこと。
本公演では、5人の文化芸術アドバイザーのうち、3人が出演しました。ピアノが搬入されて、ソプラノの中野亜維里、ヴァイオリンの西野絢賀、ピアノの岩下真麻の3人が登場。中野と西野は水色のドレス、岩下は紺のドレスでした。
プログラム1曲目は、J.シュトラウスⅡ世作曲/春の声。この曲には歌詞がついているんですね。
曲間でメンバーが交代でMC。プログラム2曲目は、パガニーニ&リスト作曲(近江八幡市文化芸術アドバイザー編)/ラ・カンパネラ。ピアノとヴァイオリンによる演奏で、パガニーニとリストの「ラ・カンパネラ」を組み合わせたアレンジです。ピアノがよく響きました。ピアノとヴァイオリンの二人が演奏するなら、よく響いていいホールです。
プログラム3曲目は、ヴュータン作曲/ヤンキードゥードゥル。ヴァイオリンとピアノの2人で演奏。西野が「日本では「アルプス一万尺」として有名な曲で、「ツィゴイネルワイゼン」のような超絶技巧がある」と話して、超絶技巧を実際に実演。ピツィカートやフラジオレット(弦を軽く押さえて、口笛のようと説明)など、聴きどころが事前に分かっていい。「歌詞を知ってたら、一緒に歌ってください」と話しましたが、ヴァイオリンが演奏するメロディーはちょっと違いました。変奏曲で、ヴァイオリンは体力も集中力もとても使う作品です。
中野が再登場してMC。話し声が高く、笑い声が起きました。中野は「4月に初めて近江八幡に来て、町並みがきれいだった」ということで、プログラムを変更。J.シュトラウスⅡ世作曲/オペレッタ「こうもり」より「チャルダッシュ」の予定でしたが、プログラム4曲目は、
プッチーニ作曲/「ラ・ボエーム」より「私のまちを歩くと」。ソプラノとピアノの演奏。
2024年度全国共同制作オペラ 歌劇「ラ・ボエーム」を思い出しました。中野は高い音域は声量でカバー。フェルマータが長い。
プログラム5曲目は、デンツァ作曲/ フニクリ・フニクラ。岩下のMCによると、「八幡山にロープウェーがあるが、イタリアの登山鉄道のCMで使われている曲」とのこと。日本では「鬼のパンツ」の歌詞が有名です。3人で演奏。「原語で歌うが「強いぞ」のところで、返してくれるとうれしい」と話しましたが、さすがにこれはこどもに無理だったようで、混乱しているようで笑ってしまいました。
プログラム6曲目は、ヴェルディ作曲/「椿姫」より「乾杯の歌」。3人で演奏。
拍手に応えて、アンコール。中野が「文化芸術アドバイザーは5名いるので、まちを盛り上げていきたい」と抱負を語って、「カロ・ミオ・ベン」を演奏。中野のフェルマータで客席から拍手が起こりました。
続いて、「フィナーレ~会場のみんなで歌おう!~」として「琵琶湖周航の歌」。行進曲バージョンでの演奏とのことで、ピアノとヴァイオリンが伴奏。中野と一緒にお客さんも歌います。歌詞はプログラムに記載されていました。私も知っているほど有名なメロディーですが、さすがに滋賀県民ならみんな知っているようです。1番と2番に続いて6番を歌いましたが、6番の歌詞には近江八幡市にある「長命寺」が出てくるからですね。
司会が今後の「ふるさと音楽祭」の開催予定を紹介。9月20日(土)には、新町浜周辺で「第2回 八幡堀まつりコンサート」が開催されます。また、9月27日(土)には、日牟禮八幡宮の能舞台で、「第3回 日牟禮八幡宮コンサート」が開催されて、文化芸術アドバイザーの5人が全員出演します。いずれも入場無料とのこと。
最後にお楽しみ抽選会。来場者を対象に、豪華賞品が当たりました。先ほど出演した文化芸術アドバイザーが「幸運の女神」と紹介されて、交代で抽選箱から番号が書かれた紙を引きました。ホール入場時に抽選番号が書かれた紙をもらいましたが、読み上げられた番号は「881」までありました。商品は近江八幡市内の飲食店などから提供されて、こけら落とし公演の「古澤巖×山本耕史 DANDYISM BANQUET 3」(2025.9.13)のペアチケットもありましたが、当選しませんでした。16:00に終演。終演後は、館内自由見学でしたが、楽屋や舞台裏が見られるわけではありませんでした。
「第1回ふるさと音楽祭」は、大成功と言えるでしょう。中野が話し慣れていて、陽キャなのもいいでしょう。岩下のInstagram(@maasaiwashita)によると、900名を超える来場があったとのこと。なお、近江八幡市公式YouTubeチャンネルに掲載された「近江八幡市広報番組「テレはち」」で、当日の様子が紹介されています。ちなみに、「第4回 ふるさと音楽祭2025」(2025.10.25)は、国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2025とコラボコンサート、「第5回 ふるさと音楽祭2025」(2026.1.5)は、近江八幡市役所新庁舎で開催される予定です。
リニューアルされた文化会館ですが、これからどのように活用していくかが課題でしょう。「みんなでつくる1000人の大合奏」(2025.9.21)、劇団四季のファミリーミュージカル(2025.11.2)や、小山実稚恵のデビュー40周年記念ピアノリサイタル(2026.3.22)が開催予定ですが、ここを本拠とするオーケストラや楽団ができれば言うことなしでしょう。
なお、午前中には、八幡山城跡に行きました。多くの人が訪れていて、駐車場は満車で、八幡山ロープウェー(所要時間は約4分、往復950円)もフル稼働でした。山頂には豊臣秀次が築城した当時の八幡城の石垣が残っています。来年1月から放送されるNHK大河ドラマは「豊臣兄弟!」が豊臣秀長が主人公なので、さらに盛り上がるでしょう。近江八幡市街には、旧八幡郵便局やアンドリュース記念館(ヴォリーズ建築第一号)など、ヴォリーズが設計した建築も多い。ヴォリーズは近江八幡に住んでいたこともあり、滋賀県立商業学校(現:滋賀県立八幡商業高校)で英語教師を務めました。ヴォリーズ建築をもっと観光客にアピールしてもよいと感じました。一方で、2015年度末で廃止されたマルチメディアセンターの建物が閉鎖されたまま残っているなど、現在は使われていない施設も多くありました。