久石譲 presents センチュリー・ファミリーコンサート
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2025年6月14日(土)16:30開演 ロームシアター京都メインホール 久石譲指揮/日本センチュリー交響楽団 ブリテン/青少年のための管弦楽入門よりテーマ、フーガ 座席:指定席 大人 1階10列29番 |
久石譲が今年度から日本センチュリー交響楽団音楽監督に就任しました。久石は2021年4月から日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者を務め、音楽監督に就任することは、2023年10月に発表されました。「大阪4オーケストラ活性化協議会 2025-2026 プログラム・プレビュー」(2024.11.28)で、専務理事の小田弦也が「延長オプションはあるが、まず任期は3年間」と明かしています。また、久石は2024年4月から、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のComposer-in-Associationを務めています。
日本センチュリー交響楽団音楽監督の就任記念演奏会として、久石は「北摂定期演奏会 ~茨木公演~」(2025.6.12 茨木市文化・子育て複合施設 おにクル ゴウダホール)と、「第290回定期演奏会」(2025.6.13 ザ・シンフォニーホール) で、ベートーヴェン/交響曲第6番 「田園」と、久石譲/交響曲第2番を指揮しました。本公演はこれに続く3日連続の本番で、しかも1日2回公演です。久石の指揮よりも長谷川博己のナレーション目当てで行きました。日本センチュリー交響楽団のX(@Japan_Century)によると、本公演のリハーサルは、6月8日(日)に行なわれました。
本公演は14:00開演と16:30開演の1日2回公演で、2回目の公演に行きました。本公演は5月2日(金)に日本センチュリー交響楽団のXで開催決定が案内されました。急遽開催が決まったのか、ロームシアター京都の6月の公演案内には掲載されていません。チケットは5月7日から発売開始で、チケット販売期間はわずか1カ月程度でしたが、公演前日に全席が完売しました。短期間で2公演とも完売にできるのは驚異的で、久石譲のネームバリューの高さに圧倒されます。
チケットは、センチュリー・ネットチケットから購入しました。大人と子どもでチケット料金が違いました。チケットは電子チケット(手数料は150円)でしたが、開場時間ギリギリにならないとスマホにチケットが表示されません。スタッフがスマホを操作して確認。ちなみに、この電子チケットの指揮者の写真が、まだ飯森範親(今年3月で首席指揮者を退任)のままです。3階席と4階席が自由席のためか、開場前には長い行列ができました。客席の最前列は6列目だったので、私の席は前から5列目のかなり前の席でしたが、オーケストラが奥まって配置されていたので、前すぎることはありませんでした。3歳未満は入場不可で、お客さんは、親子連れが多いですが、友達同士やおひとり様など、ファミリーに限らずさまざまです。プログラムは、カラー刷りで、字が大きくて動物のイラスト入りです。
オーケストラが入場。弦楽器は、左から、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの対向配置で、コントラバスはチェロの後ろ。コンサートマスターは松浦奈々(コンサートマスター)。
チューニングが終わると、司会者の2人が入場。下京慶子(しもきょうけいこ)は美人で、京都ではなく鹿児島県出身の32歳。本職は俳優・プロデューサー・ドローンパイロットで、映画「唄う六人の女」(2023年)では業界史上初の三役を兼任したとのこと。ただし、話し方が硬く、会場を和ませる話し方ではありません。三村総撤は、今年4月に日本センチュリー交響楽団のホルン奏者から、演奏事業部課長に異動しました。三村のX(@SotetsuMimura)によると本公演が司会デビューだったようですが、聞きやすくていい声でした。
久石が登場。久石は今年で74歳で、出入りが小走りです。プログラム1曲目は、ブリテン作曲/青少年のための管弦楽入門よりテーマ、フーガ。ナレーションなしでの演奏。打楽器が強めです。ヴァイオリンがカサカサしていて音色が硬い。やはりこどもが多いため、客席はザワザワしていて、喚き声もたまに聴こえました。
プログラム2曲目は、サン=サーンス作曲/動物の謝肉祭(管弦楽版)。演奏会で演奏される機会は少なく、全曲を聴いたのは初めてです。司会者による動物の紹介を間に挟みながら、全曲を4回に分けて少しずつ演奏しました。ピアノ2台は向かい合って、弦楽器と管楽器の間に配置。管楽器はクラリネット×1とフルート(ピッコロ持ち替え)×1だけで、金管楽器はいません。久石は指揮棒なしで指揮しました。「かめ」が通常の2倍のテンポで速い。こうやって聴くと、オッフェンバック「天国と地獄」を演奏しているのがよく分かります。「ラバ」と「カンガルー」はピアノ2台だけの曲。「ぞう」もピアノ2台とコントラバス1人で演奏できるので、久石はうなずくだけで指揮はしません。こうやって聴くとピアノの比重が高い作品です。「水族館」はテンポが速い。「耳の長い登場人物」は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが交互に演奏するので、対向配置でヴァイオリンを左右に分けた効果が出ました。「森の奥に住むカッコウ」のクラリネットは、上手舞台裏で扉を開けて演奏(スコアに「dans la coulisse」の指示あり)。久石も大きめに指揮。「鳥かご」は音量を抑えめに演奏。確かにスコアの音量記号はpです。
「ピアニスト」について、司会者は「ピアニストの人間も動物」と紹介しました。スコアに「2人のピアニストは初心者が弾くように努めて下手に演奏する」と指示されていますが、テンポが速めだったこともあり、下手には聴こえませんでしたが、わざとテンポをずらして弾きました。「白鳥」の北口大輔(首席チェロ奏者)のソロはやや速め。久々に聴きましたが、いいメロディーですね(特に終盤)。
プログラム3曲目は、久石譲作曲/オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」。自作自演です。舞台転換を利用して、司会者が久石にインタビュー。久石は声が高い。久石は「これから演奏するトトロは、海外でも演奏したことがある。こどもたちにオーケストラっていいなと思ってもらえるように作った」と話しました。指揮台の後ろにピアノが設置されました。この曲は、ロームシアター京都 プレイ!シアター in Summer 2018の「京都市交響楽団 0歳からの夏休みコンサート〜オーケストラストーリーズ〜」で聴いたので、今回が2回目です。8曲から成りますが、続けて演奏されます。
ナレーションは長谷川博己。長谷川が上下ともに黒の衣装で登場。細くて顔が小さくてハンサム。クールな雰囲気です。今年で48歳ですが、私よりも年上には見えません。コンサートマスターの近くのイスに座って固定マイクで話します。台本は譜面台に置かれていました。
冒頭は「さんぽ」のメロディーに乗せて楽器紹介。管楽器はパートごとに立って演奏しました(チューバも)。弦楽器はこの曲ではなめらかに響きました。打楽器、ハープ、ピアノ、チェレスタを経て、全員で演奏。長谷川の「物語を始めましょう」のナレーションから「五月の村」。久石は頻繁に左後ろにいる長谷川博己を振り向いて、左手でナレーションのタイミングを指示しました。この作品は、オーケストラが演奏しやすいように作曲されているようで、うまく聴こえます。演奏の完成度もアップ。「ススワタリ~お母さん」では、雛壇最後列にいる打楽器6人が、いろいろな打楽器を使って表情を作ります。「おばけを追いかけます」というナレーションで、「トトロがいた!」で、トトロのテーマが登場。「風のとおり道」では久石が指揮台を下りて、指揮台の後ろにあるピアノを弾きました。久石が指揮台にいない間は、コンサートマスターの松浦が大きなアクションで演奏をリード。「まいご」でのトトロのひとこえは、チューバがうめき声のような音を出しました。長谷川が「ネコバスが走り出しました」と勢いよく話して、「ネコバス」。最後は「となりのトトロ」。長谷川のナレーションが、「いかがでしたか?あなたの隣にトトロはいる」と締めて、久石はまたピアノを弾きました。
拍手に応えてアンコール。久石譲作曲/魔女の宅急便2020を演奏。弦楽器のピツィカートで始まります。
演奏終了後も拍手は止まず、オーケストラがいなくなった後に、久石のみが登場。スタンディングオベーションの盛り上がりでした。17:45に終演。
わざわざアンコールを演奏して、ファンサービスもあります。演奏は細かなミスがあり、3日連続の本番でややお疲れだったでしょうか。久石の指揮は、何を伝えたいのか分かりにくく、音楽監督就任前とあまり変わっていません。アインザッツも合わせにくそうで、ちょっとヒヤヒヤした部分がありました。自作の「トトロ」のほうが指揮が軽やかでした。
なお、俳優の山田裕貴が本公演に来場していたようで、本公演の2日後の6月16日(月)に放送されたニッポン放送「山田裕貴のオールナイトニッポン」(25:00~27:00)で、本公演の感想を約20分に渡って興奮気味に話しました。放送後に日本センチュリー交響楽団のXで報告されました。山田は「オーケストラの音楽を聴くのが、芸の肥やしや俺の癒しになる」と話し、オーケストラのコンサートに行ったことはあるようです。現在は地方で撮影中で、「撮影終わりに間に合ったら行けるかもしれない」ということで、現在撮影している共演者の3人と一緒に聴きに行ったとのこと。チケットは共演している俳優が司会者とつながっていて聴きに行けたようです。ブリテンについては「めっちゃワクワクする曲だった」。「となりのトトロ」は歌いながらハイテンションで紹介。長谷川博己は「めっちゃ背が高くてかっこいい」と話しました。終演後に楽屋挨拶に行ったが、久石には会えなかったが、長谷川博己には会えたとのこと。おそらく私と同じ2回目の公演を聴いたと思われますが、まったく気づきませんでした。