洛星交響楽団チャリティーコンサート2024


  2024年4月13日(土)18:00開演
洛星中学高等学校大講堂

西尾望指揮/洛星交響楽団

ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」序曲
スッペ/喜歌劇「詩人と農夫」序曲
チャイコフスキー/交響曲第4番

座席:自由


 
洛星交響楽団のチャリティーコンサートに行きました。洛星交響楽団は、洛星中学高等学校オーケストラ部で、正課ではなく課外活動です。京都大学交響楽団の定期演奏会で制服姿をよく見かけるので、以前から気になっていました。
 
洛星中学高等学校は男子校で、完全中高一貫校(高校では生徒募集をしません)。全校生徒は中高合わせて約1300名。進学校で、3人に1人が京都大学に合格するとのこと。京都府知事の西脇隆俊や京都市長の松井孝治も卒業生です。宗教法人聖ヴィアトール修道会が日本から撤退して解散することが2月に発表されましたが、引き続き学校法人ヴィアトール学園が運営しています。なお、高校2年生までは全員がいずれかのクラブに所属するとのこと。
 
洛星交響楽団は、洛星中学校創立5年目の1957年に創設されました。中2から高3までの約70名が所属。ヴァイオリンには経験者はいますが、それ以外のパートは未経験者とのこと。高校に吹奏楽部ではなく、オーケストラ部があるのは珍しい。プログラムによると、練習は週5日とのことで、洛星交響楽団のX(@Rakusei_orch2)で練習風景が掲載されました。OB(60期生)の岡本陸(タクティカートオーケストラ ミュージック・パートナー)が来校して指導しました。岡本はプログラムに「スペシャルサンクス」としてクレジットされています。
 
チャリティーコンサートは毎年4月に開催されていて、チケットの売り上げは全額寄付されるとのこと。2020年はコロナ禍で中止になりましたが、昨年はなんと横山幸雄がピアノ独奏で出演して、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」を演奏しました。残念ながら一般発売はされなかったので、聴けませんでした。
 
京都市交響楽団第688回定期演奏会から市バスで北野白梅町に移動。大講堂は南校地の西側の馬代通り沿いにあります。17:30開場でしたが、行列ができたためか早めに開場。受付で当日券を500円で購入。靴袋を渡されて、入口でスリッパに履き替えて土足を袋に入れて入場します。チケットをもぎってもらって、階段で2階へ。スタッフは生徒が担当していました。講堂は1966年竣工で、なんと2000名が収容可能。ものすごく広い。高校の施設とは思えません。一つ上の階に観覧席もあります。床にブルーシートが敷いてあり、パイプイスが並べてありました。なお、大講堂の1階にオーケストラ部の練習場所が7部屋あるらしいです。
 
プログラムは立派なカラー刷り。メンバー表によると、高3が12名、高2が14名、高1が11名、中3が16名、中2が16名、教員が1名、ОBが20名、客演が4名の94名。プルト表(メンバー配置図)も掲載。今年度の活動報告のページによると、4月にチャリティーコンサート、9月に文化祭公演、11月に京都府高等学校総合文化祭に出演するのがルーティンのようです。4年ぶりに合宿を行ないましたが、三井寺で写経しています。キリスト教系の学校なのにびっくり。演奏曲解説は譜例付きでした。引退する68期生のあいさつが「辞世の句」として掲載されているのがユニーク。
 
開演前にウェルカム演奏(おそらく予告なし)。客席の右の方でチェロの二重奏。全席自由でしたが、ほぼ満席。洛星交響楽団のInstagram(@rakusei_symphony_orchestra)によると、約800人が来場したとのこと。制服姿の女子高生がいましたが、同じくオーケストラ部がある京都女子高校の生徒のようです。
ステージが高いので見やすく、反響板も設置されています。メンバーが登場。学ランの制服です。チューニングは音程が怪しい。客席の照明が前方以外は消されて、場内は真っ暗に。 
指揮は西尾望(のぞみ)。相愛大学音楽学部卒業後は、フリーのチェロ奏者でしたが、2000年度から洛星中高の音楽科教諭に赴任して、部を創設した小笠原義明(2020年没)の後任として常任指揮者に就任しました。若い。
 
プログラム1曲目は、ベートーヴェン作曲/劇音楽「エグモント」序曲。管楽器は変な音が聴こえました。ヴァイオリンが上手いのは、小さいときから演奏している人が多いからでしょう。
 
プログラム2曲目は、スッペ作曲/喜歌劇「詩人と農夫」序曲。前奏に続いてチェロのソロとハープ(客演の女性)の二重奏。聴いたことがあるメロディーです。ヴァイオリンは速いテンポでも健闘しました。
 
休憩後のプログラム3曲目は、チャイコフスキー作曲/交響曲第4番。トランペットが6、トロンボーンが4、フルートとオーボエは各4など、管楽器が増強。プログラムのプルト表には、「アシ(アシスタント)」「アシアシ(アシスタントのアシスタント)」と記載されていました。演奏は音程が違うというレベルではなく、ときどき音が違うくらいの変な音がしました。管楽器は音色がもっと洗練してほしい。私の席からはトロンボーン×4がよく聴こえました。第3楽章のピツィカートは難しそうに思えますが、意外にまとまっていました。第4楽章もインテンポでよくがんばりました。演奏後に本公演で引退する68期の高3生に、西尾から花束贈呈。アンコールはビゼー作曲/ファランドールを演奏。19:45に終演。高3は最後の演奏でした。ぜひ大学受験を頑張ってください。
 
事前の期待値が高すぎたようですが、中高にオーケストラ部があるのはすばらしいことなので、今後の発展に期待したいです。
 

洛星大講堂入口 馬代通りから洛星大講堂を望む

 

(2024.5.5記)

 

京都市交響楽団第688回定期演奏会 関西6オケ!2024